2024年9月8日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、パリパラリンピックで中国が他国を圧倒する200個以上のメダルを獲得したことに触れ、その背景について紹介する記事を掲載した。
記事は、04年のアテネパラリンピック以降毎回のように200個以上のメダルを獲得してきた中国が、今大会でも大台をクリアし、2位の英国に2倍の差をつけて圧倒的な強さを見せつけたと紹介。
そして、中国は五輪だけでなくパラアスリートに対してもリソースを十分に注いでおり、北京市にはパラスポーツに特化した大型施設や地域の施設が設置されていると紹介するとともに、中国の強さは「単にお金の問題ではなく、卓越した挙国体制のもとであらゆるリソースを注いでいる点にある」としたほか、最も顕著な要素として「アスリートがみんな愛国主義的感情を持ち、祖国のために栄光を勝ち取ろうとしていることだ」と指摘した。
さらに、中国がパラリンピックで輝かしい成績を収められる「特殊な原因」として、ライバルである米国ではパラアスリートの多くが負傷退役軍人であるのに対し、中国の選手は貧困地域出身の先天性疾患患者が多く、小さいころからパラリンピックに向けた組織的なトレーニングを受けていると分析したほか、膨大な人口も競争の優位性を高めていると伝えた。
一方で、中国社会の障害者に対する認識や扱いには改善すべき点がまだまだあると指摘。パラリンピックの開幕前後は中国国内で障害者に対する注目が高まるものの、1週間もすれば大会や障害者に対する関心はメディアを中心に大幅に低下すると指摘したほか、パラアスリートに対するリソース分配が手厚い一方で「最も基本的なバリアフリー設備、施設が深刻なほどに不足している」とも論じている。
記事は、今大会の車いす卓球で3つの金メダルを獲得した中国の馮攀峰(フォン・パンフォン)が「中国での障害者の暮らしはとても楽で、すべてがとても便利。日常生活でなんの障害にも遭遇したことはない」と海外メディア向けにコメントしたことを言及。「これはどうやらリハーサルを重ねたスピーチのようだ。残念ながら、中国に8500万人いる障害者が毎日直面している社会の現実を反映できていない。人権観察組織の報告によると、中国の障害者の40%以上は教育体系から排斥されたことで文字の読み書きができない」と評した。(編集・翻訳/川尻)