中国国家統計局が9日発表した8月の生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)は、いずれも伸びが加速した、とロイター通信が伝えた。中東紛争に絡む供給リスクでエネルギー価格が高止まりしていることが背景だが、基調的な内需は依然として低調だった。
ロイター通信によると、輸出主導の景気回復が根強い内需の弱さを補っているものの、中国経済は貿易摩擦、低迷する消費需要、天候に絡む混乱といった逆風が続いており、景気回復の勢いに影を落としている。 PPIは前年同月比3.8%上昇。7月の3.5%から加速し、ロイターがまとめた市場予想(3.6%上昇)も上回った。
CPIは前年同月比0.8%上昇と、7月の0.5%上昇から伸びが加速し、市場予想と一致した。 国家統計局の統計官、董莉娟氏は「国際的な原油価格と非鉄金属価格の上昇が中国国内の関連業種の物価を押し上げた」と説明した。上昇率が最も大きかった業種の一つが非鉄金属の精錬・加工(前年比20.8%上昇)で、石油・石炭・燃料加工(同11.1%)、石油・天然ガス採掘(同10.5%)を上回った。
董氏によると、エネルギー価格上昇はCPIの前年比上昇分に約0.28ポイント寄与した。 さらに8月には台風と豪雨が国内の広範な地域を襲い、輸送、生産、建設活動に混乱が生じた。 変動の大きい食品とエネルギーを除くコアインフレ率は1%と、7月の0.9%から加速した。
イラン戦争が長期化する中、中東の緊張の高まりが原油価格を下支えし、人工知能(AI)需要に絡むメモリー半導体の供給不足が一部業種のコストを押し上げた。ただ、根強い内需低迷で全体の物価上昇は抑制され、当局による断片的な消費支援策は幅広い回復にはつながっていない。
中信銀行国際のチーフエコノミスト、丁孟氏は「コアインフレ率は比較的低水準にとどまっており、インフレ圧力は年内、抑制された状態が続く可能性が高い」と指摘。
当局は信頼感の下支えに向けた取り組みを強化。消費者や中小民間企業向けの融資利子補助を拡大している。財政部は8月、経済状況次第で追加の財政支援を実施する方針を示唆。 また、長年にわたり家計支出の重しとなってきた不動産市場の安定化を目指し、政府は8月、住宅の予約販売を抑制する措置を講じたほか、個人向け住宅ローンの最長期間を30年から40年に延長した。
オランダの総合金融機関「ING」のグレーターチャイナ(大中華圏)担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「中国経済にはなおデフレの領域が残っているものの、消費者物価は低水準ながらもプラス圏で落ち着く方向にある」との見方を示した。(編集/日向)











