華字メディアの日本華僑報網は「日本人はどうして睡眠不足なのに長寿なのか」と題した文章を掲載した。
文章は、アジア諸国の睡眠時間は欧米諸国より短い傾向にあり、特に日本は短いと紹介。
また、日本は「夜ふかし大国」という必ずしもありがたくない異名も付けられていると指摘。夜ふかしの一般化は経済や社会が最適化されていない状態の表れであり、社会が必要とする利益が通常の就業時間では生み出しきれず、睡眠時間を削って生み出しているのだとした上で、東京で働くあるサラリーマンは毎日仕事から帰宅後に夜ふかしして統計や機械の知識を勉強していることを明かし、「周りに遅れを取らず、企業や組織が必要とする人材になるためには、睡眠は後回しにしてもいい」と語ったこことを紹介している。
そして、日本人の労働倫理、儒教文化、高い労働への期待といった文化的要因の影響を受け、日本では余暇を利用して専門技術を向上させなければならない風潮があるとし、「これは労働者の睡眠時間を犠牲にするものであり、健全なシステムとは言い難い。サービス品質を低下させることなく労働者の睡眠時間を確保する方法は、日本政府にとって大きな課題となっている」と論じた。
さらに、夜更かしを日常化させている大きな背景にはスマートフォンの普及もあると紹介。NTTドコモのモバイル社会研究所が実施した「2022年スマートフォンユーザー行動調査」では、スマートフォンの利用によって睡眠時間を削った経験が「ある」「少しある」と答えた人の割合が若年層で73%に上り、中年層でも38%に達したと伝えている。
文章は「興味深いことに、日本人は睡眠時間が最も短いにもかかわらず、2023年の世界保健機関のデータでは日本人の平均寿命は世界一の84.3歳である」とした上で、実際、人間の健康は睡眠だけで決まるものではなく、栄養や運動などの生活習慣や、収入、医療制度、社会保障などの社会的な要因も影響すると指摘。睡眠時間こそ世界平均より短いものの、全体的に見ると日本人の健康は十分に守られているのだと結論付けた。(編集・翻訳/川尻)