2019年に本誌WEBで、フジロック/サマーソニック両陣営による対談企画が実現。ライバル企業のスタッフである2人が「これからは協力すべき時代」と頷き合い、洋楽文化に対する危機感、お互いのフェスに対するシンパシーを語ったことで大きなバズを生んだ。
あれから3年。状況はすっかり様変わりしてしまったが、両者はコロナ禍の困難をどのように受け止め、洋楽フェス復活に向けてどんな思いを抱いているのか。前回に引き続き、スマッシュの宣伝/ブッキング担当・高崎亮さん、クリエイティブマン宣伝部・安藤竜平さんに話を伺った。

【前回記事】フジロック×サマソニ運営対談 フェスと洋楽文化を支える両者のリアルな本音

2021年までの成果と苦悩

―今年のラインナップが発表されたとき、洋楽フェスがついに復活するんだなと感動しましたが、ここにたどり着くまでは苦難の連続だったと思います。まずは今の率直な気持ちを聞かせてください。

高崎:コロナになってから海外アーティストを呼べない状況が続いてましたが、去年のスーパーソニック(9月18日・ 19日)で「まさか呼べるんだ!」となった。
僕もお客さんとして観に行ったんです。

―「サマソニ皆勤賞」と前回も話してましたよね。

高崎:ステージを観ながら、「洋楽公演ってこんな感じだったな」っていうのを久々に思い出しましたね。それこそ僕は、いつもサマソニに行きながら「このアーティストはこれぐらいの集客だった、お客さんの反応がこうだった」という分析をしてたけど、そういう感覚を2年も忘れていたという。それまでは「どうせ呼べないし」と諦めそうになったりもしましたが、「よし、自分たちも行くぞー!」とワクワクしたのを覚えています。

そこから各省庁に働きかけ、面倒な書類を提出したりして、来日公演の実績を少しずつ作っていこうと動き出したのに、(オミクロン株の影響で)また入国停止。
そのなかでギリギリ間に合ったのが、キング・クリムゾンでしたね(クリエイティブマン招聘:11月27日~12月8日)。

安藤:あのときは入国後10日間の隔離措置が義務付けられ、ホテルとリハーサル会場、公演会場以外は移動不可(東京オリンピックと同様のバブル方式)だったので、まずはその期間に東京公演を行い、制限が終わってから名古屋・大阪を回るというスケジュールにして。ツアーが始まるまでは「本当に来るのか?」というのもあってチケットも伸び悩みましたが、「最後の来日公演」というのもあり、追加公演はソールドアウトになりました。

高崎:そんなふうに「ついに呼べる!」「また渡航できなくなった」みたいなモヤモヤ期間が続いたわけですが、その頃からウチもクリマンさんも(フジロック/サマソニに向けて)ブッキングを進めていたわけだから、なかなか痺れるものがありましたね。なんとかここまで漕ぎ着けた、というのが正直なところです。

スーパーソニック(2021年開催)のハイライト動画

安藤:スーパーソニックは当初、大阪でも開催予定でしたが、移動や隔離期間などの制限もあって中止にせざるをえなかったんです。
さらに、開催前にフェスへの風当たりが強くなり、払い戻しの対応に追われたりもしましたが、海外アーティストのライブを安全に行ったという実績を作るためにも東京公演は必ずやろうと。スーパーソニックは復活への第一段階として、とにかく開催することを最優先に考えていました。

高崎:去年のフジ(8月20日~22日)は……なんでしょうかね。四面楚歌というか。それこそあのときは、東京オリンピック(7月23日~8月8日)の直前にコロナ感染が急拡大していたから、「こんなときに開催するのか」とSNSは大荒れで。そこで非難していた人がそのまま流れてきたのかなというくらい、フジへの批判もすごかった。
その前にはARABAKI ROCK FEST.やROCK IN JAPAN FESTIVALが医師会などの要請を受けて中止となり、フェスが開催できないような状況になっていて。

ウチとしては会場内の飲酒禁止、公式アプリによる個人情報登録(感染経路追跡のため)、来場者への抗原検査キット無料送付、出演者・関係者へのPCR検査など、できることは全部やったと言えるほど感染対策を徹底しました。さらに、お客さんもみんなルールを守ってくださったのに、それでも批判は止まらなかった。みなさんは覚えているかわかりませんが、ワイドショーもなんで偏った報道をするのかな、意地悪だなと思ってましたね。

安藤:SNSは誰もが自由に好きなことを言えるから、あまり気にしすぎてもいけないし、一つの意見として受け止めるべき部分もあるというか。ただメディアに対しては……あの時期、すごく思うところはありましたよね(苦笑)。


フジロックフェスティバル 21のライブ動画(RADWIMPSThe Birthday電気グルーヴ

高崎:フジロックが終わって5カ月後ぐらいに、放送するので確認してくださいとフジのドキュメンタリーが送られてきました。そこで自分のインタビューを見たら、「この人……大丈夫かな?」みたいな感じで、泣きそうな声でインタビューに答えていて(苦笑)。そこで僕が話したのは、エンタメは不要不急なものだと言われてきたけど、みんな我慢を強要されてストレスも溜まるなか、フジを通じて音楽の力を見せられたことには意義があったと思う、ということ。SNSでは批判的な意見が多かったけど、ライブ配信のコメント欄には「やっぱりフェスっていいな」みたいにポジティブな声も寄せられていて。

これは敢えて言いますけど、2021年のフジがなかったら他のフェスも開催できなかったはずで、コロナ下における雛形を作ることができたのかなと。自分ではそう思っています。


安藤:去年のJAPAN JAM(5月2日~5月5日)はコロナ下で開催された久々のフェスということで、地元も含めてニュースでも取り上げられましたけど、僕は会場本部で電話対応しながら、もういろんなことを言われましたよ。その後も「次はこっち、次はこっち」というふうに音楽フェスが変な注目をされてきましたが、そのなかで高崎さんのおっしゃる通り、フジが対策を徹底しながら開催されたことで、そこからスーパーソニックにも繋げられたと思うんですよね。

高崎:もちろん批判されるのもわかりますし、こちらも全部正しいとは思ってなくて。どちらが正解、というのではないと思うんですよね。ウチは野外フェスというエンタメを残していきたいから、昨年は国内アーティストだけでやろうと決めて、心が引き裂かれそうな思いでずっと過ごしていました。

安藤:2020年はひたすら延期と振替。「日程どうします?」「会場費が……キャンセル代が……」みたいな感じで、非生産的というかマイナスにしかならないことをやらなきゃいけなくて、かなり参りました。だからこそ、去年はウチもそうですし、どこのプロモーターも「やらなきゃ!」という意識が本当に強かったですよね。

この状況下で開催することについて、いろんな議論がされてきましたが、音楽業界で働くものとして、僕らも生きていくために存続していかないといけない。そのために、国内アーティストの公演でもコロナ下のノウハウを積み重ねてきましたし、海外アーティストに関しても制限が緩和され、指定国以外からの入国であればワクチン3回接種で隔離が免除されるようになった。完全復活への条件はかなり揃いつつあるんですよ。

高崎:あとはコーチェラ(今年4月)のYouTube中継をご覧になった方も多いと思いますが、海外のライブでは普通に歓声が上がるんですよね。それこそ客席でダイブしていたり、みんなマスクをしていなかったり、「ここまで戻ってるんだ?」みたいな。でも、日本はまだ声を出せなくて拍手だけ。

安藤:もどかしいですよね。ただ最近は、いいライブをすると、以前よりも客席から熱量が感じられるようになってきて。だんだん雰囲気が戻ってきているのかなと。スポーツも声出し応援の再開に向かってますし、ライブも近いうちにできるようになるといいですよね。もちろん、また状況が変わるかもしれないですけど、クリマンとしてはもう後戻りしたくない。フェスをできるだけ通常に近い形で開催することで、今年の夏はポジティブな形で注目されたらいいなと思ってます。

IPAJという収穫、円安という危機

―コロナ禍におけるポジティブな話といえば、招聘プロモーター10社による協力組織「インターナショナル・プロモーターズ・アライアンス・ジャパン」(以下、IPAJ)が2021年5月に設立されましたよね。前回の対談でも「日本の洋楽文化を守るため、フジとサマソニは手を取り合っていこう」という話がありましたが、来日公演の早期再開に向けて、より大きな横のつながりが生まれたという。

安藤:以前から現場レベルでは情報交換とかしてたんですが、(競合である)プロモーターどうしで密にコミュニケーションをとり、それぞれが来日公演を成功できるよう協力していこうという考え方は、今までなかったと思うんですよね。

―スマッシュとクリマン、キョードー東京、ウドー、H.I.P.、M&Iカンパニー、プロマックス、エイベックス、ビルボードジャパン、Live Nation Japanが手を取り合う。一昔前までは想像しづらかった光景です。

安藤:日本の音楽産業は今でもアメリカに次ぐ世界2位ですが、そのなかでいわゆる洋楽の占めるシェアは10パーセント前後と、そこまで大きなものではない。そのなかで生き残っていくのは大変ですし、何よりプロモーターが一社なくなれば、それだけ来日公演が減ってしまうわけじゃないですか。僕なんかは本当に洋楽が好きでこの業界に入ったので、そうなったら寂しいし、こういう動きが生まれたのはすごく画期的だと思いますね。

―来日公演の中止・延期は1年近く支援事業の対象外でしたが、招聘プロモーターが一丸となって政府に要望し、ようやくJ-LODliveの対象として認められた。そのアクションがIPAJ設立につながったと伺っています。

高崎:それこそ、政府に働きかけようにも、これまではそのルートがなかったんですよ。そこでIPAJを立ち上げ、スーパーソニックやキング・クリムゾンなどの実績を積み上げていくことで、今年はこうして呼べるようになったという経緯があるわけです。

―いち企業が政府に働きかけるのは難しいけど、業界団体としてならアプローチできると。

安藤:まさしく。他にも、コロナ禍におけるビザ取得といったノウハウを共有したり、ブッキングや会場のことまで、みんなでサポートしながらやっていこうと。

高崎:ずっとイベンターはバチバチでやってきましたが、みんなで集まって話し合える環境が整ったことで、業界にとっても、洋楽文化を盛り上げるためにも、すごくいい循環をもたらすのかなと思ってます。

フジロック×サマソニ運営対談2022 洋楽フェス復活への「試練と希望」
フジロック×サマソニ運営対談2022 洋楽フェス復活への「試練と希望」

フジロック(Photo by 宇宙大使☆スター)

―来日公演がストップしたことで、ここ数年は洋楽文化も停滞感がありましたよね。前回の対談でも「海外で売れてるけど日本には呼べない」ケースが増えているという話がありましたが、海外の動きはどのように見ていますか?

高崎:去年10月くらいからフジのブッキングを始めていたんですけど、海外のエージェントと話していても、アメリカやイギリスはやる気満々。空白の2年間を経て、2022年はあらゆるアーティストが動きそうな勢いで、スケジュールも激しく動きまくっていて。それならリスクを背負ってでも、2022年は洋楽フェスをやろうと。そこから隔離やキャパ制限などいろんな可能性をシミュレーションしながら用意を進めて、今に至るという感じです。

安藤:海外の動きはすごかったですよね。先ほども話したように、海外がどんどん通常に戻っていく一方で、日本はなかなか規制が緩和されない。そうなるとアーティストやバンド、特にモッシュやシンガロングで盛り上がるタイプとか、一部のジャンルは呼びづらくなってしまう。そうこうしているうちに、スケジュールも埋まって来日できなくなる……そういう状況にならないか心配しています。

―そんなふうに鎖国状態が続くと、取り返しのつかないレベルまで溝が広がりかねないですよね。

安藤:それもまさしく心配しているところで。日本に来るのを足踏みするような状況が起きなければいいなと。

高崎:またネガティブな話になっちゃうんですけど……円安がすごいことになってますよね。ウチもクリマンも、フジ/サマソニの予算立てを110~115円で組んでいたと思うんです。でも、今は約130円じゃないですか(今年6月時点)。10円とか15円とかズレてきちゃうと計算が全部狂うんですよね。

フジは7月末ですけど、今年の夏、その先の年末や2023年はいくらになってるのかまったく読めない。今は130円で予算を立てたけど、年末に145円になってたりしたら、そこの数円の差で利益を稼いでたのがなくなってしまう。経営にも相当関わってくる話だし、これ以上円安が進んだら、今までやってきたフェスみたいなラインナップなんて無理じゃんっていう。今までどおりに戻そうと思ったら、コロナに匹敵しそうな敵が出てきて、ちょっと途方に暮れてるというか(苦笑)。

安藤:思いもよらない懸念事項が、急に出てきた感じですよね。

高崎:これは大変な問題にぶち当たってるなーと。小麦粉も石油もみんな値上がりしてるじゃないですか。でも、ウチは(フジのチケットを)値上げしてないですもん。

安藤:今から値上げできないし、ギャラも変えられないし(苦笑)。

フジロック×サマソニ運営対談2022 洋楽フェス復活への「試練と希望」

©SUMMER SONIC All Rights Reserved.

―他にも低所得化など、日本経済の停滞がそのまま影響を与えてきそうですね。

高崎:ジャスティン・ビーバーのドームツアー(今年11月9日~17日)は即完売しましたよね。お客さんも「これは見たい!」というチケットは買うけど、よっぽど好きじゃないと買わなくなってきた気がします。だから、ドームや武道館レベルは大丈夫だと思うけど……。

安藤:ライブハウスやクラブツアー規模のアーティスト、新人や中堅どころが厳しくなるかもしれない。

高崎:少し話がズレますけど、新木場STUDIO COASTとZepp Tokyoがなくなりましたよね。

安藤:あの二つは、洋楽文化にとっても大事な会場でしたよね。

高崎:だから会場探しもハードルが高くなっていて。これも悩ましいですよね。海外からもっと呼びたいけど、「この日程どうだ?」と言われて「いや、無理」「本当に探したのか?」「探したよ」みたいな(苦笑)。

安藤:そうなんですよ。これは常について回る問題なので、IPAJでもうまく協力していきたいですね。

高崎:むしろ、IPAJで会場を作ってほしい(笑)。

今年のフジらしさ、サマソニらしさ

―ここまでの話を聞いて、今年のラインナップがますます快挙に思えてきました。ここからは出演者について、まずはフジから聞かせてください。

高崎:こういうラインナップになるとは、社内でも正直予想してなかったんですよね。(開催時期が被った)裏のフェスが思った以上に多かったり、アーティスト側と動きが合わなかったりもして。それこそ、みなさんのヘッドライナー予想も見てますけど、今年はたぶん当てた人はいなかった。「だって自分たちだってわからなかったもん」っていう(笑)。でも結果的には、「フジらしいラインナップが揃ったな」っていうところに落ち着きました。

―このタイミングで、ヴァンパイア・ウィークエンドが初日ヘッドライナーで出演するのは驚きました。海外では動いてないですよね。

高崎:彼らはいろいろ経て「あ、着地した……」っていうところですね。個人的に注目してほしいのはブラッディウッド。飛び道具じゃないですけど、そういう人たちをサラッと入れて、「知らなかったでしょ?」みたいなブッキングをするのが好きで。ある意味フジらしいというか。

安藤:インドのメタルバンドですよね。聴いてみたら、アジアのお祭り感がありました(笑)。

高崎:当日は(2018年にフジ出演した)フィーバー333みたいに大雨でグチャグチャで楽しくなるか、もしくはピーカンで盛り上がるのか。いずれにせよ見届けようと思ってます。

安藤:僕はメタル担当なので、彼らやモンゴルのThe Huが気になってました。メタル以外だと、トム・ミッシュも出ますよね。ユセフ・デイズと共作したアルバム(『What Kinda Music』)をコロナ禍によく聴いてたので、ライブがどんな感じになるのか楽しみです。あとは個人的に好きなのが、3日目ヘッドライナーのホールジー。

2018年にRSJでインタビューしたとき、「2016年に初来日したときの大阪公演は、人生で一番勉強になったくらい最悪のライブだった。その日のことはしょっちゅう思い出すし、それでもっと頑張らなくちゃって思う」といった話をしていました。

安藤:あのときの大阪公演は申し訳ないことに売れてなくて。海外では勢いが出てきた頃だったので、「私、日本でこんな感じなの……?」っていうところから奮起したという話ですよね。

―日本でそういう経験をした人が、フジのヘッドライナーを務めると。

高崎:いい話じゃないですか! 本人も気合が入ってると思います。あとは彼女を筆頭に、ジャパニーズ・ブレイクファストやアーロ・パークスといった旬の女性アーティストが目立つのと、フジらしさでいえばドーズ(Dawes)。

いかにもFIELD OF HEAVENがハマりそうなジャムバンド系ですね。他にもハイエイタス・カイヨーテやジェイペグマフィア(JPEGMAFIA)、打ち込み系ならジョナス・ブルーもいる。結構いろんなジャンルのアーティストが揃えられたかなって。

―サマソニはまず、The 1975とポスト・マローンが(出演予定だったが中止となった)2020年のスーパーソニックから待ち続け、新作を携えた最高のタイミングでヘッドライナーを務めるのが感動的です。

安藤:そうなんですよね。あとはヒップホップやR&B、ダンスミュージック系が近年盛り上がるなか、リンダ・リンダズやビーバドゥービーといったロック系のアーティストが出演するのも、今後の流れを占ううえでも面白そうな気がします。マネスキンもそうですよね。久々に出てきた海外の大物ロックバンドだし、サマソニで初来日して、日本でも今後どうなっていくのか注目してほしいです。

高崎:洋楽シーンとしては、マネスキンが盛り上がらないと困るくらいの勢いですよね。僕もずっと社内でそう説明してきたので(笑)。少し昔ですけど、ザ・ダークネスがいきなりレディングのヘッドライナーを務めたときみたいな。そんなふうにロックブームが再燃してきてるなか、ヤングブラットが入ってるのもさすがです。

安藤:あとはサマソニらしいオールジャンル感というか。何でもアリだけど、違和感なく収まってるというか(笑)。

―サマソニらしさでいえば、カーリー・レイ・ジェプセンやセイレム・イリースなどのポップ系、TOMORROW X TOGETHERやCLというK-POP勢もそうですよね。

高崎:ミーガン・ジー・スタリオンもよくブッキングできたなって。

安藤:あと、今年はSONICMANIAもありますので。「サマソニ世代」という言葉があるのかわからないですけど、カサビアンやクーラ・シェイカー、あとはリバティーンズとか、その辺りが来るのも嬉しいですよね。

高崎:リバティーンズは胸熱ですね。日本に来るのは無理だと思ってたので、2015年のグラストンベリーで観ました。あのときはシークレット出演で、一本のマイクで二人が歌う光景に「ロックンロールだなー」みたいな。あと、ピート・ドハーティがバーバリーのトレンチコートを着てたんですよね。イギリスといえばトレンチコートだなーと思って……。
―買ったんですか?

高崎:はい(笑)。

安藤:すごくいいヤツ買ってるじゃないですか(笑)。

―こんなふうに海外勢の話ができるだけでも夢みたいですね。ちなみに夏フェス以降、来日公演はどうなりそうですか?

高崎:このあと朝霧JAMも復活しますし、現時点で日本のプロモーター各社が発表している公演だけでも大物揃いですので。まずはフジとサマソニが口火を切って、「来日公演が帰ってきた」という雰囲気が作れたらと思ってます。

安藤:ウチも年内は大物アーティストが中心になりそうですが、来年以降は新人や中堅まで幅広く招聘できたらと思ってます。

高崎:洋楽マーケットを盛り上げようにも、やっぱり生で見れないと難しいですよね。レコード会社の人ともそういう話になりますが、音源を聴いてからライブを観て、初めて「すごい!」と思えるというか。それこそ僕もスーパーソニックで「やっぱり違う」と思ったように、あの感覚がないと伝わらない気がしますし、それってバーチャルでは味わえないものだと思うんですよね。「これだ!」っていうのを、今年はみなさんに肌で体感してほしいです。

安藤:去年まではお客さんもルールに縛られて、様子を見ながら楽しんでくださってる感じでしたけど、今年はもっと開放的に楽しんでもらえるんじゃないかなと。

―辛い話題も多かったですが、最後に希望が感じられてよかったです。

安藤:こうやって振り返ってみると……気づいたら2歳も年を取り、何もしないうちに白髪も増えていた、みたいな(苦笑)。

高崎:空白というよりも黒歴史、そんな2年間でしたね。でも、会場に行けばきっと、「やっぱり楽しいな」っていう感覚を思い出すでしょうから。どちらのフェスにも、ぜひ足を運んでもらいたいですね。

FUJI ROCK FESTIVAL 22
2022年7月29日(金)~31日(日)
新潟県 苗場スキー場
公式サイト:https://www.fujirockfestival.com/

SUMMER SONIC 2022
2022年8月20日(土)~21日(日)
東京:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
公式サイト:https://www.summersonic.com/

SONICMANIA
2022年8月19日(金)幕張メッセ
公式サイト:https://www.summersonic.com/sonicmania/