台湾の情報サイトであるanue鉅亨は24日付で、中国大陸部での自動運転の高度化を目指す動きの進展状況を紹介する記事を発表した。同記事は、現状はL2(レベル2)からL3への移行段階であり、その完全実現の鍵となる企業の一つが華為技術(ファーウェイ)との見方を示した。

自動車や航空宇宙関連の標準規格の開発などを行う米国の非営利団体であるSAEの定義によれば、自動車の自動運転におけるL1とは、「特定状況下で人が行う運転を支援できる」、L2は「独立して特定の運転を遂行できるが、運転者は常に周囲の状況を観察し、必要に応じて運転を引き継ぐ必要がある」、L3は「自動運転が可能で、運転者が常に引き継ぎの用意をする必要はほとんどない」、L4は「ある特定条件下では運転者の関与が全く必要ない」、L5は「どのような条件でも自動運転を遂行することができる」だ。現在の自動運転技術は「L2は実現したが、まだL3には到達していない」で、「L2+」とも言える状態という。

香港に拠点を置く市場調査会社のカウンターポイントによると、2024年には全世界での「L3級」乗用車の販売台数は2万5000台を超え、その重要な推進力になるのは中国市場だ。26年には中国で「L3級」乗用車は100万台を超え、総出荷台数の10%に達すると予測できるという。

中国での自動運転の開発も、他のいくつかの先進国と同様に「L2を達成しL3の実現を目指しているが、まだ完全には到達していない」状況だ。一方でカウンターポイントは、中国における自動運転自動車の発展について、中国市場には政府の支援、L3のテスト走行に多くの許可を発行していること、すでに多くの業者がL2までの段階において進歩を遂げ、技術を蓄積していることなど、有利な点が多いと指摘した。

anue鉅亨は、L3を目指す中国の業界にあって産業生態圏を構築する能力を備えた企業はファーウェイと、ドローン機などの開発で知られる大疆創新科技(DJI)の2社との見方を示した。ファーウェイの場合には、基礎となるウエハから高度なアルゴリズムまでを掌握しており、DJIもウエハの性能を極限まで発揮させる能力を持ち、アルゴリズムの自社開発能力も備えているからという。

ファーウェイで、スマート自動車関連の責任者でもある余承東(リチャード・ユー)常務役員は23年9月に行った、同社が技術支援するスマート自動車の問界M7の改良発表会で、クラウド演算力について、1.8エクサフロップスの能力を持ち、1日当たり1000万キロ分の走行データを学習できると説明した。同社のクラウド演算力は23年には、中国の他社の能力の2-3倍の2.8フロップスに達し、1日当たり1200万キロのデータを学習し、5日ごとにモデルを更新することができるようになったとされる。

ファーウェイの自動運転あるいはスマート運転技術については、中国大陸部でも大いに注目されており、特に「技術開発の速さ」が評価されている。業界ではしばらく前から、ファーウェイはすでにスマート運転技術では業界の先頭を走っているとの見方が出ている。

(翻訳・編集/如月隼人)

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