2024年9月12日、中国メディアの環球時報は、日本で起きた「令和の米騒動」で再燃した日本の食料自給率の問題について紹介する記事を掲載した。

記事は、「令和の米騒動」などと呼ばれた日本でのコメ供給不足が新米の流通開始によって緩和の兆しが見えてきた一方で、食料自給率に関する議論が続いていると紹介。

日本メディアによると、2016~23年の日本の食料自給率(カロリーベース)は38%前後という主要経済国の中でも低い水準で推移してきたと伝えた。

そして、上海外国語大学日本研究センターの廉徳瑰(リエン・ダーグイ)主任が日本の食料自給率の低さについて、日本人の食習慣が多様化して肉類や小麦食品などの消費が増えたこと、環太平洋パートナーシップ協定締結による外国産食品の流通加速などを主な要因として挙げたとした。

また、食料自給率は日本の政府や有識者、世論の懸念材料となっており、今年5月には日本政府が食料・農業・農村基本法を改正し、食料安全保障の強化と国内食料生産の拡大に向けた政策を打ち出したことを紹介する一方で、日本には食料安全保障の問題はなく、カロリーベースの食料自給率の算出は国民の危機意識を高めることが目的であるという見方もあると伝えた。

その上で、天津市にある南開大学周恩来公共管理学院の学者で、食料問題の専門家である徐振偉(シュー・ジェンウェイ)氏が「日本は以前より海外で農業を発展させる措置を講じており、大手商社が東南アジア、ブラジル、ロシアなど各国で農業開発事業を行うとともに、米国などの食料輸出先進国でも貿易ネットワークと物流ルートを確立してきた」と解説したことを伝える一方で、ここ数年は日本の購買力が低下し、新型コロナやロシア・ウクライナ紛争も日本の食料安全保障問題を深刻化させたと指摘。「お金さえかければ、海外から安い食料を買うことができる」という日本の思惑が崩壊しつつあるという専門家の見方を紹介した。

さらに、日本では深刻な労働力不足も生じており、食料の供給、自給を取り巻く環境がますます厳しくなっているとした上で、日本は農業革命の推進に力を入れており、政府が種まきから収穫までのさまざまな面で人間を支援できる農業ロボット数十種類の開発に補助金を支給するなどの措置を講じていると伝えた。

記事はまた、「騒動」が起きたコメについては「日本では現在、年間約700万トン生産されており、自給率はほぼ100%だ」とするとともに、食生活の西洋化に伴い、日本政府が米の生産量を減らすいわゆる「減反政策」も実施していると紹介。現在のコメ不足は減反政策の影響があるものの、日本政府には「プランB」があるとし、仮にコメの収穫がゼロだった場合でも日本国民全員が2か月間はコメを食べられるように約100万トンの米を備蓄しており、備蓄米と収穫米を組み合わせれば1年間の消費量を十分に確保できるのだと説明した。(編集・翻訳/川尻)

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