
コンサートは新型ウイルス感染拡大を防ぐため、キャパシティの半分で実施。久しぶりとあってチケット抽選の倍率は高く、その狭き門をくぐり抜けた1100人が会場に着席。場内の話し声はほとんど聞こえない中、18時5分、緞帳がゆっくりとせりあがる。スクリーンには前回2016年ライブ時にファンによって撮影された「犬にインタビュー」での犬の着ぐるみを被ったメンバーの写真が次々に映し出される。舞台では大勢のクルーが慌ただしくステージ・セッティングの真っ最中。そんなことにはお構いなしにメンバーがゆっくりと登場。各々が所定の位置に着くと設営のさなか、おもむろに演奏を始め出す。トーキング・ヘッズの映画『ストップ・メイキング・センス』の冒頭シーンを彷彿させる演出だ。これにはオーディエンスもマスクの下でにやり。メンバーは広いステージの左右を目一杯使い、各々が充分なディスタンスを取って横一線に並ぶ。不自然なほどの、横に伸びての配置はもちろん感染症対策。どこか郷愁感漂うニューウェイヴ・サウンドの「スイマー」で幕を明けたコンサートは淡々と進行する。