2024年10月30日、韓国・SBSは「日本植民地時代の強制徴用被害者であるイ・チュンシク(104)さんが、韓国政府の『第三者弁済』方式の被害賠償案を受け入れた」と報じた。

記事によると、イさん側は同日、日帝強制動員被害者支援財団から大法院(最高裁)の勝訴判決に基づく賠償金と遅延利息を受領した。

イさんは「1940年代に日本製鉄(旧・新日鉄住金)の製鉄所に強制動員され劣悪な環境で働かされたが、終戦後に賃金未払いのまま帰国した」と主張している。18年10月に大法院は日本製鉄や三菱重工業など日本企業の徴用を巡る損害賠償責任を認める判決を下したが、日本企業が受け入れず日韓関係悪化につながった。これを受け韓国政府は昨年3月、日本企業の賠償金を財団が肩代わりする第三者弁済案を解決策として発表していた。財団の財源は主に韓国の製鉄大手ポスコが寄付した40億ウォン(約4億5000万円)でまかなわれているという。

18年10月と11月の大法院の確定判決により勝訴した原告15人中11人が第三者弁済案を受け入れていたが、生存する元徴用工のイさんとヤン・グムドクさん(95)は最近まで反対し、賠償金の受け取りを拒否していた。

しかしヤンさんが今月23日に受領し、今回イさんも受領したことで、18年の判決で勝訴した元徴用工のうち、第三者弁済案発表時の生存者3人が全員、同案を受け入れたことになった。今月初めに死去したキム・ソンジュさんは昨年5月に賠償金と遅延利息を受領している。

なお、三菱重工業に強制動員されたと主張し、すでに亡くなっているチョン・チャンヒさんとハク・ヘオクさんの遺族はいまだ賠償金の受け取りを拒否しているという。

この記事を見た韓国のネットユーザーからは「日本が被害を与えたのに、なぜ韓国政府が補償するのか」「被害政府が被害者に賠償するおかしな解決策だ」「加害者が賠償するのではなく、被害者がセルフ賠償するとはね」「日本は絶対に認めない。だから仕方なく受領したのだろう。心からの謝罪もなく第三者が弁済か」など不満げな声が上がっている。

一方で「もっと早くこうするべきだった。

被害者は賠償金をもらって余生を楽に、余裕を持って楽しみ、残りの問題は日韓政府間で解決すればいい」「被害者が生きているうちに現実的な解決策を提示しないと意味がない」「被害者と遺族が求めているのは被害補償金。なんの関係もない第三者が『心からの謝罪なしに許すな』とやみくもに主張するのは間違っている」「そのお金を子どもや孫にあげたい気持ちも分かるけど、その前にやりたいことや食べたいものなど夢を全部かなえてほしい」などの声も見られた。(翻訳・編集/堂本)

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