2024年9月11日、中国メディアの環球時報は、米国メディアのMarketplaceが9日に「中国はどのようにして2万ドル(約285万円)以下の電気自動車(EV)を製造しているのか」という論評を掲載したことを報じた。
同記事は、重慶市のライドシェア運転手が中国製EVであるBYDを1万8000ドル(約257万円)で購入した事例を引き合いに出しつつ、米国では最も安いEVでも約2万9000ドル(約414万円)することを指摘。
同記事は、中国製EVの価格の低さについて、「中国には約100のEVブランドが存在し、絶え間ない価格競争がEVの価格を押し下げている」とした上で、「その影響下で一部の国内ブランドは海外市場へと進出している」と言及。EU、米国、カナダは、中国製EVが補助金支給を通じて、競争優位を不当に得ていると指摘しているが、中国側はこのような主張を否定したこと、これに対抗して中国がカナダから輸入される菜種油に対するアンチダンピング調査を開始したことにも触れている。
そして、「中国企業は長年にわたる努力の末に成功を収めた。20年以上前から中国企業は新エネルギー分野に継続的に研究開発を行い、市場での競争を通じて技術革新やサプライチェーンおよびエコシステムの優位性といった独自の強みを築いてきた」との中国商務部の報道官のコメントを紹介した。
同記事は「利益を享受しているのは中国国内の自動車メーカーだけではない。中国政府が上海市にテスラが工場を建設するための優遇条件を提供したため、テスラは中国市場で成功を収め、収益を上げている」と主張した。
さらに、「相対的に賃金が低いのに勤勉である中国の労働力も、テスラや中国製EVブランドが手頃な価格のEVを製造できる理由の一つ」とした上で、生活費の安い湖南省長沙市でも7000元(約14万円)と、その土地にしては十分な月給がもらえることを紹介。一方で、工場で働く若者は減少しており、メーカーは賃金を引き上げるとともに、工場の自動化を進めていることを挙げ、「次第に中国の労働力の優位性が薄れつつある」ともした。
同記事は、中国の最大の強みは、包括的で垂直統合的なサプライチェーンを実現していることであると言及。自動車業界関係者の話として、「垂直統合により、自動車メーカー自身がEVの主要部品のサプライヤーとなる。EVで最も高価な部品をコントロールできれば、価格設定権を大きく高めることができる。