ダンス&ボーカルグループ、iScreamの1stアルバム『i』が完成した。既発曲7曲に加え、新曲6曲を加えた全13曲収録。
ダンス曲やバラード曲、動と静を行き来する多彩なポップソングが収録されていて、彼女たちの最大の強みである歌唱力・表現力をじっくり堪能できる。今回、RUI・YUNA・HINATAにインタビューを実施。また、Rolling Stone Japanの公式TikTokではアルバム収録曲「愛だけは…」のアカペラ動画を公開中なので、そちらも併せてチェックしてもらいたい。

【動画を見る】「愛だけは…」のアカペラver.

—1st EPを出した後、配信で2曲リリース、そこからの1stアルバムという流れは予想してましたか?

RUI:デビューしてまだ1年も経っていない新人の私たちが(『Maybe...YES EP』で2021年6月23日にデビュー)、4作品目でこうしてアルバムを出させてもらえるなんて、最初聞いた時はびっくりしましたし、ファンの皆さんやスタッフの皆さんのおかげで、iScreamの曲が13曲も揃ったということがすごくうれしくて。曲ごとに異なるカラーがある作品ですし、いい意味で自信に繋がるアルバムになった思います。

—「himawari」(2021年9月配信)でバラード曲ならではのiScreamの良さを発揮しつつ、その後の「つつみ込むように...」(2022年1月配信)ではMISIAのカバー曲を通して「iScreamの歌ってすごい!」って多くの人に知ってもらうことができた(2022年5月現在、YouTubeで同曲は200万回以上再生されている)。
このタイミングでアルバムというのもよかったですよね。実力を知ってもらうにはベストな状況というか。

3人:はい!

RUI:MISIAさんの楽曲は、EXPG  STUDIOに通っていた時に、歌のレッスンの課題曲でよく歌わせていただいていましたし、「つつみ込むように...」だけじゃなく、他のたくさんの名曲も聴いていたので、そんな偉大なアーティストさんの楽曲を自分たちがカバーして世の中に出させていただくって、これは一体どうなるんだろうって想像ができなかったんです。実際にこうして、ミュージックビデオの再生回数が上がって、多くの方に知ってもらえたことで、名曲の力ってすごいなって改めて思いました。コメント欄でも温かい言葉を皆さんが残してくれたのは、MISIAさんの楽曲がそれだけ愛されている証拠だと思いますし、皆さんに愛される名曲というものを、私たちもいつか出したいという夢を持つことができました。

YUNA:今回、アルバムの制作スケジュールで言うと、1週間に1回のペースでレコーディングだったので、1曲1曲に対してどういう想いで臨むのかが難しかったです。
どの曲も大切にしたいからこそ、アルバム制作というのが初めての体験だったので、どんな風に自分で解釈して、どうやって表現したらいいんだろうって全体を見ながら考えるのが、自分にとっての挑戦で一番大変なことでした。でも、ディレクターの方やメンバーと一緒にレコーディングしたからこそ、自分自身では気づかないことが分かったり、その結果、自分の意見を持てるようになりました。

HINATA:デビューEPに入ってる「Maybe...YES」は、私たちと同世代の子が共感してくれるような、等身大でピュアな楽曲で、その次の「himawari」は私たちの武器でもある歌唱力の面をバラードソングとして皆さんにお伝えできましたし、「つつみ込むように...」では、MISIAさんの曲を通して一段階上の表現を見せることができたと思います。アルバムには、それらに加えて新曲が6曲収録されているのですが、これまで挑戦したこがとないタイプの曲にもチャレンジしてますし、いろんな面を見せることができたと思います。

「Maybe...YES」

「himawari」

「つつみ込むように...」

—10代の目線で考えるとサブスクで音楽を聴くのが当たり前だと思うんですけど、皆さんの中に”アルバム”というフォーマットで音楽を聴く習慣ってありました?

YUNA:好きなアーティストだったらアルバムで聴くことはあります。なので自分たちのアルバムを作る上で、曲順も自分たちで考えようってことにしたんです。
それぞれの楽曲に愛があって好きだからこそ、どの曲も飛ばさず聴いてほしいので、曲順を決める時はアルバムを通してライブを見てるような感覚になるように意識して。起承転結が見えるようにとか、その中で浸っていたいバラード曲のゾーンを入れてみたり、3人で工夫しながら作りました。

HINATA:私たちと同世代の方が多く聴いてくださると思うので、自分たちは普段他のアーティストさんのアルバムをどういう風に聴いてるかとか、そういうところから話をしました。

RUI:この曲はこの感じで終わるから、そのままの余韻で行きたいよねとか、ビート強めの曲を持ってきたいよねとか。曲と曲の流れにこだわりました。自分たちでも決めながらテンション上がったりして。


YUNA:テンションは大事にしたいね。

iScreamの3人が語る、「歌」を極めるためのプロセスと結果
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RUI(Photo by Mitsuru Nishimura)

3人の「こだわり」がiScreamを成長させた

ーダンス曲やバラード曲があって、その中にR&BやJ-POPのテイストもある。多彩な曲が揃ったアルバムですが、皆さんが特にこだわったところは?

RUI:今回は歌い回しやアレンジとか、一つひとつの要素にメンバーのこだわりがたくさん入ってると思います。楽曲の中で「どうしたら自分のカラーを上手く出せるか」「どうしたら曲を盛り上げられるか」ということを、3人それぞれが前より考えられるようになった気がします。

YUNA:これまでは3人で話し合って「この曲はこういう感じの情景だよね」と話し合ってからレコーディングに臨んでいて、今もそれは変わらないんですけど、より具体的にお互いが意見を出し合えるようになりました。「つつみ込むように...」の時に自分たちの音楽的なスキルを突きつけられたので、それがきっかけで「もっとこうしたい」という目標を持てるようになったんです。
それをアルバムに活かすことができたのかなと思います。

—「つつみ込むように...」で学んだ音楽的なことって具体的に言うと何ですか?

YUNA:私自身のことで言うと、歌い方やリズムの取り方など、自分はこう歌わなきゃいけない……という固定概念が最初は強かったんです。もうちょっと伸びやかに歌いたいのに、自分の場合はどうしてもブラックミュージックっぽいフィーリングが出てしまう。それが自分の強みですし、ちょっとエッジを効かせたりするのは得意なんですけど、この曲はそういうアプローチだけじゃダメだなと思いました。自分の中でバリエーションを増やして、曲に合わせて自由に歌えるようになりたいと思いました。

HINATA:デビュー時から比べると、楽曲がどんどん難しくなっているので、自分たちもそれに負けないように、スキルを上げていかなきゃいけないですし、皆さんに気持ちよくこのアルバムを聴いていただくためにも、一つひとつのフレージングや声の出し方とか、試行錯誤はそれぞれあったと思います。


—HINATAさんは「Eyes to Eyes」のラップパートを担当してるんですよね。

HINATA:とっても楽しかったです。今まではバラード曲で高音部分を担当したりとか、そういう役割が多かったので、ちょっと新しい自分を見つけた感じがしました。

—では、新曲の中で最もチャレンジングだった曲は何でしょう?

RUI:チャレンジという部分だと「Diamond」かなと思います。海外で流行ってるメロウなラップやR&Bのようなサウンド感があって、自分たちのボーカルも大人っぽく艶やかなところが出てるので。今回のアルバムは、初めてディレクションくださった方も何人かいて、いつもとは異なる視点からアドバイスをいただくことも多くて。この曲はそういう意味でも新鮮でした。

HINATA:私はリード曲の「茉莉花 -Jasmine-」です。普段はアップテンポの楽曲とか、速いテンポの曲を聴くことが多いですし、実際ダンスのレッスンでも、そういう曲の方が得意なので、そうじゃないタイプの曲のリズムを感じるのが難しくて。そういう点で「茉莉花 -Jasmine-」も大変でした。一回試しにレコーディングしてみて、そこで学んだことを自分で持ち帰って、もう一回レコーディングしたんです。それくらい時間をかけて録ったので、すごく頑張りました。

YUNA:私も「茉莉花 -Jasmine-」です。HINATAが言ったように、最初のレコーディングの時にほんとにうまくいかなくて(笑)。いま振り返ると、忙しくて準備万端じゃない状態でレコーディングに臨んだために、自分の気持ちがまったく追いついてなかったと思うんです。結果的に今までで一番悔しかったレコーディングになりました。あと私の声質的に、切なく聞こえる部分があるみたいで。自分の中では明るく歌っていても、「もうちょっと明るく」って言われることもあって。自分の声のコントロールと気持ちの部分で「茉莉花 -Jasmine-」は難しかったです。

—すごく繊細な世界ですね。

YUNA:はい。だからレコーディングする時、私はアクセサリー全部外すんです(笑)。

HINATA:こだわり(笑)。

YUNA:ボーカルブースの照明を暗くする、っていうのもあります。歌に入り込みたいので。

iScreamの3人が語る、「歌」を極めるためのプロセスと結果

YUNA(Photo by Mitsuru Nishimura)

いろんな形の「愛」を歌う

—メンバー同士、各自のレコーディングを間近で見て、ここが変わったなぁと思うことは何かありますか?

RUI:現場の雰囲気は変わったと思います。自分らしさとか自分がやりたいことをたくさん考えて、それを実現化させようとして頑張る、みたいな。達成できたら、いい顔してボーカルブースから出てくる(笑)。そういう表情を今回見られた気がしますし、成長したのかなって思います。

HINATA:私は3人の中だと最後にレコーディングをするので、2人がブースから出てきた時の感じで、うまくいったのか、うまくいかなかったのかが分かるし、2人の声を聴いて、「これは仕掛けてるな」「ここアレンジしてるんだ」っていうのが分かるんです。それを受けて、じゃあ自分はこうしようとか、逆に同じようなフロウでやろうとか、いろいろ考えるようになりました。デビュー時のレコーディングはやはり緊張しましたし、言われたことに関して、その通りにやっていたんですけど、今は失敗とかあまり気にせず、2人とちゃんとマッチしてるかどうかとか、前後の繋ぎとかそういうことをちゃんと考えながら、3人で一つのものを作る意識になってきたと思います。

—その意識はアルバムを聴いても感じます。

RUI:これまでの私は自分自身のキャラクターを固定しがちだったんです。iScreamのRUIはこういう存在でいなきゃいけないって。そういう考えが頭の中にあったから、歌い回しは変えても、声質やアプローチが似ていたような気がしていて。でもアルバムの曲を通して新しい一面を引き出せたことで、その枠が外れた気がします。例えば「Secret Love」は、STYさんっていう作曲家の方に作っていただいて、直接ディレクションしていただいたんです。語尾はもっと跳ねていいよとか、もっと可愛くキャッチーに歌っていいよとか。今までのRUIだったら絶対やってなかったような、そういう自分もアリなんだと思いましたし、すごく刺激的でした。

—歌詞の部分はどうですか。恋愛要素もありつつ、iScreamならではの「愛」を歌った曲が揃ったと思いますが。

YUNA:「茉莉花 -Jasmine-」だと、それぞれ好きなフレーズはあると思うんですけど、私はサビの”探すものじゃない 愛は不意に 胸の奥から溢れてくるのね”っていうところが好きです。「himawari」と少し似ていて、比喩の表現ーーはっきりと言葉でありのまま表すのではなく、女の子の恥じらいや好きっていう感情が、絵の具に置き換えて表現されていたり、そういうところも愛おしいと感じる曲です。歌詞の世界観に引き寄せられて、ジャスミンっていうお花の名前の由来を知りたくなるし、奥深い曲だと思います。

RUI:私は「Meant to be together」がすごく好きです。私たちのこれまでの軌跡をそのまま歌詞にしてくださっていて、オーディションで3人が出会って、練習期間を経て、2年越しにデビューして、同じ夢を見ながら頑張っている……という内容で。歌いながら、メンバーの顔や応援してくださる皆さんの顔が思い浮かびます。レコーディングの時もライブをイメージしながら歌いました。

HINATA:iScreamの音楽はグループ名の由来である、”愛を叫ぶ”というのが大きなテーマだと思うんですけど、恋愛ソングだけではなく、今回はファンの皆さんとの愛だったり、メンバー同士の愛だったり、いろんな種類の愛が詰まっていて。恋愛に限らず、悩んでる方の背中を押してくれるような、皆さんに寄り添える「愛」が感じていただけると思います。

—iScreamはデビューの時期がコロナ禍と重なっていて、デビューのタイミングでのお披露目イベントも配信限定だったし、でもこうしてアルバムを完成させることができて、リリースイベントでファンの前でパフォーマンスができる。ようやく「時は来た」という感じなのでは?

YUNA:iScreamが結成された時は、デビューしてすぐにファンの皆さんの前でライブがしたいと思っていたんですけど、コロナの影響もあってなかなか思うようにいかず、このままで大丈夫かなって思ったりしたこともありました。でもこうしてアルバムを作ることができて、今ではいろんなお仕事ができていますし、すごく恵まれた環境にいると思います。そう考えるとコロナ禍の期間っていうのは、自分たちにとってはプラスになったことも多かった気がします。

RUI:ほんとにそう思います。オンラインライブやSNSの大切さがすごく分かったし、私自身も「もっとフォロワーを増やそう」「もっとiScreamのことを広めよう」と思うようになりました。これから皆さんと実際にお会いできる機会が増えていくことを願って、これからの頑張る原動力にしていきたいです。

HINATA:RUIとYUNAは今年卒業してしまったんですけど、コロナ禍の期間、3人とも高校生だったんですよね。そのなかで3人で意見を出し合って、自分たちでできることは全部やりましたし、どんな状況でもファンの皆さんとのコミュニケーションというのを第一に考えて動いてきたんです。オンラインライブもできましたし、先輩方と一緒に大きいステージに立たせていただいて、さらに温かい言葉をいただいたり、ほんにたくさんの経験をしてきました。これからライブやツアーを通して皆さんと直接会えたら、もっと好きになってもらえる自信が3人にはありますし、たくさんの人に注目してもらえるように頑張っているので、この努力を続けていけば、自分たちが叶えたい大きい夢はいつか叶えられるんじゃないかなって、いつも思ってます。

iScreamの3人が語る、「歌」を極めるためのプロセスと結果

HINATA(Photo by Mitsuru Nishimura)

<INFORMATION>

iScreamの3人が語る、「歌」を極めるためのプロセスと結果

『i』
iScream
LDH Records
発売中

01. Scream Out
02. Sugar Bomb
03. Diamond
04. 愛だけは…
05. himawari
06. So Bright
07. つつみ込むように...
08. Secret Love
09. Pendulum
10. Eyes to Eyes
11. Maybe...YES
12. 茉莉花 -Jasmine-
13. Meant to be together

@rollingstonejapan #iScream #アイサケ #i #iしてる #愛だけは #アカペラ #acapella #fyp @iscream__official ♬ Aidakeha - iScream