2024年9月9日、環球時報は、中国が独自に開発した衛星ナビゲーションシステム「北斗」が世界的な影響力を強めつつあるとする、香港メディアの報道を紹介する記事を掲載した。

記事は、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの7日付文章を引用。

中国の野望は日増しに高まっており、「北斗」の価値をより広範な地政学的文脈の中で捉え、長期的な投資を行っているとした。

そして、中国では自給自足と国家安全保障にますます重点を置く中で、全面的な利用が進んでいると指摘。中国の船舶のほぼすべてが、ナビゲーションシステムをGPSから「北斗」に切り替えるか両方を併用していると伝え、国産旅客機C919と同様に、北斗システムも、かつては輸入に頼っていた主要技術の国内代替品となっていると評した。

また、中国の関心は単なる「代替品」にとどまらず、「北斗」を自国の国際的地位の向上にも役立てようとしているとし、精度の向上に伴って「北斗」が米国のGPS、ロシアのGLONASS、欧州のガリレオに次いで、国際的な中軌道衛星捜索・救難システムに組み込まれた4番目のナビゲーションシステムとなったほか、昨年には国際民間航空機関(ICAO)の基準に合致し、世界中の民間航空で一般的に使用される衛星ナビゲーションシステムとなったと伝えている。

さらに、発展途上国では「北斗」の存在がますます顕著になっており、パキスタンでは港湾管理に、ミャンマーでは国土計画や河川輸送に、ラオスでは精密農業や害虫駆除に、ブルネイでは都市計画に、インドネシアでは海上パトロールに、サウジアラビアでは砂漠の奥深くにいる人や車両の位置確認に、ブルキナファソでは病院建設の精密なマッピングにと、世界各地でさまざまな目的で利用されていることを紹介した。

その上で米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の専門家が「衛星の数、観測スポットの数、一部の国における測位精度の点でGPSを上回っている。多くの国が米国のGPSの使用に固執しているのは地政学的な配慮のためだ」との見解を示したほか、シンガポール国立大学の専門家も「北斗システムの投資収益率は、ユーザー数だけで評価すべきではなく、多くの戦略分野で生み出される価値や海外での利益に基づいて評価すべきである」と述べたことを伝えた。(編集・翻訳/川尻)

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