2024年10月23日、環球時報は「電気自動車(EV)は中国でどうやって成功したのか」と題した独メディアの報道を紹介する記事を掲載した。

記事は独紙ミュンヘナー・メルクーアの22日付文章を引用。

文章は、中国乗用車市場聯席会が発表した9月の中国EV市場販売台数が112万台で、自動車販売全体に占める割合が52.8%になったと紹介する一方、同時期におけるドイツのEV販売比率は23.7%にとどまったと指摘し、中国でEVがよく売れる要因について分析した。

まず、消費者が価格を重視する中国にあって、EVが政府の補助もあって低価格で販売されていること、1回の充電にかかる費用が500~800円程度で400キロ走行できるなど、電気代がドイツに比べてはるかに安いこと、7月末現在で充電スタンドが1000万台以上設置されているなどEV関連インフラが整備されていることを挙げた。

また、ドイツ人が化石燃料車に強い愛着を持ち、EVに対する関心が薄い人が多い一方で、中国では若い人を中心にEVを受け入れていることにも言及した。

さらに、中国のEVメーカーのパフォーマンスも優れているとし、大型スクリーンやスマートフォンとの連携といった車内設備を重視するとともに、安全性能でも信頼性が高いと指摘。開発能力も高く、ドイツメーカーよりもスピーディーに新車を開発して市場にリリースすることができるとも説明し、「ドイツメーカーが化石燃料車の製造で持っている強みは、EVにとってもはや重要ではない」と評した。

このほか、中国はEV本体だけではなく、バッテリーの製造に必要な原材料の取得にも早々に乗り出し、EVを取り巻く産業チェーンを確立したとも紹介。戦略的な計画によって中国企業は今や世界のバッテリーサプライチェーンを牛耳る存在になっており、ドイツの自動車メーカーもバッテリーを輸入に頼らざるを得なくなっているとした。

文章は最後に、中国国内には数十ものEVメーカーがひしめき合って激しい競争が繰り広げられていることにも言及。この状況についてフォルクスワーゲン中国法人の元最高財務責任者(CFO)が「全てのEVメーカーが生き残れるというわけではないが、(厳しい競争を勝ち抜き)生き残ったメーカーは非常に有利なコスト構造を持つことになる」と語ったことを紹介した。(編集・翻訳/川尻)

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