2024年10月25日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国で資金の違法な海外流出が増加していることを報じた。
記事は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが23日に「厳しい資本規制にもかかわらず、6月末までの1年間に2540億ドル(約39兆円)もの資金が中国居住者から海外に不法流出した」と報じたことを紹介。
また、中国の不動産市場の崩壊と不透明な経済見通しが海外への資金移動を促しているとし、中国の不動産市場の崩壊によって2021年以降に約18兆ドルの家計資産が消失したとするバークレイズの推計を紹介した。また、エコノミストとウォール・ストリート・ジャーナルの分析によると、ここ数年の中国からの資本逃避の規模は15~16年の不動産市場低迷による資本流出の波を上回っているとした。
その上で、中国政府が大規模な景気刺激策を次々と打ち出していることに言及しつつ、アナリストからは「短期的には今年の成長を押し上げるかもしれないが、持続的な回復につながるかどうかは疑問符が残る」という否定的な見方が出ていると紹介。中国政府は見せしめとして複数の海外不法送金事件を取り締まっているものの、資本流出に歯止めはかかっておらず、「中国では投資機会が乏しく、人々がリスクを冒してまでより良いリターンを得ようと行動していることを示唆するものだ」との専門家の認識を伝えた。
記事は中国から海外への資金移転の手段について、中国人の資金を管理するファミリーオフィスの関係者が「一部の企業経営者は家族名義で中国国外にペーパーカンパニーを設立し、その海外企業を使って中国に拠点を置く企業の株式を取得し、配当金などの形で国外に資金を移転している」と語ったことを紹介。また、資本規制のない香港で芸術品をオークションに出して資金を獲得して国外へ移転する方法、中国政府が21年に禁止した暗号通貨による資金移転などを挙げて解説した。(編集・翻訳/川尻)