2024年2月27日、華字メディアの中文導報網は、通訳としてTSMC熊本工場(第一工場)の落成までを見届けた在日中国人の手記を公開した。

手記の筆者は日本企業に30年勤めている中国人男性で、今回のTSMC熊本工場建設プロジェクトの「元請業者」が勤務先だという。

筆者は工場建設のプロジェクトの話し合いが始まった22年1月から通訳として関わるようになった時を回想し、「Teamsで何十人もの関係者が参加するオンラインミーティングから始まったが、会議通訳という業務のプレッシャーや、大陸出身の自分とTSMC側の台湾なまりの中国語の違いに悩み、いつ辞めようかと考えていた。だがTSMC側の関係者と実際に対面して仕事をする段階になってからは、オンラインでは分かりにくかった相手の表情や感情も分かるようになり、実感を込めた話がしやすくなった。また、文系出身の自分に欠けていた建築関連の専門用語や知識は、単語を必死に丸暗記した。おかげで、例えばモーターとエンジンの違いについては、前者が電動で後者がオイルで動く物といった区別はつくようになった」という。

筆者は「私が勤務している建築の元請業者とは、いわば総司令部のようなものだ。工事が最も忙しい時期には各社合わせて7000人を超える人員がこの総司令部の指示によって、秩序良く出入りしていた。

夏の炎天下には、体感温度は摂氏50度にもなるが、それでも完全武装で肌が見えるような薄着は許されないため、私も含めて現場の人達は水分補給のためのスポーツドリンクがいつでも飲むことができた。私が現場で主に担当したのは防火管理や消防計画だったが、おかげでどこへ行っても周囲の環境をチェックしたり、家庭用消火器を自分の家の台所に置いたりと、消防の重要性を学ばせてもらった」と語った。

TSMC熊本工場については「24日に落成した第一工場が生産するのは12~28ナノメートルの製品、6日に建設予定が正式発表された第二工場は6~7ナノメートルの製品。両者の違いをファッションにたとえるなら、第一工場がユニクロで、第二工場はバーバリーだろうか。第一工場の落成式と同じタイミングで、日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新したというトップニュースが日本列島を大きく揺さぶった。岸田文雄首相は落成式のビデオメッセージにおいて、第二工場への約7000億円の支援を発表したが、能登半島地震の被災地への政府支援が約1500億円なのと比較すると、支持できない納税者もいるのではないか」と述べた。

(翻訳・編集/原邦之)