第六十八回「紅白歌合戦といえば思い出すフランク永井の傑作アルバム」

第六十八回「紅白歌合戦といえば思い出すフランク永井の傑作アルバム」
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想い出の音楽番外地 戌井昭人
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 もうすぐ年末です。子どものころは紅白歌合戦に誰が出るのだろうなどと気になっていましたが、現在では、年末に紅白を観ても、出場している歌手すら誰なのかわからなくなっている状態です。  以前、出場が決まった歌手は、大きなニュースになっていました。いまでもニュースにはなっているようですが、こちらが気にしてないからなのか、よくわかりません。なにはともあれ、かつて紅白に選ばれるということは、現在とは比べものにならないくらい、誉れ高いことだったようです。  そんな中、フランク永井さんの自殺未遂がありました。1985年、自宅の階段で首を吊っていたのを、奥さんが発見しました。わたしは、このニュースのことをよく憶えています。芸能人、自宅の階段、奥さん発見、いろいろなことが印象的でした。発見が早かったので一命はとりとめましたが、残念なことに、フランク永井さんは、その後歌手として復帰できませんでした。  当初、自殺の原因は、紅白の出場から外れたからだと報道されました。でも、これは間違えで、のちに愛人との間に子どもができて、養育費諸々うんぬんが原因だったと訂正されました。しかし、最初の報道は間違いでしたが、紅白に選ばれず、悲観して、というようなことが原因とされるくらい、やはり紅白の権威はすごかったのでしょう。  ですからわたしは、年末が近くなり、紅白歌合戦のことを思うと、いつも、フランク永井を思い出します。フランク永井の音楽といえば、カラオケスナックで、どこかのおっさんが「有楽町で逢いましょう」を唄っているのとか、おっさんとおばさんが「東京ナイトクラブ」をデュエットしているのしか思い浮かびませんが、『フランク・ウィズ・ニニ・ロッソ』というアルバムがあって、これがやたらめったら良いのです。どうして、このアルバムが自分のiTunesに入っているのか憶えてないのですが、とにかく素晴らしいの一言で、音楽とはこのように豊かなものなのだと素直に思える作品なのです。  フランク永井は、進駐軍でクラブ歌手をしていただけあって、ほとんど英語で外国の名曲をたくさん唄っています。でもって、ニニ・ロッソというのは、イタリアのトランペット奏者で、トランペットの詩人などと呼ばれていたそうですが、この人のトランペットも、軽々していて、いい意味でも悪い意味でも、まったく心に突き刺さらないところが良いのです。  このアルバムを聴いていると、昭和の豊かな時代、赤坂あたりのナイトクラブにいるような気持ちになれるのでした。さらに、ジャケットの写真が、ものすごくいい加減で、これも良いのです。ただの記念写真です。 戌井昭人(いぬいあきと)1971年東京生まれ。作家。パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」で脚本担当。2008年『鮒のためいき』で小説家としてデビュー。2009年『まずいスープ』、2011年『ぴんぞろ』、2012年『ひっ』、2013年『すっぽん心中』、2014年『どろにやいと』が芥川賞候補になるがいずれも落選。『すっぽん心中』は川端康成賞になる。2016年には『のろい男 俳優・亀岡拓次』が第38回野間文芸新人賞を受賞。

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