パノラマパナマタウンが、デモから曲を完成させる過程を公開する企画「PPT Online Studio」。毎週火曜21時から、自身のYouTubeチャンネルにて生配信中である。


パノラマパナマタウンは、福岡、広島、大阪、神戸と、それぞれ出身の異なる4人が、神戸大学の軽音楽部で集まり、結成された4ピースオルタナティヴロックバンド。2019年末、岩渕想太(Vo / Gt)が声帯ポリープを発症し、治療のためライブ活動を休止。その最中、田村夢希(Dr)が脱退を発表することに。岩渕の治療が終わり、3人の新体制で本格始動しようとした矢先、新型コロナウイルスの影響で4月5日に日比谷野外大音楽堂で開催予定だった自身のフェス「パナフェス2020 TOKYO」が中止になってしまう。

まさに、どん底ともいえる状況に陥っても彼らは歩みを止めることはなかった。デモから曲を完成させていく過程を公開する企画「PPT Online Studio」を開始し、有り余った音楽活動へのエネルギーを示すかのように、オンラインという形式も活かしながらファンとの交流を図り、時には意見を取り入れながら曲を作り上げている。そんな彼らの楽曲が完成するまでの様子を追っていく。第2回となる今回は「Cameleon Man」、「Rocket」、「SO YOUNG」3曲の完成までをレポートする。

岩渕想太(以下、岩渕):今回はちょっと挑戦回ですよ。シーズン1ではデモを作って「Rodeo」を完成させてきました。それで今日から始まるシーズン2でやっていくデモを作ってきたんですけど、その曲が結構いっぱいあって。それをまずは今回で全部聴かせちゃおうと。


タノ アキヒコ(以下、タノ):すごいな、前代未聞や。

岩渕:コメント欄とかも参考にして曲を選ぶかもしれない。皆の一票で変わるかもしれないから、この曲が良いとかどんどん言って欲しいね。

タノ:新曲オーディション番組だね。率直な意見を待っています。

岩渕:じゃあ行こうか、挑戦回やから緊張するね。今回は4曲、「UNDERSTOOD」、「SO YOUNG」、「Chameleon Man」、「Rocket」のデモを作ってきました。この4曲の中から何をやっていくのか決めると。まずは「UNDERSTOOD」から流していきます。聴きながらコメントしていってね。「SO YOUNG」は爽やかで心地いい曲。ドライブしながら聴きたいね。
「Chameleon Man」は、歌詞は仮で適当に歌っているんですけど、ところどころ想いが溢れている部分が歌詞になっています。弾き語りっぽい感じで聴きたい。

タノ:ええやん、ええやーん。

浪越康平(以下、浪越):ええやーん。

岩渕:ちょっとコメント見ていこうか。票は、配信が終わってからTwitterで集計するってのもいいね。

浪越:見た感じ4曲目の票が結構強いですね。

岩渕:聴いてみてどうでした?

タノ:俺は「SO YOUNG」と「Rocket」が良かったってメモを書いたけどね。どっちがいいかって言われと悩むなあ。先月の「Rodeo」と比べると、より歌がしっかりくる感じで、結構どっしりしてる。

岩渕:なるほど、今は言わんどこ。浪越はどう?

浪越:俺は3と4が好き。


岩渕:「Rodeo」と比べると結構歌モノ寄りやな、明るい。走りながら聴きたいとか言われてたし。じゃあこれをこの中から何曲選ぶかわからないけど、アレンジしていくと。

岩渕:前回は俺が4曲デモを持ってきまして。その中からどの曲をアレンジしたのかっていうのを流しながらやってこうかなと思うんですけど、まずは1位だった「Rocket」。この曲は投票も1位だし、俺たちもアレンジしたかったということで。今回のアレンジで何が変わったかというと、ベースとドラムが入ったんですよね。ドラムはいつものサポートドラムのオオミくんがやって、タノがベース入れてくれて。俺もボーカルを録り直したり、ギター弾き直したりした。

タノ:ベースは結構8分ルートで弾いた。岩渕のリクエストがあったのもあるんだけど、8分ルート音をずっとダウンピッキング、音の感じはちょっと野暮ったい、もっさりした感じにしようとしていて。8分ルートでずっとダウンで弾いちゃうと圧が出ちゃうけど、この曲はそんなに圧を出したくなかったからね。
他には、高音を出してちょっとチープな音作りにするかも迷ったけど、来週はもしかしたらそっちになるかもしれない。

岩渕:それは俺と浪越のサウンドも聴いてそうなった?

タノ:そうそう。毎回バランスを考えてる。

岩渕:コメント来てるよ。「パノパマっぽくなった」、「明るくなった」、「ベースが気持ちいい」など。爽やかになったってことなのかな? でも俺と浪越がギター入れたらもっとアンニュイっぽさが戻ってくると思うから。

タノ:ベースももう1回考えないとね。今週はこんな感じです。

岩渕:まあ「Rocket」はこういう感じなんですけど。次の曲は、前回の投票とか関係なしに俺がどうしても「Chameleon Man」をやりたくて。ベースとドラムを入れてみました。

浪越:(デモを聴いて)素晴らしいやないかキミ。


岩渕:誰やねん(笑)。結構気づいてくれた人もいるけど、俺がやりたいからにはと思って新しくBメロをつけてみました。オアシスっぽい進行というか。

タノ:さっきの「Rocket」と比べたらだいぶ力強さがあると思うんですよね。歌をやっぱり立たせたいなと思ったから、それを支えるベースにしたくて。音使いも結構滑らかにして、歌と歌の間、コードとコードの間をつなげる感じにしたくて。キックドラムには合わせているんですけど、でもそこまで細かくシャキシャキっとせず。割とだらっと、ドッシリ歌を支える感じのベースにしようと思いました。普段はサビ前に結構入れているフレーズがあるんですけど、そこはちょっとお茶目で滑稽さを出している(笑)。

岩渕:オオミのドラムメモもあるよ。「サビまではルーズで、だらしないハイハットが魅力」と。これはベースとドラムで共通しているところだと思うんですけど。


タノ:うんうん。「Chameleon Man」のほうが納得いっているわ。「Rocket」はもうちょっと練りたい。

岩渕:ここまで2曲紹介したけど、実は「SO YOUNG」もアレンジやったんだよね。「SO YOUNG」は、オオミ含めて皆が好きっていうのがあって。

タノ:でもこれ投票最下位やったから(笑)。

岩渕:タノが確か「最下位ってことは最下位なりの良さがあるから、逆に2位とか3位よりすごいんじゃない」って言ったんだよね。でも1番進化したの「SO YOUNG」じゃないかな。

タノ:これは正直1番上手くいけた気がする。これ普通の8分ルートじゃないのよ。「SHINKAICHI」みたいなにデンデンデンデンじゃなくて、小節の頭にスライド奏法を使ったんのよ。勢いとか粘り、気怠い感じも出るし。「ラプチャー」とかでもやっているんですけどね。それを活かす為に、オーバードライブでうっすら歪ませて音を作ってみました。サビはズンズン前進させていきつつ、後半はちょっと動いて賑やかにしていくと。

岩渕:かっこいい。ドラムのサビ前のフィルインが入っていい感じになったね。抑揚がついた感じしますね。

タノ:来週は浪越がギターを入れると。

浪越:今週は僕何もしてないですからね(笑)。

岩渕:でもこれ浪越も弾き甲斐があるんじゃない?

浪越:あるね。でも曲がいいからあまり余計なことしないほうがいいかなとも思うけどね。

岩渕:今回は浪越のギター回ですね。3曲のver.3聴いていきましょう。まずは「SO YOUNG」。
これイントロのギターがかっこいいね。

浪越:ジャカジャーンってやつね。

タノ:サビ終わりのギターもいいね。最初は出さずにあそこから出てくる。

岩渕:この曲で1番推したいポイントはどこですか?

浪越:この曲はやっぱり1番シンプルにしようと思ってて。イントロはコードでジャカジャーンって弾くだけ。ちょっとリズムつけたいところはブリッジミュートで刻んでいって、ブルース的な土臭い感じを演出しました。とにかく、やっぱりシンプルに拘りました。

岩渕:なんかずっと夜明けって感じがする。

浪越:あとイントロに2回出て来る通信音、ピピピみたいなやつね。

タノ:あれどうやってやったん?

浪越:キルスイッチを使って、ボリュームのオンとオフ繰り返させるやつ。でも結局この曲は歌がいいから、何をしても良くなるって感じなんやけどね。

タノ:これはもうライブが見えるわ。

岩渕:次のデモいきましょうか、「Rocket」。かっこいいね。

タノ:方向性がバシッと決まった気がする。

岩渕:色々迷った時もあったけど、結局いいところに落ち着いたな。これのギターのこだわりはどんなとこなん?

浪越:これは全部話すよ。イントロは、ザ・ストロークスの「Reptilia」のオマージュなんよね。フィードバックの音から入ってきて、岩渕とユニゾンするとこあるじゃん。ギターをピッキングする時に、ボディ側じゃなくてヘッド側の指板の上で弾いているのよ。そしたらちょっと芋ったらしさが出て来る、これが拘ったところなのよね。この曲はエフェクター踏んだりとかじゃなくて、ギターのピックアップ切り替えたり、ピッキングする位置替えたりとかだけで音を使い分けているんで、その割には結構多彩な音色を出せているんじゃないかな。

岩渕:Bメロの折り返しのキメはかっこいいな。あれ大好き。色々なところにザ・ストロークスのオマージュがあるよな。

浪越:今回のデモ3曲は、実はザ・ストロークスとザ・フー、オアシスのみから出来ているんですよ。1曲ずつしっかりオマージュ込めてんのよ。

岩渕:じゃあ最後の曲いってみようか、「Chameleon Man」。めっちゃいいよね、これイントロはなんのオマージュなんですか?

浪越:これのイントロはね、岩渕とめっちゃ考えて2人で導き出した結果でもあるけど、オアシスの「Supersonic」って曲なのよね。キキキキって音がめっちゃ難しくてさ。「このイントロの尺、倍の方がええんちゃう?」 って岩渕に言われたときは、ほんまに……。

タノ:ほんまに欲しがるなと思った?(笑)

岩渕:それ俺が5時間前にラインしたやつやんけ(笑)。

浪越:それ終わって寝た(笑)。

岩渕:ラインして寝たんや(笑)。これも歌を撮りなおしたけど、やっぱ歌が気持ちいい曲やなと思った。次週は最終編よろしくお願いします。ここでお知らせです。パノラマパナマタウン、日比谷野音音楽堂ができなくなって長々と復活ライブができない状況でしたが、7月にやっとオンラインライブをします。

タノ:半年ぶりかな?

岩渕:俺らのリスタートライブっちゅうか。この体制になって声も出るようになって、初のライブを開催するということで。もう一個ありまして。7月のライブまで待ってもらうのも疼いちゃうんじゃないかなと思うので、昔の俺らを思い返してもらえるものを出そうと思って。2020年1月19日に行ったリキッドルームでのライブ音源がリリースされます。メンバーが選んだ9曲でアルバム『Live at LIQUIDROOM 2020.1.19』が出るから(現在配信中)。皆さんよろしくお願いいたします。来週もよろしくお願いします。パノラマパナマタウンでした。

岩渕:今回シーズン2最終回です。4週間前に俺が持ってきたデモ4曲から3曲をアレンジしてきて、今回完成です。浪越はだいぶミックスで手こずったんじゃない?

浪越:手こずったな、3曲もあるとやっぱり時間かかったな。

岩渕:今回はボーカルも入れていて、歌詞もFIXしてるのでそこも聴いてみてね。早速「Chameleon Man」から聴いてみようか。この曲を最初デモで持ってきたときは、オアシスを意識してというか。コードも少なめでオアシスっぽくってやっていこうと思っていたんだけど、そこからBメロも増やしたり軽やかな感じになるようなアレンジもしてね。持ってきた時よりは大きな曲になったって感じがするよね。歌詞のテーマとしては、色々なものへの憧れて、真似とかもしちゃうけど、結局自分ってなんなんだって虚しくなる瞬間があって、それをカメレオンマンに例えて曲にしました。

浪越:サビの最後の「大人になれないや」のところ、めっちゃ好きやな。この曲はフルで聴きたいよね。こういう曲ってフルで作るとめっちゃいいやろうからなあ。コメント見ると、「めっちゃ岩渕さんって感じ」って言ってる人がおるんやけど、僕もそう思うんよね。岩渕の等身大というか、カメレオンって歌ってて歌詞もそういう曲やけど、全然カメレオン的じゃなくてね。

岩渕:素直すぎて、ちょっと恥ずかしいところもあるもん。次もいきましょう、「Rocket」。

タノ:「Rocket」、もうちょい聴きたくなるな。

岩渕:そうやなあ。「Rocket」めっちゃ好きやわ。

浪越:めっちゃ化けたな。

岩渕:さっきの「Chameleon Man」はデモより大きくしていったけど、今回はどんどんミニマムにしてったというか。色々なものを削っていった。持ってきたときはザ・ストロークスのオマージュを意識していたし、浪越のギターもミックスもザ・ストロークスっぽいアレンジでね。ザ・ストロークスって少ない音数でかっこいいバンドだから、そういうのを俺らが目指して作っていって。最終的には上手くいったなって満足していますね。

浪越:この曲はミックスが一瞬で上手くいったな。シンプルにできた。これ歌のレコーディングは拘ったところがあるんじゃないですか?

岩渕:コメントとかでも言ってくれているけど、気怠い感じというか。芯を食ってない感じで「新宿」、「夜」っていうワードも入れたけど、まさに新宿の夜をフラフラしながら歌っている感じで歌って。昔のパノパマでやっていたようなアプローチだけど、喉が治ったし歌もいろいろ歌えることができた中で、もう一回そのアプローチやってみようかなという感じですね。「Rocket」の歌詞は、ずっと夜まで遊んでいて、なんかここに残ってなんかしたいけど、このバーも行き飽きたし、居酒屋でもない。公園で飲むのも違うし、映画も観たいものがない、だけどなんか一緒にいたいっていう時が僕はあるんです。そういう時にロケットみたいなもので、突拍子もなくどこかに行ければなっていう想いを歌にしていますね。なんかやりきれない感じ。

浪越:この曲は歌詞が抽象的なところもあるから、いろいろと知りたいな。朝は三回目の約束とかあるやんか、あれもどういうことなんやろって思う。

岩渕:ぜひ何回も聴いて欲しいな。次の曲いこう、投票4位だった「SO YOUNG」。

浪越:いやあ、いいですね。

岩渕:いいYOUNGやな。これが一番デモから進化したというか、俺のデモになかったものがめちゃめちゃあるもんな。ライブで「SO YOUNG」って言いながら跳ねる瞬間とかええやろな。

浪越:これは結構いいな。ライブのこととかも想像しちゃう。

岩渕:皆でドラムセットのところに集まって向き合って、後ろからオレンジのライトが当たって、リフが鳴って。シルエットが浮かび上がって、浪越のギターがジャーンって鳴って、影が伸びてみたいなのが想像できるもんな。

浪越:歌詞の「夕暮れの街のサリンジャー」が好きってコメントしてる人がおるな。

タノ:そこが一番ガツーンと入ってくる。

浪越:僕も「夕暮れの街のサリンジャー」っていう意味はよく分かってないけど好きやな。

岩渕:俺も正直よくわからんけど(笑)。少年の曲やけ、若さを感じるものをいっぱい入れようと思って。サリンジャーって俺の中では青春文学の一つで、サリンジャーに出てくる若い人の葛藤みたいなものを歌にしようって思ってた。この曲は色々な声が入っているから、浪越もミックス大変だったんじゃない?

浪越:これは大変だったけど、なかなかいいバランスに仕上がったと思っています。

岩渕:これ最初ミックス上がってきた時に、こんなまとまってカッコよくなるんやって思ったもん。これ、若い時に衝撃受けた瞬間を歌ってて。音楽を聴いてやってみたいと思うけど、全然自分は身体が追いつかなくてできないとかさ。やってみたいけど未熟で全然できんけどいこうぜっていう曲なんだけど。Bメロで「何億光年も先から風が吹いたんだきっと」っていうのは、andymoriの「革命」って曲があって。その曲で、かなり遠くからでもずっと風を吹かせてれば、いつか誰かのところに届くよって歌っててさ。俺が最初にバンドでコピーした曲が「革命」だから、最初にギターを持った瞬間の声が届いて、弾き始めたっていうのを歌ってる。

タノ:確かに100日1000日繰り返したっていうフィーリングがね。

岩渕:これやりたいと思うけど、なかなか技術が追い付かないとかさ。これやってみたいけど、今の俺じゃできないっていうヤング感とかね。

タノ:俺ら今でもあるもんな。だから今でもやり甲斐や。

岩渕:そういう気持ちを持ってる人は皆「SO YOUNG」ってことやな。まあでも3曲アレンジ終わりましたね。お疲れ様でした。来週からまた新曲やります、よろしくお願いします。

こうして、企画第2弾としてデモ3曲を完成させたパノラマパナマタウン。スタイルの異なる3曲に各メンバーがアプローチしていく中で、曲として変わっていく姿を示してくれた。そんなパノラマパナマタウンにインタビューを敢行。今回3曲を仕上げていく中で、どういったアプローチをしていったのか話を伺った。

ー今回、ザ・ストロークスとザ・フー、オアシスのオマージュでデモを作ろうと思われた理由を教えてください。

浪越:今回作っていた曲たちは、どれもロックな曲に仕上げたいと思っていました。最初からオマージュだったわけではなかったのですが、自分たちの最初のアルバム『SHINKAICHI』の「SHINKAICHI」という曲は、Oasisの「Rock n Roll Star」を意識していて、それが気に入っていたので、ロックなデモが上がってきたところで、今回もそういったオマージュを込めたいなと狙っていました。例えば、「Chameleon Man」のイントロのギターの”キリキリ”といった音とドラムとの兼ね合いはOasisの「Supersonic」を思い出しますよね。その瞬間に1990年代のイギリスから今日に至るまでだったり、いろんな景色が見えて来るのは自分の音楽の楽しみ方の一つです。

ー現在、ドラムはサポートのオオミさんが叩かれていますが、デモにドラムを入れる段階でのアプローチはどのようにされているのでしょう?

岩渕:最初デモを作る時に僕が入れてるドラムはあくまで仮で、ざっくりとした展開が分かるようなものなんですが、それをオオミに入れ直してもらいデモの骨組みが完成します。オオミに関しては、サポートメンバーとして入ってもらってるけど、元々大学の友人で、気心しれた仲なので、細かいコミュニケーションをとりながら、方向性を伝えます。リモートで曲作りする中でも、生の質感を残しておきたいという思いから、オオミ自身、生でドラムを叩いてたらどうするかということを考えて、細かなベロシティ(音の強弱)やフィルを打ち込んでくれています。自分のドラムへのこだわりが強いやつなので、今度配信で思う存分喋ってもらいたいと思っています。

ー2週目のベースアレンジでは、ベースとドラムで共通している方向性がありました。デモを聴いて各パートがアレンジをしていく中で、それぞれが最初に感じる方向性が被ることは多いんでしょうか? またどんな部分で音楽的なフィーリングが一致することが多いでしょう?

タノ:岩渕がデモを制作する段階でリファレンスにした音楽が共有されている場合は、ある程度具体的な方向性が全員みえているので、デモを聴いて最初に合わせる段階で方向性が大きくズレるということはあまりないです。その次のアレンジを詰めていく段階で、どう身体が動きたくなるか、どうやったらもっと気持ちよくなるか、どういう景色がみたいか等の抽象的、感覚的なイメージを話していく中で共有できて、そこから細かいレベルでアレンジをまとめることができるという部分にメンバー間の音楽的なフィーリングの一致を感じます。メンバー同士の他愛無い長時間のZOOM飲み会とかの中で、聴いてる音楽や見たライブ映像等を各々が喋りまくるので、そういうことが制作の時のイメージ共有に活きている気がします。

ー「Rocket」のミックスはスムーズにできたと仰っていましたが、他の2曲のミックスで拘られたポイントはどんなところでしょう?

浪越:まず、「Rocket」はすごくシンプルな曲なので、それぞれの楽器の音を調整して合わせると、すぐにバチッとピースがハマってかっこいいロックナンバーになりました。「SO YOUNG」は、多彩なコーラスとブルージーなギターリフが魅力な曲だと思うので、歌の広がりが気持ちいいブルースロックをイメージしてミックスしました。「Chameleon Man」は、これも”いなたい”ブルースロックに仕上げたかったが、それと同時にOasisのライブ映像を見たときのように広い景色が見えてくる曲にしたかったので、ドラムとベースの位置にこだわりました。

ー「SO YOUNG」についてはフル尺での公開もしていない段階でMVを自作で撮られていました。それだけメンバー内でこの曲に対する期待が大きかったということなのでしょうか? この曲に対しての考え方や想いなどをお聞かせください。

岩渕:自分が作ったデモの中でも、ライブでの風景がすごく見えるし、方向性が自分の中で固まっていたので、4曲の中でも推していたんですが、タノも浪越もこれはやりたいと言ってくれ、すんなりアレンジが進んで行った曲です。サビの開け方、全体を貫く前のめりな高揚感など、仕上がってくるにつれ、当初想定していたよりいいぞいいぞ!となり、今回MVを作ることにしました。曲のテーマとしては、若さ、それによる未熟さや拙さについて歌ってます。コロナにより、なかなか思うような活動ができず、活力はあるのに、それを表に出せないもどかしさが続き、4月頃は塞ぎ込んでいた時期もあったんですが、曲作りなり、配信なり、MVなり、家でできる様々な表現をこなしていくことで、自分を取り戻していったような感覚があって。思い通りにならずもどかしいこと、上手くいかないことの前で、もがき続けるのは意味あることだなーと気付いた、その経験を歌にしてます。MVも、今にしか撮れない映像を撮ろうとアイディア出して、満足いくものができました。

<リリース情報>

パノラマパナマタウン、洋楽ロックへオマージュ捧げた3曲の制作秘話


パノラマパナマタウン
ライブアルバム『Live at LIQUIDROOM 2020.1.19』

配信日:2020年6月17日(水)
各種主要配信サイトにて配信中
AppleMusic:https://music.apple.com/jp/album/id1516424627?app=music&ls=1
Spotify:http://open.spotify.com/album/5375Og8vno246TlDgZmyVB

パノラマパナマタウン
「PPT Online Studio」

毎週火曜日21時公開
パノラマパナマタウンYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC7Q4otUjEoecB0g0IMogI5g
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