2024年9月9日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国が外資企業による参入規制緩和を発表したことについて、その背景を考察する記事を掲載した。
記事は、中国商務部が8日「外資参入ネガティブリスト」における製造業分野の規制2項目を撤廃し、11月1日より同リスト全体の規制項目を31項目から29項目に減らすことを発表したと紹介。
また、7日には北京や天津、上海、南京、蘇州、福州、広州、深セン、海南島の9地方に外国資本100%の病院の設立(中医系病院設立や公立病院の買収は除く)を認め、北京や上海、広東、海南島にある自由貿易試験区などで外資企業によるヒト幹細胞、遺伝子診断・治療技術開発への従事を解禁することも発表したと紹介している。
その上で、英ロイターが「外資による対中投資意欲低迷が、中国経済の回復にとって脅威になっている。そこで中国は一連の外資投資規制措置を撤廃するとともに、政府関係者が再三政策の宣伝を行うことで、外資による投資を呼び込んでいる」と評したことを紹介。8日にも何立峰(ホー・リーフォン)副首相がアモイで開かれた中国国際投資貿易商談会の開会式で、外資のために「より良いビジネス環境」を創造する、「対外開放」が中国の基本的な国策といった中国の姿勢を改めて強調したことを伝えた。
記事は一方で「一連の措置や中国政府関係者のPRが奏功するかについては、なおも観察が必要」とし、米国との地政学的な争いや経済の見通した立たないという暗雲が立ち込める中、多くのアナリストが外資企業による中国投資撤退トレンドを察知していると指摘。昨年の中国の海外直接投資(FDI)はこの30年で最低水準となっており、多くの外資企業が「中国政府は引き続き国の安全保障や国家機密保持に関する規制を強化するのではないか」との懸念を抱いているとした。
そして、独シンクタンク・メルカトル中国研究センター(MERICS)のエコノミストが「外資企業幹部と中国政府の間で本当に対話や議論が行われているのか、中国政府が単に開放のポーズだけ見せているのではないのかという点が重要」と指摘し、ドイツ企業からも「中国は口約束ではなく、実際の行動をもっと積極的に取るべきだ」との声が出ていることを併せて紹介した。(編集・翻訳/川尻)