中国メディアの銭江晩報は15日、カザフスタン・アスタナで開催されたITTFアジア卓球選手権大会で中国勢が低調に終わったことについて「中国代表が負けたことは実は意外に感じる必要はない」と題する記事を掲載した。
これまで圧倒的な強さを誇ってきた卓球中国代表が瓦解した。
記事はまず、女子シングルスで中国がまさかのメダルなしに終わったことに言及。パリ五輪女子シングルス金メダリストでランキング3位の陳夢(チェン・モン)と同2位の王曼昱(ワン・マンユー)が今大会を欠場し、エースの同1位・孫穎莎(スン・インシャー)は不調により棄権する中、石洵瑶(シー・シュンヤオ)は32強、蒯曼(クアイ・マン)と王芸迪(ワン・イーディー)は16強、陳幸同(チェン・シントン)は8強にとどまったと説明した。
また、「男子も楽観視できない」とし、男子ダブルスでは8強までにすべてのペアが敗退し、特に梁靖崑(リアン・ジンクン)、向鵬(シアン・ポン)ペアは32強止まりだったと指摘。世界ランキング1位の王楚欽(ワン・チューチン)は団体戦でイランの14歳に敗れ、男子シングルスでも準々決勝で韓国の18歳に敗れたこと、唯一決勝まで勝ち進んだ19歳の林詩棟(リン・シードン)も張本智和に敗れて準優勝だったことを伝えた。
記事は、「私たちはあまりに多くの中国代表の栄光の瞬間を目撃してきたため、今大会の敗北は世論の渦に飲まれることになった」と言及した上で、一つ目の問題点として「WTTが商業化され、試合日程が過密になっている」と指摘。中国選手らはチャイナスマッシュの決勝が終わった翌早朝にはカザフスタンに移動し、さらに翌日から団体戦が始まるというハードスケジュールで、特にチャイナスマッシュの2種目を決勝までフルに戦った孫穎莎の負担は大きく、今大会の団体戦後に不調のため、残る種目を棄権したことを説明した。
また、今回のアジア大会では「新素材」のシームレスボールが採用されており、「弾力性が高く、スピードが出るという利点はあるものの、回転がかかりづらく、軌道が動くなどの問題があり、チャイナスマッシュを終えた後にすぐに(新しい環境で)試合に臨むことになった中国選手たちには、調整や適応が必要だった」と主張した。
一方で、「私たちはライバルたちとの実力差がそれほど大きくないということをはっきり認識すべきだ」とも指摘。「パリ五輪では全5種目の金メダルを独占したが、その過程は波乱含みの展開で、(弱い相手を)『つぶして』勝つという状況はもはや存在しないことが明らかになっていた」とした。
そして、今大会で中国選手3人を破った16歳の張本美和、女子シングルスで孫穎莎を破って勝ち上がり金メダルを獲得した北朝鮮の金琴英(キム・グムヨン)、実力はすでに知られているフランスの18歳の新星フェリックス・ルブラン、パリ五輪男子シングルスで王楚禁を破って勝ち上がり銀メダルを獲得したスウェーデンの22歳トルルス・モーレゴードらの名前を挙げたほか、インドやイランの若手選手も中国選手相手に勝利するなど力を付けてきていると紹介。今大会の「番狂わせ」の背景には上記のような背景があったと説明した。
記事は、海外で続々と有力な若手選手が出てきている一方、中国の中堅世代が満足の行くパフォーマンスを出せていない現状があるとした上で、「新世代の選手により多くのチャンスを与えてこそ、大きな梁を担うことができるようになるのではないか」と若手の積極起用を提言。「次の五輪に向けたサイクルの中で、中国はより多くのチャレンジを受けることが予想される」とし、「(中国が)いかにして栄光を継続していくか、まだ考える時間は十分にある」と述べた。(翻訳・編集/北田)