中国・上海市で女性が飛び降り自殺をした事件を巡り、交際相手だった男性に17万5000元(約348万円)の賠償を命じる判決が下った。中国メディアの瀟湘晨報が10日付で伝えた。

記事によると、事件が起きたのは2021年12月20日の明け方。男性と共に上海市の住宅に住んでいたナイトクラブ勤務の女性は、事件当日に酒に酔って帰宅。男性に仕事の愚痴を聞いてもらおうとしたが、男性は眠かったことや女性の帰りが遅かったことに腹を立て、「もう甘えてないで早く寝ろよ」と突き放した。

女性は男性の態度に「私を嫌っている」「私に関心がない」「私に良くしてくれない」などと文句を言い、その後、ベッドで「私を抱いて寝て」と頼んで近づいたが、男性は身をひるがえして背を向け、これを拒否した。

その後の出来事について男性は「(自分は)半分寝ている状態で、彼女がベッドから起き上がったのを感じた。カーテンを開けたり、窓を開けたりする音を聞いた。30秒ほどしたら『あっ』という声がして、地面に何かが落下する音が聞こえた」と説明した。

窓から転落した女性は死亡が確認され、女性の両親が男性を相手取って訴訟を起こした。

上海市静安区人民法院はこのほど開かれた裁判で、「2人がカップルという親密な関係であったこと、現場には2人だけしかいなかったという状況を鑑みて、被告は女性を慰めたり、眠れるように世話をしたりするなどの注意義務を負うものと考えられる。しかし、被告は世話をしなかったばかりか背を向け、女性の挙動を感じていながらすぐに起き上がって阻止しようとしなかった」と指摘した。

そして、「被告の不作為と女性の死亡との間に因果関係はある」とした一方で、当時の状況から酌量の余地もあると判断、賠償責任の10%(17万5000元)を負担するよう命じる判決を下した。

中国のネットユーザーからは「どんな時でも(彼女を)抱いてやらないと、いつ訴えられるか分かったもんじゃないな」「男性が飛び降りていたら、情緒不安定と言われるんだろう」「眠気とは本能であり、常にそれに抗えるとは限らない」「裁判所は女性を子どものように、常に世話が必要な存在か何かだと思っているのか」「やっぱり独り身が安全だ」といった声が上がった一方で、「抱いてやれば解決していた問題なのに」「カップルなら一方の気分が悪い時はもう一方が慰めてあげるべき。

冷たくするなら赤の他人と何が違うのか」との意見も多くの共感を集めている。

また、「検死で自殺と認定されているのだろうか。密室で2人のうち1人が死んだら、その死因はもう1人の言うがままだ」「慰めなかっただけで飛び降りたとは信じられない。絶対に激しい口論か何かがあったはず。男性は何か隠している」「女性が死んだ時の状況はスマホに記録されていたのではなく、彼氏がそう言っただけ。『10%』では軽い可能性もある」との声も少なくなかった。(翻訳・編集/北田)

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