唯一無二の世界観と幾重にも張り巡らされた伏線、 そして、 縺れ絡み合う因果の果てに浮かび上がる衝撃の結末。 読者を魅了してやまないミステリ作家・道尾秀介の最新長編小説『雷神』を本日5月26日、 新潮社より刊行。
道尾は今作について、 「これから先、 僕が書く作品たちにとって、 強大なライバルにもなりました。 」とコメント。 ミステリ評論家・千街晶之も「道尾秀介ならではの境地」と推薦。 道尾はこれまで「小説でしか味わえない魅力」「新しい読書体験」を追求してきた。 なかでも本書で仕掛けられた“小説ならではの企み”は現時点におけるキャリアの集大成だと言う。 「今回は物語の後半に、 ある一枚の画像が登場します。
その画像は、 密かにある真実を読者の前に提示します。 この仕掛けは、 物語自体が文章でつくられているからこそ成り立つものです。 小説は、 こうしていろいろなものを内部に取り入れることができるので、 やはり最強のエンターテインメントだと思っています。 中でも今回は、 昔の自分には絶対不可能だったと言い切れる、 自信作。 僕が理想とするミステリのかたちがいくつかあるのですが、 そのうちの一つが書けました。 」 過去に発表した『龍神の雨』、 『風神の手』に続き、 今回は『雷神』。
なぜ「神」と名がつく作品を書き続けてきたのか、 そのタイトルに込められた意味とは。 「この世には人間が絶対に結果を計算しきれないものが無数にあり、 それらが複雑に絡み合って世界を形成しているという思いがあります。 それを「偶然」と呼ぶのか、 「運命」と呼ぶのか、 「奇跡」と呼ぶのか、 人それぞれかと思いますが、 僕はその現象を、 何か形として目に見えるものに託したくて、 誰もが一度は像を見たことがある三体の神様に託しました。 」
"小説ならではの企み"を追求した圧巻の集大成! 道尾秀介『雷神』本日発売!

『雷神』あらすじ

埼玉で小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた一本の脅迫電話。 それが惨劇の始まりだった。 昭和の終わり、 藤原家に降りかかった「母の不審死」と「毒殺事件」。
真相を解き明かすべく、 幸人は姉の亜沙実らとともに、 30年の時を経て、 因習残る故郷へと潜入調査を試みる。 すべては、 19歳の一人娘・夕実を守るために……。 なぜ、 母は死んだのか。 父は本当に「罪」を犯したのか。 村の伝統祭〈神鳴講〉が行われたあの日、 事件の発端となった一筋の雷撃。 後に世間を震撼させる一通の手紙。
父が生涯隠し続けた一枚の写真。 そして、 現代で繰り広げられる新たな悲劇――。 ささいな善意と隠された悪意。 決して交わるはずのなかった運命が交錯するとき、 怒涛のクライマックスが訪れる。