SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY PRE-EVENT
U-ya Asaoka 50th Birthday Live2019 [1969-2019]
私も浅岡雄也と同世代だから分かる。この歳になるとどうしても自分が何を遺せるか?遺してきたか?に気持ちが移ってきてしまうものだ。
毎年恒例の浅岡雄也誕生ライヴが今年も彼にとって思い入れの深い新宿ロフトにて行われた。この会場での開催となり今年で5回目を迎えた今回は、まさに彼の誕生50周年とソロデビュー15周年というダブルアニバーサリーライヴ。当然これまでの集大成や縮図的な、ややノスタルジックなライヴを予想し入場するも、結果、未発表曲や新曲も交え、気持ちが前向き上向きになる楽曲が中心となり、非常に背中を押され、極めて彼の<これから>を楽しみにさせるものであった。
ソロ第一作冒頭のインスト曲「ripple」を登場SEに、ゆっくりとステージの幕が上がり、まずはバンドのメンバーが登場しスタンバイ。間を空け浅岡も登場。マイクスタンドからマイクを奪うように抜くと、FIELD OF VIEW時代の「Dan Dan心魅かれゆく」が始まる。いきなり大ヒットからのオープニングに驚く。地下のライヴハウスながら一気に清涼感が場内に満ち、いきなりここではない何処かへと誘われる。続く「FLY」に入ると、エッジの効いた馬場一嘉(G.)のギターとドライヴ感のあるSting宮本(B.)のベース、タイトな奥田やすひろ(Dr.)のドラム、ふわっとしたFMシンセ的な音質の今井隼(Key.)のキーボードが開放感と上昇感を伴い光景感を演出していく。
合間には会場の方々から浅岡に向け、「おめでとう!!」の声が贈られる。「誕生50年のワガママに付き合ってくれてありがとう。
会場をグイッと10代の希望に溢れるシーンに引き戻してくれた「Show Must Go On」を始め、皆が未来の自分へと想いを馳せさせた「未来の地図」、ドライブ感あふれるサウンドに会場も並走させた「ヒカリハキミデボクハカゲデ」と、これから感たっぷりの曲たち。それを経た聴かせる歌ゾーンでは、「歌ってるうちにどうにも涙が出ちゃうんだよね」と語り入った「ANNIVERSARY」にて、♪歌はいいね~50年過ぎても色褪せない♪と変えて会場も歌唱。大事な部分が会場に預けられる。また、プロミスソング「トビラ」が会場の腕をグイっと引っ張れば、歌中の「振り返りつつ、それを噛みしめ 次へと進む 秘めた決意」が会場中に広がった、FOVのデビュー曲「あの時の中で僕らは」、対して、そのアンサーにして発展形な物語「さらば情熱の碧き花よ」では、雅さも交えたメロディと共に身振り手振りを交えて歌う場面も印象的であった。
この日は春を思わせる歌も目立った。バンド形式で歌うのも初となった、美しさの中の哀しさを感じた「君を見ていた僕と 僕を見ていた君と」、「色々と沢山の曲をこれまで作ってきたけど、『浅岡雄也ってどんな人?』とたづねられたらこの曲かなって曲を」と入った「アシタガクルマデ アシタハクルカラ」が、力強くブレイブ感(勇敢な)を伴って、これからも変わらず自分を信じて前を向いて進んでいく宣言のようにも響いた。
途中、浅岡の誕生日を祝う場面も用意されていた。会場全体で「ハッピーバースディ」が歌われ、ロフトから特注オムライスのプレゼントが。そしてサプライズとして実の母上も登場。
中盤では、これからの浅岡を楽しませてもらった。1月25日に発売した新作から「君の翼で」が、<大丈夫君も飛べるさ>と迷う背中を勇気づけるように押せば、未発表曲「透明な」では、ポップでスプラッシュなサウンドに乗り、<迷わずに進んでみればいい>と会場中の人生を希望へと促してくれた。
後半に向けては一転。ロック色の強い盛り上がりナンバーが立て続けに放たれた。歌謡性とボトムのしっかりとしたアシッドロック混じりのスリリングさが同居した「イミテーション ロック」、浅岡の低いトーンも楽しめた「Emotion」が「チャンスは逃さない」と謳えば、ある意味メッセージソングにも響いた「Foget me not」、1stアルバムからやり続けてきた躍動感たっぷりでグルーヴィな「Missing piece」に於いては後半、会場も交えての大合唱が楽曲を一緒に完成していく名場面を目撃した。
後半に向け増々ボルテージは上がっていく。「ダウト」のサビでのタオル大旋回の壮観の中、「君ならどうするんだい?」「やることをやったんなら、さあ次に進もう」と促せば、さらにグイグイ惹き込んだ「イマイルセカイヲアイデカザロウ」を経て、「ハピエンハピライフ」に続き会場を再びパーっと明るくさせ、彼の真骨頂とも言える「景色感と開放感と爽快感」が会場全体に広げていく。
「今の浅岡雄也をきっちり伝えたくてこんなセットリストになった」と振り返り、
ラストスパートに入ると、「心の指す羅針盤をお互い信じて進んでいこう!」と「Revolution No15」に続く。この楽曲は我々の人生を並走してくれる気がした。
本編ラストは「アナタトミライヲ」が一緒に未来を夢想していこうと、まさに最後まで背中を押し腕をぐいっと引っ張ってくれる場面を見ることが出来た。
「今年(2019)中にはアルバムを出したい!」とこれからに想いを馳せさせる言葉を経たアンコールでは、これまでを鑑みながらも、これからも皆の背中を押し、歌の力や魔力、マジックやバイタリティを改めて信じさせてくれる楽曲たちが放たれた。「やはりこの曲が最もみんなの背中を押せるんじゃないのか」と、何ができるのか?を問いながらも、<いや、何でもできる!!>ことをもう一度強く信じさせてくれた「キミガセカイヲカエテユク」、これからもよろしくとの思いを込めた「キミトイツマデモ」を経て、最後は無伴奏でソロデビュー第一弾であり原点でもある「ウタノチカラ」を感情たっぷりにネイキッドに歌い伝え、会場中に歌の力を改めて信じさせてくれた。
代表曲や人気曲が次々と現れながらも、そこには不思議とノスタルジックさは微塵もなく、むしろこれからへの活力が宿されたものばかりであったのも印象深かった、この日。帰路、入場時よりも明らかに清々しい気持ちになった軽い足取りの自分がそこに居た。