第二十二回「親子二代でムスコを負傷した勝小吉&海舟」

       
THE BACK HORN 岡峰光舟の歴史のふし穴  あいどうも。早速2月ですか。今年は閏年なので1日多くて得しましたね。2月29日生まれの小学校の同級生は今年で10回目の正式な誕生日ですが、彼は如何過ごしているのでしょうか。気になるようで、特に気にならないので今回も行きますよ! はい勝海舟の父ちゃん、勝小吉の続き! 小吉さん14歳の家出で放浪して静岡辺りの侍の家で少し世話になったとこまでやりましたね。  そっからまた乞食なライフを30日ほど続け、乞食仲間との交流を深めつつ、「やっぱ上方(大阪)のほうに行こうかな」とフラフラしてるとなんだか体調を崩します。まあそりゃ普通崩すよね。1週間くらい弱ってると近くの寺の坊さんが麦の粥をしばらく食わせてくれてちょい復活。杖をつきながら旅を続けます。  駿府辺りを杖ついてフラついてたら女郎宿の客が「おいガキ。てめえフラフラじゃん。病気か?」と。「そうでございますぅ」と答えるとなんだか弁当と小金をくれたと。それでしばらく宿に泊まったりしたけど、そりゃすぐに金はなくなります。  すると今度は茶屋の脇で寝てたところ、その茶屋で酒を飲んでた秋月藩の荷物運びの親分2人に「おい、てめえ病んでんな、どこ行く?」と声をかけられます。「なんとなく上方に行きますわ」と答えると、「あてがないならやめろ。江戸のガキなら江戸に連れてってやる」と面倒見てくれるって。浴衣や手拭いをもらったり床屋に連れてってくれたりしながらしばらく一緒に旅してたけど、親方たちは急用ができてお別れになっちまいます。そっからはまた一人乞食旅。  そしてまたフラフラしてたら小吉くん、崖から落ちてしまい、下のほうの岩の角でタマキンを強打してしまいます。あまりの衝撃に気絶してたみたいですが、2、3日するとなんとか歩けるようになったんでソロリソロリ歩いて箱根の辺りまで来た頃、タマキンが腫れ上がり、膿も出てきたんで、またしばらくその辺で寝ておりましたと。  すると翌日、何回かその前を通り過ぎてた飛脚が「おめえ昨日の夜からそこで寝とったんか? この辺りは狼も出るのに強いやつだ!」と小銭をくれたと。それから山を下った辺りの茶屋で適当に寝てたら通りすがりの人足たちが「ガキ。なに寝てる?」と聞いてきたので「腹が減りすぎて寝てる」と答えると、握り飯をくれたと。もう当時の人たちの人情ってなんなんでしょうな。金取られたりもするけど。  その人足のうちの一人の喜平次というおっさんに「てめえ、やることないならうち来て手伝いしろ。飯は食わしてやる」と言われたので小田原のほうについて行ったんですと。そしたらそこは漁村で、喜平次んちではいっぱいご飯をご馳走になり、漁の手伝いしたりして喜平次家族にすごく可愛がってもらい、「なんなら俺んちの子どもになれ」とまで言われた14、5日目。小吉くん「こんな生活を一生したくない」と戸棚から300文パクって弁当も勝手にこさえて「ちょっと浜に出てくるわ」とバックレ。見事に恩を仇で返し、江戸のほうに戻ります。  4カ月も家出してたので家に帰りづらくなった小吉は、その辺の寺でフラフラ野宿してましたが金も尽き、とうとう帰宅。家族はそりゃ大騒ぎ。いろんな寺で加持祈祷をして回り小吉の無事を願ってた! とギャアギャア言いましたが、小吉は「ねみい」と布団に入って10日ばかり寝て過ごしたと。とんでもないやつです。タマキンの調子はそっからしばらく良くなくて、2年くらいは大人しくしてたそうです。こうして小吉の14歳の家出は終わりました。  そっからの小吉は破天荒。16歳で吉原デビューしたり、また喧嘩に明け暮れたり、17歳の時は刀の鑑定勉強したりしてましたが18歳で結婚。が、それでもまだ町のヤンチャな頼れる用心棒的なことをしたりしてましたが、21歳の頃にまさかの2度目の家出。恩を仇で返したはずの喜平次んちでもてなされたり、いろいろ遊んで帰ってきましたが、さすがに今回は父親激怒、自宅に2年間幽閉されます。小吉さんもこの2年はしんどかった、と言いますが、その間に子どもの麟太郎(勝海舟)が生まれてるのでヤることはヤってます。  その後は多少真面目になって出勤もするようになり、刀鑑定や小道具の内職とかもして過ごしますが、30歳の時にまさかの出来事が起きます。  息子のムスコが犬に噛み付かれたのです。そしてタマキン負傷。まさかの親子二代でタマキン重傷。麟太郎は熱にうなされ寝込みます。すると親の気持ちなのか、それとも苦しみがわかるのか、小吉さんは麟太郎の横で添い寝しながらの看病。その必死の看病あってか麟太郎も徐々に回復。  この時、麟太郎に何かあったらその後の日本史は少し変わったのかもしれませんよ。本人が偉業を成したわけではないけど、この人がいなければ歴史は違っていた。それこそ歴史のふし穴ですよね。そう考えるだけで歴史はより楽しくなりますね、とスケールの小さい話をロマンの話に無理矢理こじつけてみました。そんな感じで今回はサラバです! ダンケ! 挿絵:西 のぼる 協力:新潮社

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