スティーヴィー・レイ・ヴォーンが1990年8月27日に亡くなってから30年。エリック・クラプトン、バディ・ガイなどと共演した生涯最期のステージを振り返る。


30年前のこの週(8月26日)、スティーヴィー・レイ・ヴォーンは生涯最期のステージを披露した。彼はこの日、ウィスコンシン州イースト・トロイにあるアルパインヴァレー・ミュージック・シアターで、エリック・クラプトンの前座を務めた。コンサート終了後、ヴォーンとクラプトンの3人のスタッフはヘリコプターに同乗し、シカゴのミッドウェイ空港へと向かった。霧がかった夜で、ヘリは離陸後間もなく会場付近のスキー場に墜落。ヴォーンを含む乗員全員が亡くなった。

●【動画を見る】スティーヴィー・レイ・ヴォーン、生前最期となった伝説のセッション

1990年夏、ヴォーンは自らのバンド、ダブル・トラブルとともにアルバム『In Step』のプロモーションツアーの真っ最中だった。
数年前に重度の薬物およびアルコール中毒を克服して以来、初のアルバムだった。アルバムのタイトルは、ヴォーンが治療で体験した12ステップ・プロセスのこと。彼はツアー中ずっと禁酒を貫き、健康的な生活を送っていた。

当初ツアーは劇場で、ヴォーンとダブル・トラブルがヘッドライナーを務める形でスタートしたが、やがて大規模なアリーナや屋外劇場へ会場を移し、ジェフ・ベックやジョー・コッカーといったアーティストとのジョインで行うようになった。アルパインヴァレーでの最終公演では、4万人の観客を前にエリック・クラプトンのオープニングアクトを務めた。ヴォーンのステージは「Pride and Joy」「Couldnt Stand the Weather」「Crossfire」などのオリジナル曲に、スティーヴィー・ワンダーの「迷信」、バディ・ガイの「Leave my Girl Alone」、ジミ・ヘンドリックスの「ヴードゥー・チャイルド(スライト・リターン)」といったカバーが織り交ぜられた。


エリック・クラプトンのステージ終盤、ヴォーンはバディ・ガイ、ロバート・クレイ、兄のジミー・ヴォーンとともに再びステージに登場。伝説となった16分のジャムセッションでロバート・ジョンソンの「Sweet Home Chicago」を演奏した。今回はその演奏をご覧いただこう。ヴォーンの最期のパフォーマンスだ。「(あれは)言葉では語りつくせなかった」 1993年、クラプトンはこう語った。「欠けているものは何もなかった。
これ以上手を加える必要もまるでなかった」

2015年、ヴォーンは没後ダブル・トラブルとともにロックの殿堂入りを果たした。「彼は想像を絶する勇気の持ち主でした。薬物とアルコールの依存症という悪魔に打ち克とうとしたのですから。そして克服したとき、彼はギタープレイヤーとして前よりも成長してステージに戻ってきました」。殿堂入りの際のスピーチで、ジョン・メイヤーはこう述べた。

「よく会話の中で、とくにギタープレイヤーのことを語る際に”wannabe”(~もどき)という言葉が出てきます。
偽物とか胡散臭いとかいう意味ですが、本来の意味をただせば”want to be”(~志願)です。とても重要な存在、意義ある存在になりたいと願うのは、最高の人生の過ごし方です。僕はスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようになりたい。僕は彼のwannabeです」

From Rolling Stone US.