2024年11月11日、香港メディア・香港01は「中国ブランド・SHEIN、パクリ騒動でもユニクロに完勝」と題し、中国のファストファッションブランドSHEINが各ブランドから「パクリ」の指摘を受けながらも急成長し、日本でもオンライン販売でユニクロの牙城を崩したことについて報じた。
記事は、SHEINが先日、日本でのオンラインユーザー数が804万人に達し、ユニクロの648万人を上回ったと発表したことに言及。
一方で、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングが先月行ったの決算報告会で、柳井正会長がSHEINについて「スピードという点では、確かに学ぶべきところがある」としつつ、そのビジネスモデルは国際標準、製造レベル、倫理観のいずれから見ても「グレーゾーン」であり長続きするとは考えにくく、競争相手としてはあまり気にならないと述べたほか、SHEINによる安易なモノづくりは資源の無駄遣いに思えるとの見解を示したことを伝えた。
記事はその上で、SHEINの魅力は「安い」ことだけに留まらず、柳井氏が言う「商品が簡単に製造されすぎる」という状況こそが最も大きな強みなのだと指摘。SHEINには最新のファッショントレンドやビッグデータからベストセラーとなりうるアイテムを探索する専門アルゴリズムを持ち、新しいデザインを迅速に生み出す能力があると説明し、毎日2000点の新しいSKUを追加可能で、既存のファストファッション大手Zaraでも半月以上かかるという新製品の生産がわずか7日で済むと紹介した。
そして、ビッグデータやAIを駆使してデザイン要素を取り入れるというSHEINの手法は往々にして盗作論争につながり、ユニクロが人気商品のラウンドショルダーバッグ(餃子バッグ)を模倣されたとしてSHEINに損害賠償を請求する訴訟を起こしたほか、リーバイスやナイキ、ドクターマーチン、ステューシー、オークリーなどの大手ブランドがSHEINを相手取って50件以上の訴訟を起こしてきたと伝えた。
一方で「世界経済環境が悪化する中で財布の紐を固くしている消費者にとって、デザインのパクリ疑惑など気になる問題ではない。しかも実際は、2020年以降の景気低迷の前に、SHEINはすでに欧米市場で確固たる地位を築き、ソーシャルプラットフォームを通じた若者のeコマース革命を引き起こしていた」と指摘し、世界経済を巡る現状がSHEINにとって追い風になっているとの見方を示した。
ただ、「飛ぶ鳥を落とす勢いだったSHEINの成長にも陰りが見え始めている」とも言及。「今年3月以降にSHEINのユーザートラフィックが大幅に減少し始めており、その要因が「パクリ問題」にあるのではなく、参入障壁の低い越境EC市場の競争がますます激化していることにある」と指摘し、「SHEINの経営陣が先月末、中国発のライバルであるTemuとの直接対決から撤退し、ブランド品やファッション製品の開発、販売に一層重きを置く方針を決定した」と伝えた。
また、SHEINがロンドンでの新規株式公開(IPO)を控える中でIT研究開発チームの再編の一環として従業員の10%を削減するという異例の措置に踏み切ったことにも触れ、「果たして、SHEINは柳井氏の予言通り短命に終わるのだろうか?今後の展開を見守るしかない」と結んだ。(編集・翻訳/川尻)