アコースティックライブ『MTVアンプラグド』にニルヴァーナが出演した際、カート・コバーンが着ていたアイコニックな緑色のカーディガンがふたたびオークションにかけられることになった。このカーディガンがオークションに出品されるのは、この4年間で2度目である。訊かれる前に言っておくが、このカーディガンはなんと、一度も洗濯されていない。
「一度も洗濯されていない、という点がとても大切なんです」と米オークションハウス、ジュリアンズ・オークションの社長・CEOを務めるダーレン・ジュリアン氏はローリングストーン誌にこのように述べた。「シミもまだ残っています。タバコによる焼け焦がしの跡まであるのがわかります」。
ビジネスマンであるカーディガンの現所有者(匿名希望)は、カーディガンを中性の薄紙に包み、金庫で保管していた。ジュリアンズ・オークションは同じような薄紙にカーディガンを包み直し、プラスチック製のケースに収納した。
2015年11月、マンハッタンブランドのコバーンの「アクリル、モヘア、ライクラ(合成繊維の一種)の混合素材で作られた、外ポケットがふたつ(どちらにもシミがあり、左ポケットには焼け焦がしの穴もある)とボタン5つ(そのうちひとつが欠けている)のカーディガンは、ジュリアンズ・オークションにて13万7500ドル(およそ1500万円)で落札された。この金額は、オークション前の6万ドル(およそ650万円)という予測金額を大きく上回った。
米現地時間10月25日、このカーディガンがふたたびジュリアンズ・オークションに出品される。
「ロックンロール関連の記念品は、いまでは投資の様相を呈しています」とジュリアン氏は語る。「単なるコレクター市場ではなく、投資市場なのです。2015年にこのカーディガンを購入した人は、投資として買っています。カート・コバーングッズが史上最高金額で取引されているいま、人々はこうしたグッズを売りはじめています。我々は、当初の倍以上の金額で売れることを期待しています。こうした状況を私は”芸術の新市場”と呼んでいます。人々はますますポップカルチャー、とりわけロックンロールに投資しています。自らのコレクションをより多彩にするための手段なのです」。
2015年のオークション同様、カーディガンには出どころの証明として、娘フランシス・ビーン・コバーンのベビーシッターで、コートニー・ラブの親しい友人だったジャッキー・ファリーさんによる直筆文書が付属する。1994年にコバーンが亡くなると、ラブはこのカーディガンをファリーさんにプレゼントしたのだ。
2015年のオークションでこのカーディガンを落札した人物が誰であるかは不明だが、購入者はコバーンファンのビジネスマンである、とジュリアン氏は明かした。
ジュリアン氏が主催しているLives Icons and Idolsオークションには『イン・ユーテロ』期のツアーでコバーンが使っていたカスタムメイドのギターも出品予定。それがコバーンのお気に入りだったことを証明する、ラブの直筆文書も付属する。ターコイズブルーのボディに赤いまだら模様のピックアップカバーが付いたレフトハンドモデルのフェンダームスタングの予測金額は、30万ドル(およそ3200万円)から50万ドル(およそ5400万円)だ。
10月25日から26日にかけて開催されるオークションには、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、アレサ・フランクリン、エリック・クラプトンなどのアーティスト直筆の歌詞も出品される。「いとしのレイラ」の草稿も含まれる予定だ。2019年のはじめには、コバーンがニルヴァーナ最後の写真撮影で着用したセーターがオークションにて7万5000ドル(およそ800万円)で落札されている。