2025年11月13日、中国のSNS・微博(ウェイボー)では、湖南省の観光地にある999段の階段「天梯」で行われた中国自動車メーカー・奇瑞汽車のデモ走行中に、制御できなくなった車が欄干を破壊するトラブルが注目を集めた。

微博に書き込まれたメディアの報道やネットユーザーの書き込みを総合すると、湖南省張家界市にある天門山景区で12日に「999段の天梯登りチャレンジ」というイベントが行われ、奇瑞汽車の新車、風雲X3Lモデルが緩やかな階段を登り始めたものの、途中で登りきれなって降下し始め、程なくハンドル制御がうまくいかなくなり欄干に衝突し、欄干が破壊された。

投稿された動画を見ると、山の斜面に沿って建設された「天梯」の下部から黄色い車が勢いよく登っていったものの、途中で勢いがなくなって登れなくなった。それでも出力を上げて登ろうとするが、車は土煙を上げるばかりで前に進まないどころか後退を開始。階段の中央を走行していた車体は右に寄っていき、右側の欄干と衝突した。その瞬間、欄干の一部が山の斜面に向かって落ちていくのが見えた。

車は欄干にぶつかった衝撃でようやく停止した。後退中もブレーキランプが点灯していたため、ドライバーが完全に制御できなくなっていた可能性がある。幸い負傷者はいなかったようだが、欄干にぶつかっていなければ加速した車が勢いよく下まで落ちてきて大惨事に至ったことも考えられる。

トラブルの発生を受けて、奇瑞汽車は13日、微博アカウントを通じて謝罪声明を発表。事故原因について「安全防護ロープの固定具が予期せず外れたためロープが右側の車輪に絡まり、動力出力が妨げられた。これにより車両が滑り落ちて欄干に衝突し、欄干の一部が損傷した」と説明した上で、チャレンジの計画・実行において潜在的なリスクの予測が不十分だったことを認めた。

そして、公共の場所でテストを実施したために大きな物議を醸したこと、天門山景勝地の設備に大きな被害を与えたことを謝罪。破損した欄干について全力を尽くして修復し、賠償責任を負うことを約束した。

この件について、中国のネットユーザーからは「奇瑞の対応が素早かったことは良かった」「夜通し状況を紹介し、進んで責任を負ったことは大いに称賛できる」など、奇瑞の対応を評価する声が見られた。

その一方で「ちゃんとできる技術がないならやるなよ」「こんなチャレンジに何の意味があるんだ?誰が車で階段を登るんだよ」「風雲X3Lの身の丈にあったプロモーションをすべきだ」など、注目を集めることを目的とした奇抜なパフォーマンスは避けるべきとの指摘も多く寄せられた。(編集・翻訳/川尻)

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