2023年11月27日、台湾メディア・工商時報は、「中国本土は日本の失落を再現するのか」と題した評論記事を掲載した。

記事は、「ゼロコロナ」政策撤廃直後の今年始めは急速な経済回復を実現した中国経済がその後失速し、輸出が悪化するとともに不動産バブルも深刻化したと指摘。

恒大集団、碧桂園などの大手不動産会社が相次いで破綻するとともに、地方政府が巨額の債務を抱える厳しい状況に陥っているとした上で「状況は日本のバブル経済後期に似ている。中国本土は日本同様失われた30年に突入するのか、慎重に観察するに値する」と伝えた。

そして、中国の現状はかつての日本に似ている部分がある一方、本質的に異なる部分も多いと指摘。バブル期の日本とは異なり中国ではすでに急速な高齢化が始まっていること、日本社会と中国社会では同質性が異なることなどを挙げ、「中国本土が経済の低迷に対抗する社会的コンセンサスを形成しうるか、観察する必要がある」との見解を示した。

また、日本政府が断続的に経済振興政策を打ち出したものの根本的な解決に至らず、民衆が政府に対する信頼を失って投資や消費に消極的になっていったこと、民主主義体制を取る日本では意思決定が遅いことも、中央集権体制を採用し、効果的な意思決定ツールを多く持つ現在の中国とは状況が異なると紹介。「西側の専門家は中国の衰退を唱えがちであり、中国は日本よりひどい状況に陥ると分析する経済学者もいるが、彼らは共産主義的制度の運用について十分に理解していない。

単に西側の資本主義的観点から判断していては、公平さに欠ける可能性がある」と指摘している。

記事は「中国政府が戦略性を持ち、政策執行の効率や決心を保ち続け、誤った道を進まなければ、日本の経験を参考にしながら『失われた○年』を短くすることができる」とし、不動産バブルの解決、地方債務の処理を最重要課題としつつ経済や金融政策のマクロ的調整を進め、企業や民衆の投資、消費に対する信頼を回復することが急務だとした。一方で、産業のモデルチェンジやレベルアップを進める中で米国との競争に直面し、種々の規制を受けるリスクを孕んでいること、民間消費や内需拡大の促進がややもすれば新たな不動産バブルを引き起こしかねないことなど、中所得国の罠を克服する上で種々の障害も存在するした。

その上で「中国本土は日本のような失われた30年という苦境を回避することはできる。ただし、構造転換の困難さによって向こう10年間は低~中度成長にとどまる圧力に直面することになるだろう」と結んだ。(翻訳・編集/川尻)