2024年9月11日、中国メディアの鳳凰網は、「中国男子サッカー代表は税金の無駄遣いか」と題する評論記事を掲載した。
記事は、サッカー中国代表が10日のワールドカップ・アジア3次予選でサウジアラビアに1-2と逆転負けしたことについて「心理的なダメージは日本に0-7と惨敗したときより大きい」とし、前半14分に相手のオウンゴールで先制点をもらった上、18分には相手選手が退場、序盤からラッキーが重なって1点リード、1人多いという有利な状況をつくりながらリードを守れなかったことを失望のポイントとして挙げた。
そして、大きなハンデを背負ったサウジアラビアは本気を出し始め、中国代表のプレーのまずさもありサウジアラビアがボールを支配するようになったと指摘。これに対し中国はカウンターも機能せず、フリーキックで脅威を与えることぐらいしかできなかった上、フリーキックでさえ相手のほうが一枚上手で、サウジアラビアの2ゴールはいずれもコーナーキックからのセットプレーだったと振り返り「もはや中国がプレーで勝る部分は一つもなく、唯一の『取りえ』は終盤の逆転負けを繰り返すという『ドラマ性』ぐらいだ」と皮肉交じりに評している。
その上で、長きにわたりふがいない戦いを繰り返す中国代表はしばしば嘲笑や風刺、嫌悪の対象となり、「税金の無駄遣いだ」「さっさと解散しろ」といった厳しい言葉さえ飛び交うと紹介しつつ、中国世論の自国代表に対する厳しい視線は「中国のサッカーが、中国社会から独立した存在ではない」ことを示すものだと分析。他のスポーツではこれほど自国代表に罵声を浴びせられることはないとし「中国代表を嫌悪する人も、違った形で中国代表に対する関心を示しているのだ」と論じた。
記事はサッカーがあらゆるイデオロギーを超越して世界一普及したスポーツになった背景には「激しい争い、複雑な戦術を持つチームスポーツで、民族の性格やチーム意識、集団文化、個性の余地、フィジカル、頭脳といった要素を包含している」ことがあると説明。「中国代表のサッカーは決して税金の無駄遣いではなく、むしろ中国に存在する社会問題をリアルに露呈させる一つの手段なのだ。サッカーを通じて露呈する種々の問題としっかり向き合い改善すれば、中国社会はサッカーだけにとどまらない恩恵を受けることになる」とし、ふがいないからといって「解散しろ」と見放すことなく社会全体で中国代表の現実と向き合うとともに、中国代表たちがなおもサッカーを続けていることに感謝すべきなのだとの考えを示した。(編集・翻訳/川尻)