中国メディアの環球時報によると、米ニューヨーク・タイムズはこのほど、中国について「米国との人工知能(AI)における差を縮めつつある」とする記事を掲載した。
記事はまず、中国のショート動画アプリ大手、快手(クアイショウ)がリリースした動画生成モデル「Kling」を取り上げ、「米OpenAIが今年発表したSoraと呼ばれる動画生成ツールを彷彿とさせるが、Soraと異なるのは、一般公開されているということだ」と指摘した。
記事によると、米国はAI開発で先行しているが、中国も追い上げている。ここ数週間、中国の複数の企業が米国の主要システムに匹敵するAI技術を発表した。それらの技術はすでに世界中の消費者や企業、独立系ソフトウエア開発者に使用されている。米国企業の多くは、AI技術が偽情報の拡散を加速させたり、他の深刻な危害を引き起こしたりするのではないかと懸念しているが、中国企業は、自社の技術を消費者に公開したり、基礎となるソフトウエアコードを他の企業やソフトウエア開発者と共有したりすることに積極的だ。オープンソースと呼ばれるコンピューターコードの共有により、他社は同じ技術を使用してより迅速に自社製品を構築し、リリースすることができる。オープンソースは、コンピューターソフトウエアやインターネット、そして現在ではAI開発の礎となっている。その理念は、コンピューターコードが誰でも自由に調べ、使用し、改良でき、技術の進歩が速まるというものだ。AI技術は今後数年間にわたって発展を続けていくとみられ、中国の取り組みは多大な影響を及ぼす可能性がある。AI技術は労働者の生産性を高め、将来の技術革新を促す可能性がある。
記事によると、2022年にOpenAIがオンラインチャットボット「ChatGPT」をリリースしてAIブームを巻き起こした際、中国はOpenAIなどの米国企業が生み出す技術との競争に苦戦した。しかし今では中国の進歩は加速している。中国のハイテク企業の技術者や研究者ら十数人は、中国のAI開発が急速に進歩した主な理由としてオープンソース技術を挙げ、オープンソースAIを中国がリードするチャンスだとみている。
記事によると、中国がますます強力になる技術を開発するために必要なコンピューターチップの調達に苦労することになると懸念する向きもあるが、そのことは中国企業が米国のシステムと競合できる強力な新技術を開発することを妨げてはいない。中国のハイテク大手は、最先端のAI技術を自由に利用できるようにすることで、国全体の技術進歩に貢献する意欲を示している。中国政府は、ハイテク産業の力と利益を自給自足の目標に向けるべきだと定めている。(翻訳・編集/柳川)