韓国の務安(ムアン)国際空港では昨年12月29日にチェジュ航空のボーイング737-800型機が着陸に失敗して大破炎上し、乗員乗客181人のうち179人が死亡する事故が発生した。同事故はこれまで韓国で発生した航空機事故の中で、死者が最も多い事故だった。
チェジュ航空の創立は2005年で、15年には韓国初の格安航空会社(LCC)になった。チェジュ航空は07年と13年に滑走路をはずれる事故を起こしたが、死者は出なかった。12月29日の航空事故はチェジュ航空として初めて死者を出した事故だった。
チェジュ航空は09年3月に国際線を開設し始め、現在では日本、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、グアム、サイパンなどへの54路線を運航している。チェジュ航空の国際線運航は、韓国人の海外旅行パターンを変えたとされる。大型連休中に海外旅行をしていた人が、短期休暇にLCCを利用して近隣国に向かうようになったからだ。韓国の海外旅行者数の年平均成長率は09年3月までは5.6%だったが、チェジュ航空が国際線を開設してからは、徐々に10.6%前後にまで上昇した。
しかし新型コロナウイルス感染症の流行に伴いチェジュ航空の経営は苦境に陥り、19年から21年までの累計赤字は6858億ウォン(約754億円)に達した。出資者の一つである韓国中堅財閥の愛敬グループが増資をすることで、チェジュ航空は危機を乗り切ることができた。
チェジュ航空は22年にも1739億ウォン(約191億円)の赤字を出したが、23年には1308ウォン(約144億円)の黒字転換を果たした。
チェジュ航空は24年年第3四半期(10-12月期)、日本と東南アジア路線の増便により、前年同期比59%増の430億8000万ウォン(約47億4000万円)の利益を出した。また、韓国国土交通省によると、チェジュ航空は同四半期に延べ330万人以上の乗客を得て、市場占有率14%の韓国第1位のLCCになった。
24年12月29日にチェジュ航空機が事故を起こすと、翌30日には同社の株価は暴落し、一時は過去最大の16%の下げ幅になった。(翻訳・編集/如月隼人)