第二十四回(最終回)「現地へ行って初めてわかる歴史のふし穴」

第二十四回(最終回)「現地へ行って初めてわかる歴史のふし穴」
       
THE BACK HORN 岡峰光舟の 歴史のふし穴
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 あい~、どうもっす。終わりの見えない新型コロナパニック、いつの日か「あー、そんなこともあったな」て言えることを信じつつ今月もいってみましょう!  ていうか、このコラム、これで最終回っす。城の連載を3年やって歴史のふし穴を2年、ぴったし5年やったんで一区切りつけたいと思いまして。というわけで今回は自分なりの歴史の楽しみ方的なやつを書いてみますね。  まぁ言っちゃえば「現地に行ってみる」てことです。歴史って知識を増やしてく楽しみもあると思うんすけど、その場に行ってみて視覚的なもんと、空気感や想像、妄想でイメージを膨らませて自分だけのものにして吸収もできるんす。  たとえば安土城に行った時。現在は安土山に階段や石垣、天主台しかありませんが、「ああ、この辺を信長や家臣が歩いたんだろな」、礎石しか残ってない天主台で「ここに壮大な天主があったのか」と自分の脳内で勝手に天主を再建してみたり。そこから安土城下を見渡してみると現在は田んぼしかないけど、壮大な楽市楽座が広がります。今はのどかな風景だけど、当時は日本有数の町だったはずですからね。少し遠くに見える琵琶湖も当時は城の麓まで広がっていたので勝手に延長します。てな感じで歴史を自分だけのもんにしちゃうんですねぇ。  長篠城に行った時は「やべぇ、こんな断崖にある城、攻める立場になりたくねぇ」と実感できるし、断崖の麓にある川を見て「ここを鳥居強右衛門が決死の覚悟で泳いでったんか」と仮想強右衛門を泳がせます。磔された場所に行くと「ここから城まで絶叫したんか。でっけぇ声だな」と仮想強右衛門に叫ばせてみます。ほんで城から織田・徳川連合軍が待ち構えている設楽原まで歩いてみます。実際に歩いてみて距離感を体感します。けっこうあるんですね。  そして設楽原。現在は馬防柵の一部が再現されてます。脳内でその馬防柵を大延長、そして織田・徳川連合軍38,000人を追加。3,000の鉄砲がこっちを狙っています。「長篠の合戦」の始まりです。武田の騎馬隊のつもりで進みます。今は田んぼだけど柵の前にでっけぇ空堀があったはずなので脳内追加。「柵に辿り着く以前に無理だよ~、馬の足取られちゃうよ~、え、そこをさらに鉄砲で撃ってくんの? 無理無理。撤収~」て気分にさせてくれます。やはり本で読んだり調べたりするのとは別物の自分だけの長篠の合戦が出来上がるんです。  関ヶ原に行った時も面白かったです。現在は小さな町です。関ヶ原駅を降りたところから脳内合戦は始まりますよ。だって駅が建ってるとこが関ヶ原の戦いが開戦した最前線すもん。ほんでレンタルしたチャリでいろんな武将が布陣してたとこを巡ります。そうするとやはり見えてきます。脳内軍勢。そしてわかってきます。「西軍が布陣してるとこのが全然有利じゃん」  そう。完全に東軍を囲むように、さらに少し高い場所なんで西軍のほうが勝てる戦いなんすよ。でも実際、西軍でまともに戦ってるのは宇喜多秀家の部隊22,000人と大谷吉継の部隊くらいだったんですなぁ。  そして関ヶ原のキーマン、小早川秀秋が布陣していた松尾山に行ってみます。ていうか想像では戦場近くの小高い丘程度の山だと思っていましたが、実際行ってみるとガチ山です。本陣があった山頂まで行くのに小一時間はガチ山登りっす。整備されててこんなにかかるのに当時甲冑着てこんなとこに布陣させられた足軽たち、マジ気の毒っす。しかし山頂からの眺望は確かにすごい。関ヶ原すべてが見晴らせます。  ここで疑問。通説ではなかなか参戦しない小早川に業を煮やした家康が山の麓から数十挺の鉄砲で小早川方を撃って参戦をけしかけた、ってやつ。いや、実際山頂に行ってみると麓の鉄砲なんて絶対気づかないて。もし鉄砲の音が聞こえたとしても、それがどっからで、しかもどこに向けてなんか絶対わかりませんわ。こういうのも現地に実際行ってみて感じる歴史のふし穴ですね。そして自分なりの仮説ができるわけです。小早川秀秋は最初から東軍に寝返る気だったんだ、と。で、後世に「なんか関ヶ原の戦いをもっとドラマチックにしちゃおう!」て人がそういうことにしたのかと。ていうか勝った徳川が自分でそういう脚色した可能性がありますね。  なんてことを勝手に想像したり、体感できるのが現地に行ってみることをお薦めするわけなんす。楽しいですよ。自分もまだまだ行ってみたい場所ありますねぇ。日本以外にもあります。ナポレオン最後の戦いで有名なワーテルローは春に行く計画してたのですが、コロナの影響でヨーロッパも日本も今それどころではないので無期限延期です。でもこういう目標というか楽しみがあると、「よし、それまで頑張ろ!」て気持ちにもなるしね。  はい! そんな感じでこの連載も終わりたいと思います。みなさんにとって城とか歴史が少しでも身近なもんになってくれてたら幸いです! と寝転びながらケータイに打ち込んでいます。ほんじゃ5年間どうもありがとうございました~! 挿絵:西 のぼる 協力:新潮社

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2020年4月9日の音楽記事

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