【ライブ写真を見る】ツアーファイナルでの中嶋ユキノ(全16枚)
今回のツアーについて、事前のインタビューで「ピアノボーカル、ギター、パーカッション、ベースの4人編成で全国をまわるんです。そして「アコ旅」ということで、もちろんアコースティックサウンドではあるんですけれども、私たちが奏でるサウンドはアコースティック+αというか、時にロック、時にポップス、時にバラード、時にシンプルなフォークと、本当にいろんなジャンルのサウンドが散りばめられているので、しっとりとアコースティックで聴かせるというよりは、みんなが元気になれる曲も盛り上がれる曲もある。初めての方もきっと楽しんで頂けるライブになるんじゃないかなと思います」と語っていた彼女。
その宣言どおり、中嶋ユキノ(vo,key)、若森さちこ(per)、門馬由哉(g)、小川悠斗(b)といった編成で、冒頭の「はじまりの鐘」からアコースティックライブと呼ぶにはあまりにカラフルで厚みのあるバンドアンサンブルを創造。浜田省吾に「何年かかったとしても、この曲たちは必ず届くと思うんです」と断言したという新ミニアルバム『新しい空の下で』でもオープニングを飾った同曲をアッパーかつドラマティックに届けていく。「ようこそ、中嶋ユキノです! 平日にも関わらず、こうしてお集まり頂いてありがとうございます! 今日は新ミニアルバムの中の曲はもちろん、今までの曲もリアレンジしながら皆さんにお届けしようと思います。最後までどうぞよろしく!」
©︎Road & Sky
その後も、3月19日のツアー初日・仙台公演を皮切りに福岡、札幌、大阪、愛知、富山、広島、岡山と日本中を旅して、ともに成長してきた新旧ナンバーを多種多様なサウンドアプローチで披露。また、例えば「All or Nothing」の「認めたくなんか これっぽちもないけど 心のどこかで いいね!をつけてしまう」「不安ばかり いつもかき集めて それでも お腹は空いてしまうし 寝たら半分くらい 忘れちゃうけど」など彼女の日常のリアル、人柄が滲み出た共感性の高いフレーズたちがハートフルな一体感を生み出していった──と思えば、Fairlife(浜田省吾・春嵐・水谷公生のプロジェクト)のカバー「虹」における「愛しい人と共に新しく 生きてね」や、同じく切ないバラード「誰かにそっと」における「誰か」が最後の最後に「あなた」というフレーズに変わるくだりでは、涙を誘うほどの世界観で観客を釘付けにする。
音でも歌でも言葉でも聴き手の心を揺さぶり続けるライブ。後半ではフィジカルでも音楽を楽しんでもらうべく「皆さん、このツアーから声出しが解禁ということで……皆さんのお声を聴かせて頂きたいなと思います」と全国各地から集まったファンのみんなと会話しながら、NHK『みんなのうた』から生まれた「クラリネットこわしちゃった」「ちいさい秋みつけた」「山口さんちのツトム君」「コンピューターおばあちゃん」「だんご3兄弟」と歴代の名曲をワンフレーズずつ歌っていく。そして、自らの『みんなのうた』に選ばれた1曲「ギターケースの中の僕」を届けると、共に口ずさむ人の姿も。ちなみに、今の彼女の新しい夢はこの曲を「合唱曲として男女混合で歌えるような譜面を自分で書いて、音楽の教科書に載せて頂いて学生の皆さんに歌ってもらう」こと。
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そんな新たな夢への大きな一歩となるワンシーンのあとは、実は同じく『みんなのうた』のために書き下ろすも選ばれず、それでも「いつか本当の意味でみんなのうたになればいいな」と思って歌い続けている「お・ふくろうママの歌」を。さらには、武道館の近くでバイトしていた小料理屋で、そこのママさんがお客さんに聴かせるべく「有線にリクエストしなさい」と言って流させてくれたという、しかしお客さんは酔っぱらって聴いてくれず、悔しくてバイト帰りに武道館の前で「いつか必ずこの武道館で」と思いながらアカペラで歌っていたという「桜ひとひら」を情感たっぷりに届けていく。自らの人生を歌に乗せながら夢へ立ち向かう中嶋ユキノらしい一幕。
そして、本編クライマックスでは、先まで席に座ってライブを堪能していたオーディエンスがオールスタンディング状態となり、彼女もキーボードの前から立ち上がって時にギターを弾きながら「夏のせい」「HAPPINESS」「なんでなの!?」とアッパーなキラーチューンをみんなと全力で楽しんでいく。会場中から響き渡るハンドクラップに加え、コール&レスポンスやシンガロングというコロナ禍で封印されていた要素も復活し、この瞬間に中嶋ユキノのライブは完全体へと再び辿り着いた。「素敵、素敵! いやー、凄いよ!」と興奮を隠さず歓喜する彼女の笑顔に対し、拍手で称えるファンひとりひとりの姿も含め、なんとも美しい光景であった。そして「みんなとこうして歌を歌って共有できる日が来るなんて……本当にうれしいです。本当にありがとうございました!」と、最後は浜田省吾と共作した「新しい空の下で」を。今、この瞬間をひとつひとつ積み上げていった先に未来がある──それを信じて歌い続ける彼女の生き様そのものと言える曲に胸打たれた我々は、ステージへ大喝采を贈り続けていた。
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その声と音に呼び戻されるように再登場した中嶋ユキノは、軽快なバンドサウンドに乗せて「ほら笑って」と笑顔を交わしながら「斜め45度」を歌い、さらに今回のツアー、今日のライブのシチュエーションにぴったりの「ALL FOR ONE」をみんなと大合唱! 彼女も「泣いちゃうよ!」と言っていたが、これまた劇的に美しい音楽空間を生み出していった。そして「皆様の歌声を聴けて、今日は本当にうれしい」と、オーラスに「時がたっても」を届ける。
時がたっても どんな時でも
不安だらけの日でも
私が私でいられる場所を 見つけたんだ
ピアノとギター そして あなたの笑顔
輝く瞬間 それだけでいい
そんな常に変わらず恋している、ファンのみんなへのありったけの感謝と愛を込めて──彼女は今日いちばん優しい歌声と表情で歌い切り「アコ旅2023 ~新しい空の下で~」の幕を閉じた。「本当にどうもありがとうございました!」
なお、中嶋ユキノOfficial YouTube Channelには、同公演のショートムービーが公開されている。
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中嶋ユキノ「アコ旅2023 ~新しい空の下で~」ツアーファイナル
2023年4月27日(木)東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
セットリスト:
1. はじまりの鐘
2. 伝わんないと意味がない
3. All or Nothing
4. 虹
5. 誰かにそっと
6. 好きで好きで
7. 時計の針
8. ギターケースの中の僕
9. お・ふくろうママの歌
10. 桜ひとひら
11. 夏のせい
12. HAPPINESS
13. なんでなの!?
14. 新しい空の下で
En1. 斜め45度
En2. ALL FOR ONE
En3. 時がたっても
バンドメンバー
中嶋ユキノ (Vo/Key/Gt)
若森さちこ(Per/Cho)
門馬由哉(Gt/Cho)
小川悠斗(Ba/Cho)
中嶋ユキノOfficial YouTube Channel https://www.youtube.com/@nakajimayukinoSMEJ