コロナ禍の上海で社会秩序が失われている根本的な原因―米華字メディア
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2022年4月11日、米華字メディア・多維新聞は、新型コロナウイルスの感染拡大で上海の社会秩序が失われている原因について考察する文章を掲載した。以下はその概要。

中国本土で1人当たり国内総生産(GDP)や都市管理が最高水準にある上海において、新型コロナの感染拡大によってあっという間に市民たちが食事や排せつといった動物の最も基本的事柄さえおぼつかない状態に追いやられた。この1カ月余り、上海という都市の管理システムが試練を受けている。大きな世論の圧力の下で地域コミュニティの共産党幹部が「一体どこに問題があったのか、ぼうぜんとしている」として職を辞し、4月9日には副市長が市民に向かって謝罪する事態にまでなった。

今回の感染拡大で上海市内の物資配送が滞り、社会秩序が失われたのは不十分な「仕事」と能力不足によるものだ。しかし、20年のコロナ発生から現在で2年余りの時間があったにもかかわらず、どうしてこのような状況に陥ることを回避できなかったのか。その根本的な原因は、都市の管理者自体にあると思う。自らを万能、全能と思い込み、社会に自発的な組織を生む余地を与えなかったことが問題だったのではないだろうか。

計画経済時代、中国は整った社会管理システムを完成させ、その枠組みが継承され続けてきた。経済、社会の発展に伴いその枠組みはさらに拡充、整備されるとともに、「政府は万能である」という強い「信仰」まで生み出された。

しかし、計画経済とその体制はすでに机上の空論で実現不可能なばかりでなく、災難さえもたらしうることが証明された。そこでわれわれは理性に回帰し、計画経済を廃して市場に十分な自由を与えることで現在の成果を獲得した。同時に、行政体制の改革を進め、政府は自らの権力の境界線を明確にして「有為な政府」の役割を担うようになった。

ところが、社会運営においては政府が「全能」であり続けている。緊急事態下でもしかり、日常生活においてもしかりである。都市管理者と個人の間には融通の利かない非常に硬直した関係があり、社会が担う役割が著しく不足しているのだ。

このほど、上海ではあるマンションの住民らが自発的な組織を作って「権力を奪取」し、自ら物資の調達、輸送を行う、そして強力な物流ネットワークを持つ民間企業の京東もこれに加わるという、効率的な社会運営のケースが示された。こういったことは、行政が都市管理ロボットをいくら動員したって実現できるものではない。

今回の新型コロナの経験を生かし、為政者や全ての人びとが「盲目的かつ非現実的な信仰」を克服することを願うのみである。(翻訳・編集/川尻)