香港メディアの香港01は29日、中国各地で多発する襲撃事件を未然に防ぐ方法について論じた記事を掲載した。
記事は、今月28日に北京市海淀区の小学校近くの交差点で50歳の男による襲撃事件が発生し、子ども3人を含む5人が負傷したことに言及。
そして、北京の事件はまだ詳細が明らかになっていないものの、上海の事件は容疑者個人の経済的な問題が動機だったことを説明。また、深センの事件についても詳しい動機は明らかにされていないものの容疑者には安定した職がなく、2015年と19年に犯罪歴があったこと、一部報道では容疑者の動機について「職探しがうまくいかず、大きなことをしようという思いから日本人を狙った」と伝えられていることを紹介した。
さらに、今年6月には江蘇省蘇州市でスクールバスを待っていた日本人母子が52歳の男に襲われて負傷したほか、犯行を阻止しようとしたバス案内係の中国人女性が刺されて死亡する事件が起きたことにも触れた。
記事は、「これら4件は今年に入ってから頻発している悪質事件の縮図」と指摘。最高人民法院(最高裁判所)が発表したデータから、今年は刑事事件の件数が若干増加していることが読み取れるものの、「多くの人の認識では、中国社会は全体としては非常に安全である」と述べた。一方で、「それでも次々と悪質事件が発生し、大きな注目を集めていることについて、その背景にある原因を深く考える必要がある」と主張。4件の事件の容疑者はいずれも中年の男で、日本人襲撃事件を起こした2人はいずれも無職、上海の事件では「経済的な問題」が動機だったことから、「(容疑者は)経済や就職をめぐって苦境に陥っていたという特徴が際立っていることが分かる」と論じた。
その上で、「多くの一般人は、より良い生活のために一生奔走し続ける。もし経済的な苦境に直面したり、長期に失業していたりしたら、恨みが募り、極端な場合は社会に報復しようという心理が生まれることもある。こうした例は、古今東西さまざまな社会でも見られたものだ。だからこそ、経済問題は常に社会の核心である。
そして、「ここ数年、中国経済は成長率の低下と階層の固定化が重なって生じ、多くの人が所得の低下や失業に直面している。一部の人々が強く抱く社会に対する不満が、不安定要素になっている」と説明。「今年発生した多くの悪質事件は中国社会に対して、容疑者の犯行動機と原因を分析し、早期に防止措置を講じるようにとの警鐘を鳴らしているのである」と結んだ。(翻訳・編集/北田)