レコードチャイナで4月に配信された記事によると、中国ではサッカー、バスケットボール、バレーボールを「3大球技」と呼ぶのだという。日本の女子バレーボールチームはこのほど、世界の強豪16カ国で争うネーションズリーグで好成績を挙げ、7月下旬に開幕するパリ五輪の出場権を獲得した。

これにより、日本は3大球技すべてで男女とも参加することになった。他のアジア諸国を見ると、スポーツ大国と言われる中国は女子のバスケとバレーで出場権を得たが、男子は全滅。かつて精強を誇った韓国は3大球技すべてで予選突破に失敗し、五輪切符を得たのは女子ハンドボールだけ。団体球技では、日本がアジア最強であることが鮮明になった。

全7競技で予選突破―日本

日本はサッカー、バスケ、バレーに加え、7人制ラグビーで男女とも出場権を獲得。さらに男子ハンドボール、女子ホッケー、男子水球でも予選を勝ち抜いており、パリで実施される七つの球技すべてに参加する。開催国枠のない海外での五輪で、日本がすべての団体球技に参加するのは1932年のロサンゼルス五輪以来とのことだが、このとき実施されたのは男子のホッケーと水球だけだったので、比較の対象にならない。

当時に比べスポーツ界でもグローバル化が進み、はるかに競争が激しくなっている中での全競技参加は快挙だ。

オリンピックでは、陸上や水泳をはじめとする個人競技の方が種目数でははるかに多く、その結果が国別のメダル争いを左右する。メダルの数で勝負しようとするなら、個人種目に力を入れる方が効率的だ。しかし団体ボールゲームには人気のあるメジャー競技が多く、華やかで注目度が高い。また、個人種目では、極端に言えば傑出した1人の選手がいれば金メダルを取れるが(陸上、水泳、体操などは1人で複数のメダルも可能)、団体球技で好成績を収めるには優れた選手を多数そろえる必要がある上に、メダルは金銀銅一つずつ。個人競技の関係者の方からお叱りを受けるかもしれないが、団体球技のメダルは他競技より価値があるとする見方があるのもうなずける。

国内リーグ充実、外国人監督招へいも寄与

以前にも当欄で指摘したように(2023年11月28日付)、日本の場合、世界的にはマイナースポーツで、パリ五輪の実施種目からも外された野球に、男子の優秀な人材が相当流れているという特殊事情がある。それにもかかわらず他の球技でも好成績を収めているのは各競技団体の努力のたまものであり、評価されていい。

このように団体球技で日本がアジアトップとなった理由として、先のコラムでは 1.日本人の協調性を尊ぶ気質が団体競技向き 2.学校の部活動と地域のスポーツクラブという2ルートでの選手育成 3.選手の積極的な海外進出―の3点を挙げた。それに加え、サッカーJリーグやバスケBリーグをはじめとする国内リーグの充実、バスケやハンドボールでの実績ある外国人監督の招へいも、代表チームの強化に貢献した。

五輪種目以外に目を転じると、野球は昨年のワールドベースボールクラシック(WBC)で優勝したし、15人制のラグビーもアジアでは敵なし。日本のボールゲームは順風満帆に見える。不安があるとすれば、少子化の影響だろうか。

1人の女性が生涯に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」は2023年に1.20に低下し、過去最低を更新した。子どもが少なくなればスポーツに打ち込む青少年も減少し、将来それが競技力の低下につながる可能性がある。
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パリ行きは女子ハンドだけ―韓国

少子化の影響が既に表面化しているのではないかと言われているのがお隣の韓国だ。2020東京五輪(コロナの影響で実際の開催は21年だが…)には野球を含む6競技で男女いずれかが参加していたのに、パリ五輪の出場権を獲得したのは女子ハンドボールだけ。選手数が多い団体球技が不振のため、「韓国選手団は48年ぶりに200人を割り込む」(聯合ニュース)見通しだ。

特に衝撃的だったのは、男子サッカーの敗退だろう。韓国は地元開催だった1988年ソウル五輪から東京五輪まで、9大会連続で出場権を獲得。

10大会連続出場を目指して五輪予選を兼ねたU23アジアカップ(4~5月にカタールで開催)に臨んだが、格下と思われていたインドネシアに準々決勝で敗れ、3位以上に与えられる五輪出場権を逃した。この敗北に、韓国メディアは「サッカーよ、おまえまで…」(朝鮮日報)と落胆。欧州でプレーする一部の選手を呼び戻せなかったことで戦力が低下したとも言われるが、そうした事情は日本も同じ。日本は出場権を確保した上で大会にも優勝し、明暗が分かれた。

こうした団体球技の不振について、韓国で急速に進む少子化が影響しているのではないかとの見方がネットなどで散見された。昨年の合計特殊出生率が0.72に低下するなど、日本をはるかに上回るペースで少子化が進んでいる事実が、そうした声の背景にあるようだ。

ただ、パリ五輪に出場する選手の中心的な世代が生まれた90年代後半から2000年代初めにかけては、韓国の出生率は日本を上回っており、少子化がスポーツ弱体化の直接の原因とするには無理がある。日本以上と言われる学歴社会を背景に、スポーツより勉学を優先する風潮の影響が、現時点では大きいのかもしれない。少子化の影響はむしろこれから顕在化するはずで、韓国のスポーツ界にとっては厳しい時代が続きそうだ。
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個人競技は強いが…―中国

中国は、いずれも女子のバスケ、バレー、ホッケー、水球で出場権を獲得した。また、7人制ラグビーの世界最終予選が6月下旬に予定されており、中国は男女とも参加するのでパリ行きの可能性は残っている。とはいえ、日本の10倍の人口を有し、東京五輪の金メダル数第2位のスポーツ大国としては、いささか寂しい数字と言わざるを得ない。

特に男子の不振はどういうことなのだろうか。

今回出場を逃した種目で中国が強さを発揮した時代もあった。女子サッカーは1996年アトランタ五輪で銀メダルに輝いたし、男子バスケは1984年ロサンゼルス五輪から2016年リオデジャネイロ五輪まで9大会連続で出場した。男子バレーも、2008年の北京五輪で5位に入賞した。しかし、今回はそうした過去の実績に見合う強さを発揮できず、3大球技すべてで男女とも出場権を得た日本に大きく差を付けられる結果となった。

中国でも急速に少子化が進んでいるが、14億の人口を持つ国で、将来はともかく現時点で人材不足などということは考えられない。現に卓球や体操など個人競技では世界最高レベルの競技力を維持している。そうした中での団体球技の不振。ネットでは、中国人の「協調性のない国民性なのでチームゲームには向いていない」といった自虐的なコメントも見受けられるが…。

パリ五輪では、中国は個人競技で強みを発揮し、メダル数で米国と首位を争うのだろう。その一方で、多くの団体球技ではパリの地にも立てないという現実。サッカー好きで知られる習近平主席は、この状況をどう見るのだろうか。