中国の語言文学雑誌「咬文嚼字」編集部は4日、上海で「2023年流行語トップ10」を発表した。今年は「新質生産力(新たな質の生産力)」「双向奔赴(互いに歩み寄る)」「人工智能大模型(大規模AIモデル)」「村超(村サッカーリーグ)」「特種兵式旅游(特殊部隊式旅行)」「顯眼包(目立つ存在)」「搭子(○○友)」「多巴胺○○(ドーパミン○○)」「情緒価値(感情的価値)」「質疑○○、理解○○、成為○○(○○に疑問を抱き、○○を理解し、○○になる)」が選ばれた。

人民日報が伝えた。

新たな質の生産力(新たな質の生産力)

「新たな質の生産力」とは、テクノロジーイノベーションが主導的役割を果たす生産力であり、従来型の成長パターンから脱し、質の高い発展を遂げるための必要性に沿った生産力であり、デジタル時代における融合性をより備え、新たな意味合いを体現する生産力を表すワードとなっている。

双向奔赴(互いに歩み寄る)

もともとの意味は関連する人々が共通の目標に向かって共に努力し、互いに歩み寄ることを表現するワードだった。人と人との関係を指す場合に多く用いられ、人々が互いに慕い合い、歩み寄るという素晴らしい願いを表現している。現在では、人だけでなく、国と国が互いに歩み寄るという意味にまで拡大して用いられるようになっており、このワードの持つ価値と意味がより豊かになっている。

中国の2023年流行語トップ10、「特殊部隊式旅行」や「ドーパミン〇〇」
ヘルスケア+茶飲料の革新的な融合

人工智能大模型(大規模AIモデル)

人工知能(AI)の分野において、大規模AIモデルとは、通常10億個以上のパラメーター、極めて豊富な計算資源を有する機械学習モデルのことで、膨大なデータを処理し、自然言語処理や画像認識といった各種複雑なミッションをこなすことができる。コンピューターのハードウェアの性能が高まり続け、ディープラーニングアルゴリズムが迅速に最適化され、大規模AIモデルは日進月歩で発展を続けている。大規模AIモデルをベースにした一連のAI応用が相次いで誕生しており、OpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」や百度(Baidu)の生成AI「文心一言」などはすでに、社会の生産や生活において幅広い影響を及ぼすようになっている。ただ、大規模AIモデルの応用が進むにつれて、プライバシー保護や情報セキュリティーなどに対する懸念も深まっており、関連する法律を整備し、管理対策を講じて、効果的に対応することが急務となっている。

村超(村サッカーリーグ)

貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州榕江県では中国サッカースーパーリーグのCSLならぬ「村サッカーリーグ」と呼ばれている農村サッカースーパーリーグが5月13日に開幕した。メディアの統計によると、「村サッカーリーグ」開幕から、1試合当たりの観客数は最高で6万人以上、インターネット上の視聴回数は延べ480億回以上に達するなど、各種データが過去最高記録を塗り替えている。このような異彩を放つ「村サッカーリーグ」のほか、「村BA(農村バスケットボール)」や「村バレーボール」なども驚くほどのエネルギーと独特の魅力を放ち、瞬く間に話題をさらうようになった。「村」を頭文字とした農村で開催されるスポーツ大会が大人気となっていることは、「国民健康づくり」の推進や、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的な実現、農村経済の振興にとって計り知れない現実的な意義を備えている。

中国の2023年流行語トップ10、「特殊部隊式旅行」や「ドーパミン〇〇」

特種兵式旅游(特殊部隊式旅行)

まるで「特殊任務」を遂行するかのように、時間や費用をあまりかけずに、できるだけ多くの観光スポットを強行軍で巡るこの新しい旅行スタイルを通じて、旅行者は旅行先において、数多くの歴史、文化、風土、人情に触れることができる。この「特殊部隊式」というワードで「旅行」を修飾することで、この旅行スタイルに「特殊部隊」のような際立った特徴があることを表現している。このワードの出現から、「特殊部隊式○○」はたちまち派生していき、「特殊部隊式観劇」「特殊部隊式会議」「特殊部隊式昼休み」といったワードが生まれ、さまざまなシーンに応用されている。

中国の2023年流行語トップ10、「特殊部隊式旅行」や「ドーパミン〇〇」

顯眼包(目立つ存在)

「顯眼包」とは、外見や性格から人々の注目を集める人のことを指す。もともとは「目立ちたがり屋」といった一種の他人をけなす意味合いで使われていた。しかし現在このワードは、褒める意味で使われることが目立ち、けなす意味合いは次第に失われつつある。そのため、ある人を「顯眼包」という言葉で表現した場合、その人が外面的に「目立ちたがり屋」だということを表しているだけでなく、それ以上にその内面から活力があふれ、かわいらしく、ユーモラスで、しかも楽しい気分にさせてくれることを表現している。ネットユーザーは常々、「どんな生き物も、どんな分野にも目立つ存在はいる」としている。

そのため、例えば博物館に展示されているユニークでコミカルな文化財も「顯眼包」と称されるのだ。
中国の2023年流行語トップ10、「特殊部隊式旅行」や「ドーパミン〇〇」
博物館で「じわじわくる文化財」を探すのが人気に

搭子(○○友)

中国語の「搭档(仲間)」というワードはもともと方言で、「一緒にトランプをする仲間」、つまり「牌搭子(トランプ仲間)」を指していた。しかしその後その使用範囲が広がり、何かを一緒にする仲間のことを「搭子」と呼ぶようになった。そして現在流行している「搭子」とは、新たな交友関係のスタイルを反映するようになっている。「搭子」との関係は、特定のニーズを満たす範囲内にとどめられる。このような割り切った付き合いは、ストレスのない関係と見なされ、その関係を維持するために気を遣う必要もなく、より多くの選択肢と自由の下で付き合うことができる。若者はソーシャルメディアを通じて、何をするにしても「搭子」を見つけることができる。

例えば、ご飯を食べる時は「メシ友」、旅行に行く時は「旅友」、運動する時は「ジム友」、一緒にダイエットする「ダイエッ友」といった具合だ。

多巴胺○○(ドーパミン○○)

ドーパミンとは、脳細胞や副腎細胞で合成される神経伝達物質で、運動調節や認知、感情、睡眠などに影響を与え、その水準やバランスは、健康や幸福感に大きく関係している。今年は、中国において、高級感ある優雅なスタイルや、シックな色合いのスタイルではなく、彩度が高い色合いや鮮やかな色合いのコーディネートである「ドーパミン・ドレッシング」が幸福感を高めてくれるファッションとして流行した。また、「ドーパミン・ドレッシング」が人気を集めた後、楽しい気分にさせてくれる物事を形容するのに「ドーパミン」というワードが使われるようになり、「ドーパミン観光地」「ドーパミンウォーキング」「ドーパミン飲食」「ドーパミンバケーション」といった具合に、目に見える色彩から目に見えない抽象的な概念に至るまで、「ドーパミン」で形容されるようになった。

中国の2023年流行語トップ10、「特殊部隊式旅行」や「ドーパミン〇〇」

情緒価値(感情的価値)

「感情的価値」というのはもともと、マーケティング学の概念で、消費者が感じる感情的収益とコストの差を指している。一方、中国では現在、人間関係を描写する時に、「感情的価値」というワードを使うのが流行している。それは、一人の人が他の人の感情に影響を与える能力のことを指している。他の人を快適にさせたり、楽しませたり、気持ちを安定させたりする能力が高い人ほど、感情的価値が高いということになる。

その逆のパターンの場合、感情的価値が低い人ということになる。

質疑○○、理解○○、成為○○(○○に疑問を抱き、○○を理解し、○○になる)

約10年前に放映された人気ドラマ「愛情公寓(iPartment)」では、ヒロインの1人である林宛瑜が彼氏のプロポーズを断り、仕事で成功を手にする夢を追いかけることにした。視聴者の多くは当初、そんな彼女の選択を理解できず、次々と否定的なコメントを寄せた。しかしストーリーが進むにつれて、「恋愛は人生において必ずしも必需品ではない」と認識する視聴者が増え、彼女の選択に理解を示し、「私も宛瑜と同じ選択をするかも」とする視聴者すら現れた。今年初め、「宛瑜に疑問を抱き、宛瑜を理解し、宛瑜になる」というフレーズがソーシャルメディアで話題を集め、そこから派生して、「○○に疑問を抱き、○○を理解し、○○になる」が広く使われるようになった。人生のある段階において、ある人物の行動や選択などに対し、当初は疑問を抱いていたものの、理解するようになり、最終的には自分も同じようになるというのは、客観的に存在する心の動きや変化であり、心や知力が成長し、円熟していく上で誰にとっても必要なステップとなる。

そして、それは社会生活のさまざまな面で当てはまると言えるだろう。
中国の2023年流行語トップ10、「特殊部隊式旅行」や「ドーパミン〇〇」
若者の間でマンゴーの種をペットにすることが流行

「咬文嚼字」の黄安靖(ホアン・アンジン)編集長は、「今年の流行語を選出する際にも、長年の評価原則を順守し、ワードの『社会学的価値』や『言語学的価値』を評価基準にした」とした。そして、過去と比べると、今年の流行語トップ10には以下の3つの際立つ特徴があるとした。

1、今年の特徴が際立ち、世相を反映している。例えば、「大規模AIモデル」は、ChatGPTを代表とするAIが全く新しい時代へと突入していることを反映しており、それは今後、人々の生産やライフスタイル、ひいては思考パターンまで変えてしまう可能性がある。「村サッカーリーグ」は、「国民健康づくり」の推進や農村振興の実践が着々と進んでいることを示すワードとなっている。そして「特殊部隊式旅行」は、文化・観光消費が継続的に回復しているのを背景に、人々がポジティブシンキングで、生活していることが反映されている。

2、イノベーションの特徴が際立ち、人々の新しいワードを生み出す創造力が際立っている。今年誕生した多くの流行語を見ると、新しいワードがたくさんあり、人々が新しいワードを生み出す創造力に長けていることが示されている。例えば、「村サッカーリーグ」や「感情的価値」は、中国語のバリエーションを増やしている。また、「目立つ存在」や「搭子」には新たな意味が加わった。さらに、「ドーパミン○○」「特殊部隊式○○」「○○に疑問を抱き、○○を理解し、○○になる」などは新たなフレーズを中国語に加えている。

3、ショート動画が台頭しているものの、そこで流行した言葉が社会全体で使われるようにはなっていない。ショート動画は便利で親しみやスタイルで投稿できるため、プラットフォームやフォロワーの間で人気を集め、人々が自分の言語表現スキルを披露したり、新しいワードを生み出したりする重要なプラットフォームとなっている。しかし、ショート動画の主なユーザーは依然として若者、特に90後(1990年代生まれ)や00後(2000年以降生まれ)となっており、それより上の世代の人々は現時点では、それを次第に理解し、受け入れるようになりつつある段階にある。そのため、ショート動画で人気を集めている多くの言語スタイルが流行し、それが社会全体にまで受け入れられるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。言葉の使い方において、ショート動画と、新聞や雑誌といった従来型のメディア、ひいてはインターネットの従来型の発信スタイルとの間には、いまだはっきりとした境界線が存在する。そのため、「ショート動画の流行語」が「国民の流行語」となるにはまだ時間がかかるだろう。これは今年、ショート動画界で爆発的人気を誇った「命運的歯輪開始転動(運命の歯車が回り始めた)」「哈基米(はちみー)」「挖呀挖(ワヤ、ワヤ、ワー)」「敵蜜(ライバル)」といったワードが社会全体では流行せず、流行語トップ10にも選出されていない理由の一つだ。(提供/人民網日本語版・編集/KN)