「弾き語りが好きだ」「弾き語りを好きになって欲しい」という気持ちでライブをしています

──最近の近況を聞かせてください。

上野:ライブがない間はずっと曲の制作をしていました。先日、自分の曲をアレンジしてもらった時に自分の曲がこんなにも良くなるのだと思い、大事に曲を作る様になりました。

──そんな風に思う様になったきっかけは何だったのでしょうか。

上野:自分が凄く音楽が大好きになって、音楽を沢山聴くようになりました。また映画もよく観るようになって、今までは日常にあった事を曲にしていたのが、曲を作る事の意味がちょっと変わってきて。抽象的になったけどより具体的に曲が書けるようになりましたね。

──上野さんが音楽を始めようとしたきっかけは何だったのでしょうか。

上野:学生時代、ずっとプロを目指してサッカーをやっていたのですが、病気とケガをきっかけに辞めてから他人とどう話して良いのか分からなくなって。

その時に家に兄のギターがあって。単純にやる事がなかったので、兄のギターを借りて弾く様になってから歌い始めたのがきっかけですね。

──「ライブをしたい」と思ったきっかけは何だったのでしょうか。

上野:ネット配信で「ライブをやって欲しい」と問い合わせを受けて。そこでライブをやってみようと思ったのですが、ライブハウスは怖いし、ライブをしている事を知人にバレたくなかったんですよ。田舎だからギター弾いて歌っているイコールかっこつけているにみたいなるから(笑)。

オーディションライブならこっそりと受けてライブが出来るかなと思って(笑)。

──初めて新宿ロフトに出演した時の事は覚えていますか。

上野:初めて出演した時は、自分の事を分からない人が多いのでそれを気にしていましたね。1年半位前に出演した『おとそライブ2018』が初出演ですね。その当時と今では人間性も含めて変わったと思います。

──それは何がきっかけに変わったと思いましたか。

上野:聴く音楽ですかね。今まではカッコ良いロックバンドでちょっと棘があってというバンドばかりを聴いていたのが、誰も不幸にさせない、みんなが幸せになって、優しくて力強くてというような音楽に触れた時に自分もそれをやりたいと思って。

──今ではバンドに混じりながら弾き語りとして出演していますが、バンド出演が多い中で出演する際の心構えはどんな感じでしょうか。

上野:ひたすらお客さんに「弾き語りが好きだ」、「弾き語りを好きになって欲しい」という気持ちでライブをしています。弾き語りの良さをちゃんと伝えようという感じですね。

──上野さんにとってライブとはどんなものでしょうか。

上野:まだ色々と探っている感じですね。今年、来年で自分の音楽はこういう音楽だ、自分のライブはこういうライブだというものを見つけられたら良いなと思います。

その日の僕の何かを大事にしてくれるような事が一つでも残せたらなと思います

──今年の春に立ち上げた自主『FOLK CAMP』は上野さんにとってどんな企画でしょうか。

上野:僕がフォークにハマったのが今年のことで、高田渡さんをよく聴いていて。音楽に政治を持ち込んだりしてカッコいいなと思って。フォークは捉え方が色々とあるけど一番日常に寄り添っていて「言う事を言うぞ!」という感じが凄く良くて。あの時代の人達は何に向けて音楽を作っていたのだろうと思い始めてきて。

単純にフォークというものをやってみたいというのがありましたね。自分のルーツを1回フォークにしてみようというのがありました。

──そういった意味では企画『FOLK CAMP』は自分のルーツを探る場所でもありますか。

上野:そうですね。『FOLK CAMP』と言いつつ、もしかしたらフォークからかけ離れてしまうかもしれないし、どんどんポップになってしまうかもしれないけど、このイベントで音楽が見つかって欲しいなとは思いますね。このイベントをきっかけにお客さんや自分も「前のライブとこんな所が違ったな」とか、「こういう所は伸びたね」とか再確認が出来る日に出来たら良いなと思います。

──今年の3/23に開催した『FOLK CAMP』1回目は上野さんにとってどんな公演になりましたか。

上野:その日は春で一番良いライブが出来たんですよ。お客さんも一番良かったと言ってくれて。僕も落ち着いて出来たんですよ。昔は静かなライブが嫌いだったんですよ。

──何故、静かなライブは嫌いだったのでしょうか。

上野:静かだと盛り上がっていないと思ってしまうんですよ。でも今は静かなライブの方が心地良いですね。息も止めてしまうかの様に聴き入ってしまうかのようなライブが出来ていると思うと、静かなライブが凄く好きですね。

──静かなライブが好きになったきっかけは何だったのでしょうか。

上野:去年『New Acousitc Camp』に出演してハナレグミを観たんですよ。ずっと同じBPMで静かに歌っているのですが凄く言葉が刺さってきて。言葉の上にちゃんと人間性も乗っかっていて。その人がその歌を歌っているからより説得力があるというか。そう思ったら、自分が自分の言葉で歌う事をまず大事にしていなかったから1回大事にしてみようと思って。

──それでは8月の『FOLK CAMP』ではお客さんにどんな風に楽しんでもらいたいですか。

上野:ライブ感を楽しんで欲しいです。フラッと来て欲しいし、凄く楽しみに来て欲しいし。小さい事でも見つけてもらえるような日にしたいですね。何年か経ってもその日来てくれた方が、その日の僕の何かを大事にしてくれるような事が一つでも残せたらなと思います。

──将来的に『FOLK CAMP』はどんな公演にしていきたいですか。

上野:『New Acousitc Camp』の様な企画にしたいです(笑)。タイトルに『CAMP』と言っている位なので、いつか野外で出来たら良いなと思います。

──この公演を一緒に作っていく中で『FOLK CAMP』がどんどん企画として育つと良いですね。

上野:『FOLK CAMP』も自分一人では出来る訳じゃないし、良いと思った人には自分から声を掛けて繋がるようにして。いつか『FOLK CAMP』に出演してもらえたらなと思います。

時代ごとの音楽、ちゃんとその時代にベストな音楽を出していきたいなと思います

──2019年上半期が終了しましたが、自分にとってどんな上半期になりましたか。

上野:自分の将来設計ですね。今は本当に明確に見えますね。自分にとって音楽を通してのお客さんだったり、音楽を通して手伝ってくれる人だったり、自分にとってその環境がとても大事なものになりました。音楽以外の話も沢山出来るようになりたいですね。それ位自分の中で音楽が大きいものになりました。

──それでは2019年、下半期はどんなものにしたいですか。

上野:上半期に1曲レコーディングをしたので、色んな人に聴いてもらって愛される作品になって欲しいなというのと、下半期もまたレコーディングが控えているのでステップアップもしたいけど、より愛情を注いでいきたいなと思います。「上野大樹、あの頃よりも良い曲を書いているね」ではなくて、「あの頃の曲も今の曲も良いね」と言ってもらいたいですね。その時代にベストな音楽を出していきたいなと思います。

──最後に『FOLK CAMP』に向けて意気込みを聞かせてください。

上野:上野大樹を聴きたいなと思ったら来てもらいたいなというのと、お客さんとより近くになりたいですね。もっとお客さんの身近に曲がいくようにしたいですね。毎日持ち歩いて、辛い時は口ずさんでみたいな。この日もそんな1日したいです。辛い事があった時にあのライブを思い出して頑張れたみたな。一つでも言葉が残ってくれたらなと思います。