中国で大学院入学のための受験指導で有名な湯家鳳氏が、歴史の教育を強化し、英語の重要科目としての地位を取り消すよう、SNSを通じて呼びかけたことで、物議が巻き起こった。中国メディアの観察者網が伝えた。
中国では、教育についての保護者の負担や教育格差、子どもの負担の軽減を理由に幼少時から大学受験に至るまでの教育産業あるいは受験産業が厳しく制限されている。ただし大学入学後については本人の負担による成人教育の一種とみなされて、大学院入試に合格させるための有料での指導には制限がない。湯氏はそのような状況で人気を得た人物の一人で、数学の博士号を取得しており、専門の教科も数学だ。
湯氏が投稿した歴史や英語の教育についての話題は、5日には中国の代表的なSNSである微博(ウェイボー)のホット検索ランキングのトップに躍り出た。
湯氏はその後も投稿を繰り返し、一部の地域で高級中学(日本の高等学校に相当)の入学試験で、歴史の点数が評価の対象外になったことに「深く心を痛めている」と嘆いた。
湯氏が指摘した歴史教科の扱いについてはまず、北京市が2025年に実施した高校受験の改革で、歴史、地理、化学、生物の4科目を等級考査科目に変更したことがある。等級考査科目とは、試験を実施して基準に達したかどうかは問うが、合否を最終的に決定する点数評価の対象ではないことを意味する。遼寧省も2026年秋の新中学2年生から、同様の措置を適用することを決めた。
湯氏は、歴史は民族の精神と国家への帰属意識、愛国感情に関わる教科であり、高校受験における歴史の比重を下げるべきではないと考えており、「歴史を忘れることは過去の苦難と歩んできた道を忘れることを意味し、歴史の二の轍(てつ)を踏む可能性があることを意味し、ましてや歴史に未来の道を照らさせることは不可能になる」と主張した。
湯氏はさらに、どうしても科目を取捨選択して生徒の「負担軽減」をせねばならないのなら、「主要科目から蹴り出すべきなのはむしろ英語」と主張した。
湯氏は、英語は単なる道具であり「使えればそれでよい」と主張。「全国民が小学校から大量の時間と労力を費やして、就職した後には多くの人がほとんど使わない科目を学ぶことは合理的ではない」「世界中を見渡しても、我々のように英語にこれほど至上の地位を与えている国はない」「我々の子どもが母語すらまだしっかり学んでいない時に、大量の時間と労力を英語学習に費やし始めることは、世界中を見渡しても笑い話だ」と主張した。
湯氏の投稿はネット上で熱い議論を巻き起こした。
支持者は、小学校から大学まで英語にあまりにも多くの労力を費やしている状況は「全国民が点数取りに死に物狂いになる無意味な消耗戦」と主張し、英語は「選択科目」や「興味の授業」に格下げし、母語や歴史などより重要な学科に時間を取り戻させるべきと主張した。また人工知能(AI)翻訳などの発展に伴い、英語の「必要性」は低下しつつあるとの指摘もみられる。その他、英語を過度に重視する心理状態を終わらせ、自らの文化の自信を真に確立すべきだとする意見も寄せられた。
一方の反対者は、英語が主要科目でなくなれば、公立学校は英語教育に力を入れなくなると懸念を示した。その結果、裕福な家庭は依然として家庭教師を通じて子どもに英語をしっかり学ばせることができるが、一般家庭の子どもは公平に競争する機会を失う可能性があり、このことは貧富の格差と教育の不平等を激化させるとの主張がある。
その他にも、世界の科学技術や学術の最前線へ通じる「鍵」としての英語は、科学研究、貿易、国際交流において依然として不可欠な道具であり、英語教育の弱体化は国家の長期的な競争力に影響を与える可能性があるとの指摘もある。(翻訳・編集/如月隼人)











