気候変動対策で何ができるか、何をせねばならないか―中独の専門家が対話
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中国は現在、かつてのような「量の発展」ではなく「質の発展」に力を入れている。中でも重要な課題の一つが脱炭素だ。中国メディアの中国新聞社はこのほど、中国とドイツの専門家それぞれ2人の計4人を招いて「中独気候対話」を主催した。出席者は中国国家気候変動専門家委員会の杜祥琬顧問、中国科学院科技戦略諮問研究院の王毅副院長、ドイツ連邦議会のハンス-ペーター・フリードリヒ議員、ドイツ連邦経済発展・対外貿易協会のミヒャエル・シューマン理事長だ。以下は4氏の発言の主要部分を再構成した。

■風力や太陽光の欠陥を補う「水素エネルギーへの転換」

フリードリヒ:21世紀前半の主たる変革はデジタル化とカーボンニュートラルだ。中国とドイツは、全人類がこの二つの課題で進歩できるよう緊密に協力すべきであり、協力せねばならない。欧州連合(EU)は2050年までのカーボンニュートラル達成という野心的な目標を掲げている。中国は2060年の達成が目標だ。この目標を達成するためには、二酸化炭素を排出しないエネルギーにできるだけ早く、できるだけ多く転換せねばならない。

水素エネルギーは有望だ。大きな長所は世界のどこでも生産、貯蔵、輸送が可能なことだ。

杜:風力や太陽光で得られるエネルギーは、産出量の変動が避けられない。安定性を確保するためにはエネルギーを貯蔵せねばならない。水素は非常に重要なエネルギー貯蔵手段と言える。

ただ、水素エネルギーには二つの問題がある。まず、どの方法で水素を作るかということだ。石炭などを利用して水素を作ることもできるが、それでは二酸化炭素が出てしまうので、「脱炭素」の目的からは逸脱する。要するに非化石エネルギーで水素を作らねばならない。

次の問題は水素の使い方だ。われわれは水素をエネルギーの貯蔵手段と考えている。不安定な太陽光や風力のエネルギーを水素に転換して貯蔵することは理にかなってはいる。しかし実践が不足している。中国もドイツもそうだ。

■エネルギー供給は現代社会の基本条件、環境との「矛盾」をどう抑えるか

シューマン:信頼できるエネルギー供給は現代社会の繁栄と進歩を支える基本的条件の一つだ。しかしエネルギーの供給は、環境保護や気候変動の防止と反する面をはらむ。石炭よりも二酸化炭素排出の少ない天然ガスは、産業が再生可能エネルギーに頼る状態に至るまでの「橋渡し」の中心的な役割りを担う。

工業国であるドイツは短期間で原子力と石炭からは撤退したが、依然として化石エネルギーは必要としている。最近では化石エネルギーの加工や貯蔵技術が急速に改善され、環境基準に適合するようになってきた。

気候変動に対応し、持続可能な産業や生活を維持するためには、世界規模の協力がどうしても必要だ。中国はこの分野で欠かせないパートナーだ。中国とドイツの協力が中欧関係全体の手本になる可能性がある。

■中国とドイツは互いに相手を補完する「強み」がある

王:中国とドイツの環境や気候問題での協力には長い歴史がある。その協力は、おおむね1990年代にさかのぼることができる。コペンハーゲン会議(COP15)が開催された2008年以降も、気候問題で中独協力は急速に進展した。22年は中独国交樹立50周年であり、この50周年を記念することで環境・気候分野における両国の関係がさらに強化されることを希望する。これらの分野は国境を越え、イデオロギーを超えた全世界にとっての試練だ。

水素エネルギーの分野で中国の進展は非常に速い。私は中国北西部での取り組みを見たことがある。太陽光発電で得たエネルギーで水素を生産していた。この水素の利用法としては、燃料電池を使う大型トラックや、水素を用いて化学工業の原料を作ることが考えられる。応用の本格化にはコスト低減と効率の向上が必要だ。ドイツはこの分野でよい経験を蓄積してきた。中国は、関連設備の製造や大規模化によるコスト削減について、多くのよい経験を持っている。

中国が打ち出した「1+N」政策体系は、単に炭素を減らすだけではなく、体系全体変革だ。この政策体系は一足飛びにはできず、実践を通して絶えず総括し続ける必要がある。「1+N」政策体系とは、炭素排出のピークアウトをカーボンニュートラルを最終目的の「1」として、その実現のために複数の方法を組み合わせていく、政策推進の概念だ。

杜:中国とドイツの協力は非常に重要だ。中国はエネルギー転換を研究する時、よくドイツの事例を引用する。デンマークの事例の場合もある。最近ドイツを訪問した専門家は、「太陽光発電ができるところはすべて太陽光発電」と報告した。これはとても印象的だった。

どの国にも、再生可能エネルギーへの転換を推進しつつ、どうやって安定した出力を実現させるかという問題がある。この面でもっと協力し、交流したい。資料の交換だけでなく、実践を通じて納得できる方向性をつくりたい。

王:われわれは三者間協力も展開せねばならない。つまり、中国はドイツやその他の先進国と協力し、その他の発展途上国を助けて、エネルギーのグリーン発展を共に実現していかねばならない。

ドイツは、気候に関する法律や政策で、素晴らしい経験が多くある。中国の全国人民代表大会(全人代)も次のステップとして、炭素のピークアウト、カーボンニュートラルの実現のための法整備をしようと考えている。両国は多くの面でよりよく協力することができる。(構成 / 如月隼人)