2024年9月5日、中国メディアの環球時報は、日本で発生している米(コメ)の価格高騰と供給不足について、中国の専門家の見方を紹介する記事を掲載した。

記事は、7月まで限定的だった日本の米不足が8月に入って本格化し、日本政府は異常気象、観光客の増加、一般消費者の買い占めが原因との認識を示していると紹介。

地震や台風の影響で一時空っぽになったペットボトルの水やトイレットペーパーなどの売り場がすっかり元通りになった一方で、米売り場の棚だけが空になっているスーパーが非常に目立つと伝えた。

また、新米が出回る9月以降も米の価格は高止まりする見込みで、新米価格は昨年より20~40%高くなると指摘。先月26日には吉村洋文大阪府知事が日本政府に政府備蓄米の投入を訴えるも、坂本哲志農水相は同30日に「新米が間もなく出回る」として備蓄米の放出を行わない姿勢を示し、吉村知事が今月2日に改めて要望を出すも再度拒否されたと紹介。備蓄米とは、日本政府が毎年農家から買い取って確保している米のことで約100万トンあり、2011年の東日本大震災、16年の熊本地震では備蓄米が放出されたとしている。

その上で、南開大学日本研究院副院長の張玉来(ジャン・ユーライ)副院長が「米不足はまだ政府の認識する限界点に達しておらず、日本政府は現状で切れるカードをまだ持っているため、備蓄米の放出はしない」とするとともに、日本政府が備蓄米の放出を「奥の手」に取っておく大きな背景として「伝統的な米保護政策が密接に関連している」と指摘し、輸入コスト上昇で各種食糧価格が大幅に値上がりする中で米価格の上昇は許容範囲内にあり、安易な備蓄米放出で米価格が下落して農家の利益が損なわれることを避けるため、放出には慎重なのだと解説したことを紹介した。

一方で、日本の1~7月のコメ輸出量は同期間で14年以降最多となる2万4000トン超となり、主に米国やシンガポール、香港などの日本食レストランに輸出されたと紹介する一方で、坂本農水相が(輸出量は)米の生産量全体に占める割合が低いことから国内のコメ市場には大きな影響はないとの認識を示していると伝えた。

記事によると、張氏は1993年に日本で発生した米不足では中国を含む多くの国から輸入して危機を乗り越えたことから「今後日本の米輸入が増えるかもしれない」と予測、7月以降に対ドル円レートが上昇したことも米輸入に有利に傾く要素だとの認識を示すとともに「日本政府は毎年備蓄米、新米の貯蔵などさまざまな手段を重ね合わせることで、米の供給不足を適度に緩和する必要がある」と述べた。(編集・翻訳/川尻)

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