フロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の公安委員会が、2018年2月に同校で起きた銃乱射事件の調査を終え、同様の事件の再発を防ぐための提案書の草案を完成し、その中にフロリダ州の学校に勤務する教師の銃の携帯を認める決議も盛り込まれた。生徒も保護者もこの決定を非難し、校内に持ち込む武器が増えると子どもたちの危険が増すという研究結果を提示した。


フロリダ州の法執行局の管轄であるこの委員会では、委員の投票によって採決したところ、13対0で志願する教師の銃携帯を認める結果となった。銃の携帯を認められる教師の厳密な身元調査が行われ、銃の取り扱いのトレーニングも義務付けられる。フロリダ州法では校長や図書館員などの教職員の銃の携帯は認めているが、これまで教師には認められていなかった。

同委員会の委員長を務めるピネラス郡保安官ボブ・ガルティエリは、最後の会議でこの措置に賛成を示した。銃乱射事件で最も多くの死者が発生するが最初の2~3分間で、警察が現場に到着する前に多くが被弾してしまうため、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校での事件でも、教師が銃を所持していたら、銃撃犯ニコラス・クルーズがAR-15セミオートマチック・ライフルに再装弾するのを止めることができた可能性があるというのが、ガルティエリ保安官の主張だ。

NPO団体Everytown for Gun Safetyを母体とするMoms Demand Action for Gun Sense in AmericaとStudents Demand Actionのフロリダ支部は、この委員会の決議を非難する声明を出した。


この声明には次のように記されている。「教師が銃を携帯すると生徒の危険が増すという研究結果が出ている。この理由から、全国の学校安全の専門家、教師、警察官は教師の武装に反対である」

また、Students Demand Actionでボランティアをする高校生ジュリアナ・シモーン・カラスコの「フロリダの学校に通う生徒の一人として、この州の学校の安全を確保するために設立された委員会が教師に銃を持てと促すことに愕然としている。私が通う学校の先生たちに武装してほしくない。選出された指導者たちには何よりも先に、危険な意図を持った人間の手に銃が渡らない方策を決めてほしい」という発言も同声明に含まれている。

CBSマイアミの報道によると、同委員会は教師の武装化という決議に加えて、校門の未施錠、防犯カメラの設置場所の不備、廊下の拡声スピーカーの欠如など、同校の銃乱射事件があれほどまでに致命的になった原因となる数多くの不備や過失を発見した。
またこの報道では、学校のリソース担当者だったスコット・ピーターソン代理が「職務怠慢」で銃乱射が行われている最中に「普段の訓練通りの行動をせずに自己保身に走った」こと、多数の郡保安官代理が事件現場到着後すぐに銃撃犯と対峙することを怠ったことも明らかにされた。同委員会の調査結果は州知事と州議会に現地時間2019年1月1日に提出される予定だ。

アメリカ自由人権協会(ACLU)のフロリダ支部は、今回のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の公安決議を疑問視しており、事件後に実施された委員会の設立自体にも疑問を呈している。同委員会の決議では校内に法執行機関の介入を促すことになる。ACLUは、これによって軽犯罪で拘束される学生数が増える可能性が高く、有色人種の生徒たちへの偏見と差別が助長される危険があると以前から警告していた。

ACLUはこの決議についてウェブサイトで「州議会は、州内のすべての学校に警察官を一人駐在させる十分な予算を計上していないため、学校が独自で警備員を雇う必要性を強く感じ始め、それを実現するために校内の安全を脅かすリスクを軽減することに役立つ教育プログラムの予算を警備員費用に割くようになっている」と述べていた。