プロレスリング・ノアの前GHCヘビー級王者・清宮海斗にインタビューを実施した。撮影・取材場所は同団体の道場。
【写真を見る】NOAHの道場で汗を流す清宮
—2月のオカダ戦の後にTwitterで、「今日は、ゆっくり身体を休めようと思ったけど……なんか落ち着かなくて道場にきました」とツイートしていましたよね。道場に来ると気持ちの切り替えができるんでしょうか?
清宮:デビュー前からずっと道場が自分の居場所で、道場で一日過ごしてるような時もあったんです。ここに来るとなぜか落ち着いて身体を動かしたいなって気持ちになるし、身体を動かすとやっぱりスッキリする。パーソナルスペースと言いますか、自分の気持ちの雑音を消すことができる場所ですね。
—閑静な場所にあるから、集中できそうですね。
清宮:そうですね。(練習してる時の)音はどうしても出ちゃうのですが、周囲のご近所さんにもプロレスやってることを説明してご理解いただいて、安心してできます。子どもたちが練習を見に来ることもあるんですよ。
—清宮さんは道場によく行かれるのですか?
清宮:選手や練習生が住む寮が家の近くにあるんです。普段は寮で過ごして、練習の時は道場に来る感じですね。僕はオフの日も来ていて、なるべく毎日来るようにしてます。
Photo by @ogata_photo
—合同練習の他に、清宮さんが道場で毎日ルーティンでやってることって何かあるんですか?
清宮:あります。僕の場合、合同練習以外はウェイトトレーニングが中心になりますね。合同練習は腕立て伏せだったり腹筋だったり、器具を使わないでやる練習が多いので、個人ではそれ以外の重りを使ったトレーニングを中心にやってます。
Photo by @ogata_photo
—だいたいどれぐらいの時間やるんですか?
清宮:1時間ぐらいです。長くても2時間以内。集中してパッと終わらせますね。ウェイトは合同練習の後にやることが多いです。ルーティンとして11時から合同練習が始まるんですけど、そこからだいたい4時ぐらいまで道場にいるんです。その間、業務上の連絡も道場でやり取りします。
—この道場に通ってどれぐらいですか?
清宮:昔はディファ有明ってところに道場があったんですけど、そこが取り壊しになって移動せざるを得なくなってしまって。それが2018年の1月なので、4年間ぐらい。ちょうど僕が海外に行ってる時期で、海外から帰ってきた時にこの道場ができたんです。
—大一番を終えた後、道場に一人来て何を考えるんですか?
清宮:オカダ戦の後には次のタイトルマッチも決まっていたので、状況的に止まってる時間もあんまりなくて、この先どういうふうに進んでいこうかって前向きに考えたかったんです。僕はプロレスがすごく好きなので、好きな空間にいると前向きなことを考えられる。その時は、いろいろ悩んでても仕方ないし、思いっきりやるかって踏ん切りがつきました。
—それは試合直後の気持ちとは全然違うんでしょうか?
清宮:そうですね。1日経って何しようって思った時に道場に来たら、自然と力が湧いてきて。リングがあって器具もあって、プロレスに没頭できる場所がすぐ近くにあるって、本当に恵まれてるなと思います。
オカダ戦で得たもの
—オカダ戦について、いま振り返るとあの一戦は清宮さんにとってどんな一戦だったと感じていますか?
清宮:プロレス業界の先頭を行くことが、ずっと自分の中で軸としてあるので、自分の目的地までどれくらい距離があるのかを、あの戦いで感じることができた。
—顔面キックのインパクト(※1月21日の横浜アリーナでのタッグ戦、清宮がオカダに顔面キックを放った)も含め、SNSでも話題になりましたよね。
清宮:結果的によかったのかはわからないですけど、今回これだけ話題になったことを、今度は自分の団体の中でやらないといけないとは思っていて。対他団体の選手で、業界トップのオカダ・カズチカだったからこそ、ここまで話題になったと思うので。蹴ったとか蹴らないとかじゃなくて、話題を作っていくって意味では、自分の団体で継続していきたいと思います。
—普段プロレスを観ない人にも「注目させる」っていう点では効果があったように思います。
清宮:付加価値って部分では、Twitterで発信することでお客さんに自分の気持ちが伝わって、試合でも盛り上がったのかなって思います。試合以外の部分も全部試合に繋がっていくんだなって、今回ものすごく学ばせてもらいました。
—ただ、顔面への蹴りって相当覚悟がなきゃできなかった気もするんですけど、そのへんはどうでしたか?
清宮:そうですね。でも一年前も横浜アリーナでタッグマッチをして(オカダ&棚橋弘至 VS 武藤敬司&清宮)、そこから1年経っての再戦だったので、自分としては気持ちができ上がっていたんです。チャンピオンでもあったし、やってやるって気持ちで立っていたので、その時は自然と感情が湧き上がってきました。
—SNSの反響って賛否両論すべてチェックするんですか?
清宮:はい。
—心のバランスはどのように取っていましたか?
清宮:今までは自分の世界に閉じこもってしまうことが多かったんですけど、最近NOAHでドーム大会だったりいろんな大きな動きがあるなかで、周りの方に相談できる環境があったんです。その人たちとコミュニケーションを取ったことによって、だいぶ助けられました。俺もTwitterでこんなふうに批判されてるよってレスラー仲間が共感してくれたり、小島(聡)選手から言葉をいただいたり、先輩方が優しくしてくれたことも励みになりましたね。
—じゃあ、もう乗り越えられました?
清宮:はい。今はもう前を向いて、全く後ろも向かないですし、完全に切り替えてますね。
理想のプロレス像
—清宮さんはご自身のプロレススキルを現状どう捉えてますか?
清宮:これから学びたいこともやってみたいこともまだまだたくさんあります。もっともっと伸ばしていきたいなって思ってますね。僕はスタイル的に、ヘビー級の中でも小柄な方だと思うんですけど、よく言えばすばしっこい動きができるし、身体が大きい人より受け身がうまく取れる自信がある。そういう良さは絶対伸ばせると思ってます。
—自分の中で、具体的にここは伸ばさなきゃいけないと思う部分はありますか?
清宮:ありますね。専門的な話になっちゃうんですけど、スタミナだったり、やられてもやられても立ち上がる部分は誰にも負けたくないと思っていて。
—なるほど。そう考えると、こうして身近にリングがある環境っていうのは最高ですね。
清宮:そうですね。自分がリングに立って、相手と対峙して、例えば自分がコーナーに行ったら相手もコーナーに寄ってくるだろうから、じゃあこういう動きをしようかなとか。そういうイメージが、リングを見てるときに一番湧いてきますね。
Photo by @ogata_photo
—試合前、相手選手のことを考える時も、リングを見ながらイメージしますか?
清宮:はい。自分と同じぐらいの体格の人だからこういう感じで来るだろうなとか、今回はデカい人で重みの部分で攻めてくるだろうから、そしたらちょっと外に逃げて時間取ろうかなとか、そういう部分をイメージしてます。
—そう考えるとすごくクリエイティブな作業ですよね。
清宮:そうですね。試合の勝敗にも関わってくるので大事だと思います。
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—オカダ戦の前も、細かくイメトレしてたんですか?
清宮:はい。
—先輩の小川良成さんがオカダ戦の清宮さんについて「オカダになくて、清宮にあるものをまったく出せてなかった」という感想を述べていましたが、ご自身としてはオカダさんになくて清宮さんにあるものとは何だったと思いますか?
清宮:僕は小川さんからアドバイスをすごくいただいてるので、自分の中では多分これだなって思うものはありますね。それが何かは言えないのですが。
—そこは次に繋げる課題なんですね。
清宮:はい。こんなにありがたいことは本当になくて。練習もゼロから小川さんに見ていただいて、プロレスのいろはを教えていただいて、普段の話も全部ためになりますし、ありがたいです。
—そういう人たちの想いも背負いながら、「俺がNOAHを引っ張って新しいプロレスの世界を見せなきゃ」みたいな責任感みたいなものって、前より感じていますか?
清宮:それはずっと思ってますね。ただ、そこでいろんな壁に直面することが多くて、その壁を日々乗り越えながら今までやってきたんですけど、その根底には自分と近い世代の人間でNOAHを変えていきたいって気持ちがある。今一緒に合同練習してる世代だったり、僕が若い頃にお世話になって一緒にデビューさせてもらった先輩方だったり。上の世代じゃなくて、今いる仲間と一緒にNOAHを世の中に発信していきたいって想いが一番の僕のエネルギーというか、やる気に繋がっています。昔から自分が観ていた、ずっとNOAHを引っ張ってきた丸藤(正道)選手や杉浦(貴)選手の試合の他にも面白い試合がいっぱい出てきたら、NOAHはもっと大きくなって広がっていくと思うし。面白い試合の形を一つじゃなくて二つ三つ、プラスしていきたいってずっと思ってますね。
—それはちょっとずつ実現している実感はありますか?
清宮:はい。自分より下の世代の選手とタッグを組んで、対戦相手が上の世代でだった時、ものすごいエネルギーを感じますし。若い選手がベルトに絡んでくる機会も徐々に増えていて、NOAHが変わってきてる大事な時期だなって感じてます。
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注目してほしいNOAHの選手
—そんな清宮さんが、これからNOAHを知る人に自分以外で注目した方がいい選手をあげるとしたら誰ですか?
清宮:稲村愛輝ですね。僕が海外から帰ってきた時に新弟子として入ってきた選手で、その時初めて会ったんですけど、当時僕と同じくらいの身体の大きさだったのに、今は僕の倍ぐらいあるんです。あんなに体が大きいのに、小動物が好きだったりして、ギャップもすごくある(笑)。今彼もリングで上を目指して、いろんな壁に直面しながら、当たってくだけろって気持ちで壁を壊そうとしてる途中なので、観ていて響くものがあると思います。でも、おすすめしたい選手って、言ってしまえば全員なんですけどね。特に若い選手はみんな観てほしいです。僕が言うのもなんですけど、NOAHってイケメンが多いなって思うんですよね。女性の方に観ていただけたら、絶対一人は推しができるなってぐらい、いろんなかっこいい選手がいるのでおすすめです。
—清宮選手としては、今後どこに視野を定めていきたいですか?
清宮:もっと頑張りたいなって思うことがいっぱいあるんですけど、プロレスじゃない部分で言うと、YouTubeも始めて、Instagram、Twitter、TikTokもやっているので、SNSでもたくさん発信して、見てくれる人を増やしたいなって思います。プロレスの部分で言うと、海外にいた時も常にプロレスのことを考えていましたし、プロレスのことを考えない時間がないぐらいもっと没頭して、向き合っていきたいなって思いますね。
—マインドセット的な部分ですよね。
清宮:そうですね。
—プロレスはプロレスとして、それとは別に多くの人に知ってもらうためのツールとしてSNSを活用していきたいですね。
清宮:今、それが当たり前の時代ですよね。それを楽しめたら一番いいなと思います。
—そこはNOAHのプロモーションも担当しているA-Sketchさんの知見で、エンタメの極意を授かったらいいんじゃないですか?
清宮:エンタメの極意お願いします!
A-Sketchスタッフ:僕たちは選手の魅力を今後も伝えていければと思いますので、これからも一緒に頑張っていきましょう。
—でも、若い人たちの力で業界を盛り上げていこうとする動きはいいですね。
清宮:今はコロナ禍の影響もあって控えてますけど、若手でご飯を食べる若手会っていうのもあって。みんなで飲むとプロレスの話で盛り上がって熱くなりますし、それをそのままリング上で出していきたいですね。みんなのプロレスを好きな気持ちが世の中に伝わって、プロレスってこんなに面白いんだって知ってもらえるように、みんなで頑張っていきたいです。
ABEMA presents MAJESTIC 2023
日程: 2023年05月04日(木)
開始: 17:00 開場:15:30
会場: 東京・両国国技館
https://www.noah.co.jp/schedule/449/
「NOAHらしさ」を体現する一人として、NOAHマット内外で幅広く活躍をしてきた彼だが、2023年、新日本プロレス・IWGP世界王者のオカダ・カズチカ戦、ジェイク・リーとのGHC戦で敗れ、現在は再起をうかがっている状況。そんな彼にとって道場は特別な場所だ。「生意気かもしれないけど、とにかく自分が活躍するところを見せることで、自分と同じくらいの世代の人たちが活気づくきっかけになればいいと思ってます」と語る。輝かしい未来に向けて、彼は道場でまた一日を過ごす。
【写真を見る】NOAHの道場で汗を流す清宮
—2月のオカダ戦の後にTwitterで、「今日は、ゆっくり身体を休めようと思ったけど……なんか落ち着かなくて道場にきました」とツイートしていましたよね。道場に来ると気持ちの切り替えができるんでしょうか?
清宮:デビュー前からずっと道場が自分の居場所で、道場で一日過ごしてるような時もあったんです。ここに来るとなぜか落ち着いて身体を動かしたいなって気持ちになるし、身体を動かすとやっぱりスッキリする。パーソナルスペースと言いますか、自分の気持ちの雑音を消すことができる場所ですね。
—閑静な場所にあるから、集中できそうですね。
清宮:そうですね。(練習してる時の)音はどうしても出ちゃうのですが、周囲のご近所さんにもプロレスやってることを説明してご理解いただいて、安心してできます。子どもたちが練習を見に来ることもあるんですよ。
—清宮さんは道場によく行かれるのですか?
清宮:選手や練習生が住む寮が家の近くにあるんです。普段は寮で過ごして、練習の時は道場に来る感じですね。僕はオフの日も来ていて、なるべく毎日来るようにしてます。
Photo by @ogata_photo
—合同練習の他に、清宮さんが道場で毎日ルーティンでやってることって何かあるんですか?
清宮:あります。僕の場合、合同練習以外はウェイトトレーニングが中心になりますね。合同練習は腕立て伏せだったり腹筋だったり、器具を使わないでやる練習が多いので、個人ではそれ以外の重りを使ったトレーニングを中心にやってます。
Photo by @ogata_photo
—だいたいどれぐらいの時間やるんですか?
清宮:1時間ぐらいです。長くても2時間以内。集中してパッと終わらせますね。ウェイトは合同練習の後にやることが多いです。ルーティンとして11時から合同練習が始まるんですけど、そこからだいたい4時ぐらいまで道場にいるんです。その間、業務上の連絡も道場でやり取りします。
お昼ごはんは新弟子がちゃんこを作るので、近くの寮で食べて、とにかくずっとこの付近にいる感じですね。後輩とコミュニケーションをとったりするのも道場になります。
—この道場に通ってどれぐらいですか?
清宮:昔はディファ有明ってところに道場があったんですけど、そこが取り壊しになって移動せざるを得なくなってしまって。それが2018年の1月なので、4年間ぐらい。ちょうど僕が海外に行ってる時期で、海外から帰ってきた時にこの道場ができたんです。
—大一番を終えた後、道場に一人来て何を考えるんですか?
清宮:オカダ戦の後には次のタイトルマッチも決まっていたので、状況的に止まってる時間もあんまりなくて、この先どういうふうに進んでいこうかって前向きに考えたかったんです。僕はプロレスがすごく好きなので、好きな空間にいると前向きなことを考えられる。その時は、いろいろ悩んでても仕方ないし、思いっきりやるかって踏ん切りがつきました。
—それは試合直後の気持ちとは全然違うんでしょうか?
清宮:そうですね。1日経って何しようって思った時に道場に来たら、自然と力が湧いてきて。リングがあって器具もあって、プロレスに没頭できる場所がすぐ近くにあるって、本当に恵まれてるなと思います。
オカダ戦で得たもの
—オカダ戦について、いま振り返るとあの一戦は清宮さんにとってどんな一戦だったと感じていますか?
清宮:プロレス業界の先頭を行くことが、ずっと自分の中で軸としてあるので、自分の目的地までどれくらい距離があるのかを、あの戦いで感じることができた。
そんな、前に進める試合だったと思います。
—顔面キックのインパクト(※1月21日の横浜アリーナでのタッグ戦、清宮がオカダに顔面キックを放った)も含め、SNSでも話題になりましたよね。
清宮:結果的によかったのかはわからないですけど、今回これだけ話題になったことを、今度は自分の団体の中でやらないといけないとは思っていて。対他団体の選手で、業界トップのオカダ・カズチカだったからこそ、ここまで話題になったと思うので。蹴ったとか蹴らないとかじゃなくて、話題を作っていくって意味では、自分の団体で継続していきたいと思います。
—普段プロレスを観ない人にも「注目させる」っていう点では効果があったように思います。
清宮:付加価値って部分では、Twitterで発信することでお客さんに自分の気持ちが伝わって、試合でも盛り上がったのかなって思います。試合以外の部分も全部試合に繋がっていくんだなって、今回ものすごく学ばせてもらいました。
—ただ、顔面への蹴りって相当覚悟がなきゃできなかった気もするんですけど、そのへんはどうでしたか?
清宮:そうですね。でも一年前も横浜アリーナでタッグマッチをして(オカダ&棚橋弘至 VS 武藤敬司&清宮)、そこから1年経っての再戦だったので、自分としては気持ちができ上がっていたんです。チャンピオンでもあったし、やってやるって気持ちで立っていたので、その時は自然と感情が湧き上がってきました。
—SNSの反響って賛否両論すべてチェックするんですか?
清宮:はい。
人によって見ない方がいい人もいると思うし、見たからなんだってわけでもないと思うんですけど、見ることで、こういう人もいるんだって自分の経験にしたいなと思っていたので。
—心のバランスはどのように取っていましたか?
清宮:今までは自分の世界に閉じこもってしまうことが多かったんですけど、最近NOAHでドーム大会だったりいろんな大きな動きがあるなかで、周りの方に相談できる環境があったんです。その人たちとコミュニケーションを取ったことによって、だいぶ助けられました。俺もTwitterでこんなふうに批判されてるよってレスラー仲間が共感してくれたり、小島(聡)選手から言葉をいただいたり、先輩方が優しくしてくれたことも励みになりましたね。
—じゃあ、もう乗り越えられました?
清宮:はい。今はもう前を向いて、全く後ろも向かないですし、完全に切り替えてますね。
理想のプロレス像
—清宮さんはご自身のプロレススキルを現状どう捉えてますか?
清宮:これから学びたいこともやってみたいこともまだまだたくさんあります。もっともっと伸ばしていきたいなって思ってますね。僕はスタイル的に、ヘビー級の中でも小柄な方だと思うんですけど、よく言えばすばしっこい動きができるし、身体が大きい人より受け身がうまく取れる自信がある。そういう良さは絶対伸ばせると思ってます。
—自分の中で、具体的にここは伸ばさなきゃいけないと思う部分はありますか?
清宮:ありますね。専門的な話になっちゃうんですけど、スタミナだったり、やられてもやられても立ち上がる部分は誰にも負けたくないと思っていて。
そういう”受け”のプロレスリングを追求して、うまく試合に落とし込んでいきたいです。NOAHといえば受けっていう風にファンの皆さんも言ってくださるんですけど、それが完成していけば試合のスタイルもまたちょっと変わっていくと感じているので。柔道やレスリングにも受けってあると思うんですけど、プロレスで一番突出してる部分だと思うんですよね。だからこそ、受けをうまく使った選手になりたい。
—なるほど。そう考えると、こうして身近にリングがある環境っていうのは最高ですね。
清宮:そうですね。自分がリングに立って、相手と対峙して、例えば自分がコーナーに行ったら相手もコーナーに寄ってくるだろうから、じゃあこういう動きをしようかなとか。そういうイメージが、リングを見てるときに一番湧いてきますね。
Photo by @ogata_photo
—試合前、相手選手のことを考える時も、リングを見ながらイメージしますか?
清宮:はい。自分と同じぐらいの体格の人だからこういう感じで来るだろうなとか、今回はデカい人で重みの部分で攻めてくるだろうから、そしたらちょっと外に逃げて時間取ろうかなとか、そういう部分をイメージしてます。
—そう考えるとすごくクリエイティブな作業ですよね。
四角い空間でどういう動き方をするのかって。
清宮:そうですね。試合の勝敗にも関わってくるので大事だと思います。
Photo by @ogata_photo
—オカダ戦の前も、細かくイメトレしてたんですか?
清宮:はい。
—先輩の小川良成さんがオカダ戦の清宮さんについて「オカダになくて、清宮にあるものをまったく出せてなかった」という感想を述べていましたが、ご自身としてはオカダさんになくて清宮さんにあるものとは何だったと思いますか?
清宮:僕は小川さんからアドバイスをすごくいただいてるので、自分の中では多分これだなって思うものはありますね。それが何かは言えないのですが。
—そこは次に繋げる課題なんですね。
清宮:はい。こんなにありがたいことは本当になくて。練習もゼロから小川さんに見ていただいて、プロレスのいろはを教えていただいて、普段の話も全部ためになりますし、ありがたいです。
—そういう人たちの想いも背負いながら、「俺がNOAHを引っ張って新しいプロレスの世界を見せなきゃ」みたいな責任感みたいなものって、前より感じていますか?
清宮:それはずっと思ってますね。ただ、そこでいろんな壁に直面することが多くて、その壁を日々乗り越えながら今までやってきたんですけど、その根底には自分と近い世代の人間でNOAHを変えていきたいって気持ちがある。今一緒に合同練習してる世代だったり、僕が若い頃にお世話になって一緒にデビューさせてもらった先輩方だったり。上の世代じゃなくて、今いる仲間と一緒にNOAHを世の中に発信していきたいって想いが一番の僕のエネルギーというか、やる気に繋がっています。昔から自分が観ていた、ずっとNOAHを引っ張ってきた丸藤(正道)選手や杉浦(貴)選手の試合の他にも面白い試合がいっぱい出てきたら、NOAHはもっと大きくなって広がっていくと思うし。面白い試合の形を一つじゃなくて二つ三つ、プラスしていきたいってずっと思ってますね。
—それはちょっとずつ実現している実感はありますか?
清宮:はい。自分より下の世代の選手とタッグを組んで、対戦相手が上の世代でだった時、ものすごいエネルギーを感じますし。若い選手がベルトに絡んでくる機会も徐々に増えていて、NOAHが変わってきてる大事な時期だなって感じてます。
Photo by @ogata_photo
注目してほしいNOAHの選手
—そんな清宮さんが、これからNOAHを知る人に自分以外で注目した方がいい選手をあげるとしたら誰ですか?
清宮:稲村愛輝ですね。僕が海外から帰ってきた時に新弟子として入ってきた選手で、その時初めて会ったんですけど、当時僕と同じくらいの身体の大きさだったのに、今は僕の倍ぐらいあるんです。あんなに体が大きいのに、小動物が好きだったりして、ギャップもすごくある(笑)。今彼もリングで上を目指して、いろんな壁に直面しながら、当たってくだけろって気持ちで壁を壊そうとしてる途中なので、観ていて響くものがあると思います。でも、おすすめしたい選手って、言ってしまえば全員なんですけどね。特に若い選手はみんな観てほしいです。僕が言うのもなんですけど、NOAHってイケメンが多いなって思うんですよね。女性の方に観ていただけたら、絶対一人は推しができるなってぐらい、いろんなかっこいい選手がいるのでおすすめです。
—清宮選手としては、今後どこに視野を定めていきたいですか?
清宮:もっと頑張りたいなって思うことがいっぱいあるんですけど、プロレスじゃない部分で言うと、YouTubeも始めて、Instagram、Twitter、TikTokもやっているので、SNSでもたくさん発信して、見てくれる人を増やしたいなって思います。プロレスの部分で言うと、海外にいた時も常にプロレスのことを考えていましたし、プロレスのことを考えない時間がないぐらいもっと没頭して、向き合っていきたいなって思いますね。
—マインドセット的な部分ですよね。
清宮:そうですね。
—プロレスはプロレスとして、それとは別に多くの人に知ってもらうためのツールとしてSNSを活用していきたいですね。
清宮:今、それが当たり前の時代ですよね。それを楽しめたら一番いいなと思います。
—そこはNOAHのプロモーションも担当しているA-Sketchさんの知見で、エンタメの極意を授かったらいいんじゃないですか?
清宮:エンタメの極意お願いします!
A-Sketchスタッフ:僕たちは選手の魅力を今後も伝えていければと思いますので、これからも一緒に頑張っていきましょう。
—でも、若い人たちの力で業界を盛り上げていこうとする動きはいいですね。
清宮:今はコロナ禍の影響もあって控えてますけど、若手でご飯を食べる若手会っていうのもあって。みんなで飲むとプロレスの話で盛り上がって熱くなりますし、それをそのままリング上で出していきたいですね。みんなのプロレスを好きな気持ちが世の中に伝わって、プロレスってこんなに面白いんだって知ってもらえるように、みんなで頑張っていきたいです。
ABEMA presents MAJESTIC 2023
日程: 2023年05月04日(木)
開始: 17:00 開場:15:30
会場: 東京・両国国技館
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