2024年10月9日、北京日報は、北京市延慶区の鉄道路線で85年前に旧日本軍が設置した緊急退避用レールが見つかったと報じた。
記事は、中国で現在進められている第4次全国文化財調査の一環として、同市延慶区八達嶺鎮にある京張(北京―張家口)鉄路三堡区間で先日調査が行われた際、三堡駅の北側約200メートルの地点で長さおよそ300メートルの緊急退避レールが偶然見つかったと紹介。
そして、見つかったレールに記されていた文字から、レールが近代鉄道レールの大手サプライヤーだったコッカリルが1906年に生産したものであることが分かり、京張鉄路の初期建設時に用いられていた安全設備の一つで、緊急時に列車を退避させ緊急ブレーキをかけるものだったと説明。堅固な材料で出来ており、風雨による侵食を受けながらも原型をしっかりと留めていたとし、調査チームは高精度設備を使用して詳細なデータ収集や記録を行い、後続の研究や保護作業に生かすとしていることを紹介した。
記事によると、全長約200キロに及ぶ京張鉄路は100年余りの歴史を持ち、たびたび戦火や災害ダメージを受けてきたことから、初期のレールが残っていたことはラッキーだったという。1939年に山崩れが発生して三堡駅の線路と駅舎が全て押し流され、その後旧日本軍が同駅の修復を行った際に長さ300メートルの待避線を新設したとみられる。
記事は、今回の待避線発見について「日本軍による中国侵略の史実に新たな実物の証拠がもたらされた」とも伝えている。(編集・翻訳/川尻)