2月に公開されたオムニバス映画『短篇集 さりゆくもの』から、スピンオフ上映企画がスタート。亡くなった人や失われゆく映画文化を再発見する機会を作り、トークイベントなども行なっていく。
第一回目はいよいよ7月24日(土)アテネ・フランセ文化センターにて伝説の映画4本がフィルム上映で蘇る。 まず8mmで上映されるのは、映像作家・小口容子監督作品2本。87年製作『エンドレス・ラブ』はPFFアワード1988入選作品だが、平野勝之、園子温らも参加し、当時PFFのディレクターを怒らせたという伝説のインディペンデント映画。94年製作の『2010年、夏』と共に、当時の自主映画の アナーキーな勢いを感じる2本となっている。
園子温、瀬々敬久ら参加の伝説の映画がフィルムで1日だけ上映『まずはフィルムからはじまった!』!
16mmで上映されるのは、サトウトシキ監督が本藤新という変名で撮った94年製作のピンク映画『覗きがいっぱい 愛人の生下着』(原題:「明日のジョー」は生きてるさ)。当時サトウ監督と共に、ピンク四天王と呼ばれていた瀬々敬久が、南極1号という名前で脚本を担当した隠れた名作。
本作は、35mmで撮影されているが今回は縮小版の16mm上映となる。
園子温、瀬々敬久ら参加の伝説の映画がフィルムで1日だけ上映『まずはフィルムからはじまった!』!
35mmで上映される『色道四十八手 たからぶね』は、ピンク映画50周年を記念して企画されるも、製作準備中に企画・原案の渡辺護監督が病に倒れ、代わりに脚本を担当した井川耕一郎監督が2014年に完成させた作品。『短編集 さりゆくもの』の1本でほたる監督の『いつか忘れさられる』は、『色道四十八手 たからぶね』で使用され残った35mmフィルムを使って撮られた作品であり、この企画の原点的な作品。
園子温、瀬々敬久ら参加の伝説の映画がフィルムで1日だけ上映『まずはフィルムからはじまった!』!

参加監督 コメント

『エンドレス・ラブ』は、私の実力以上のものが“写ってしまった”作品。「こんなものに実力も何もあるか」と言われそうですが、今となってはとてもできないことばかりが写ってしまっています。『2010年、夏』は、『鴛鴦歌合戦』に感動し、「これに勝つには、もう役者に即興で歌わせるしかない!」と歌わせた作品。
「勝てると思ってたのか?」と言われそうですが、当時「一本調子の即興の歌が、夢に出てきそうでコワイ」と評判でした。 ー小口容子(『エンドレス・ラブ』『2020年、夏』監督) 瀬々と、新宿の今はない喫茶店で打ち合わせた。「玉置浩二が凄いんだよ」少し前に見た2hドラマの玉置浩二演じる主人公のことを話してくれた。「それってのぞきものになるの?」って言ったら「トシキ、のぞきものがやりたいのかよ?」って聞くんで「うん、そうだよ」ってーー。「やっぱ飛び込むのかなあ? 飛び込むんだよなあ?」って聞いたら「まあ、そういうのもないとなあ」って言ったっけ。 ーサトウトシキ( 『覗きがいっぱい 愛人の生下着』監督) 渡辺護さんの代表作『(秘)湯の町 夜のひとで』(脚本:大和屋竺)の中にエロ事師夫婦が春画ふうの写真を撮るシーンがあります。
『色道四十八手 たからぶね』のほたるさん出演シーンはこれをふまえたものです。しかし、「ばか夫婦 春画をまねて 筋ちがい」という川柳があるくらい、春画の正確な再現は難しい。「こんなの、無理!」と言いながら、野村貴浩さんと挑戦してくれたことに感謝しています(現場では笑ってしまいましたが)。 ー井川耕一郎(『道四十八手 たからぶね』監督) 「色道四十八手 たからぶね」の残りフィルムから「いつか忘れさられる」は作ったので、親とも呼べる作品です。「明日のジョーは生きてるさ」はまだデビューして間もない自分が下手くそだけど必死になっていて、自分にとっては今に至る中で大事な作品です。 私の大事な2本をどうか観ていただきたいと思ってます。
ーほたる(女優/「短篇集 さりゆくもの」企画・プロデュース)
園子温、瀬々敬久ら参加の伝説の映画がフィルムで1日だけ上映『まずはフィルムからはじまった!』!