2026年1月6日、香港メディア・香港01は、中国製の安価な太陽光発電システムがアフリカ、特に南アフリカの経済と社会構造を根本から変えつつあると報じた。
記事は冒頭、ケープタウンの歯科医ブリー氏の事例を挙げ、かつては頻発する停電によりレントゲン撮影も治療もできず休業を余儀なくされていたが、現在は中国製の太陽光パネルとバッテリーの価格急落を背景に、安定した電力を確保していると紹介。
その上で、この急速な転換の背景には中国の「再生可能エネルギー覇権」と欧米市場の閉鎖性があると分析。米国が化石燃料輸出に回帰し、欧米が中国製品に関税障壁を設ける中、中国企業は信頼できる電力を必要とする人口6億人のアフリカに巨大市場を見出したと解説した。
そして、中国企業の急速な進出を裏付けるデータとして、昨年1~10月にアフリカ全土の中国製太陽光パネル輸入量が前年同期比50%増加したという英国のエネルギーシンクタンクEmberのデータを取り上げた。
中国の進出は単なる製品販売にとどまらず、国家インフラの根幹にも及んでいるようだ。記事によると、南アフリカが太陽光電力を全国に届けるための整備コストは約250億ドル(約3兆9000億円)に達すると試算されており、南アフリカ電力・エネルギー省のマレ副大臣が資金力と建設能力を持つ中国国有企業の入札参加に依存せざるを得ない現状を吐露したという。
記事はまた、この傾向を加速させている地政学的な要因として、米国との関係の変化にも言及。トランプ米大統領が南アフリカ製品に30%の関税を課し、G20サミットから同国を排除したことなどを伝えた上で、プレトリアのシンクタンク「安全研究所」のンゴンドゥ研究員が「米国との緊張が高まる中、中国政府は自らを『信頼でき、共感力のあるパートナー』として演出することに成功している」と指摘したことを紹介している。
一方で、急速な太陽光シフトは国有電力会社を深刻な危機にさらす結果も招いていると指摘。富裕層や企業が送電網から離脱して自前の太陽光へ移行することで収益が減少し、その穴埋めで電気料金を引き上げることでさらなる顧客離れが生じるという悪循環に陥り、電力会社が民間からの売電受け入れや固定接続料の徴収といった改革を迫られているとした。
さらに、太陽光ブームが現地の雇用創出に結びついていない点にも言及。設置工事こそ地元で行われるものの、パネルやバッテリーなど主要部品はほぼ全て中国製であり、ンゴンドゥ氏が「南アフリカは先進技術を消費しているだけで、産業的な利益が得られていない」と警鐘を鳴らしたことを伝えた。
記事は最後に、こうした課題を抱えつつも、現場レベルでは中国製品の恩恵が勝っている現状を紹介。地元の有名ワイナリーでは5年後には電気代がほぼゼロになる見込みであること、歯科医のブリー氏が「年金生活になっても電気代の心配をしなくて済む」と語っていることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)











