投資家の慎重スタンスが継続する流れ。中国の景気懸念や、中国人民銀行(中央銀行)の資金吸収が引き続き重しとなった。人民銀が3日に実施したリバースレポを通じた資金供給は12億人民元にとどまり、満期分との差し引きでは4713億人民元の資金を吸収。人民銀は前日も資金吸収している。ただ、下値は限定的。政府は今年のGDP成長目標「5.0%前後」を達成させるため、財政出動など一段の支援策が打ち出されるとの見方も一部に広がっている。(亜州リサーチ編集部)
中国の銀行株が下げを主導。ハンセン指数の構成銘柄では、招商銀行(3968/HK)が3.3%安、中国工商銀行(1398/HK)が2.5%安、中国銀行(3988/HK)が1.7%安、中国建設銀行(939/HK)が1.5%安で引けた。住宅ローン金利の引き下げ観測が流れる中、収益縮小が警戒されている。
香港不動産セクターも安い。新世界発展(17/HK)が2.3%、九龍倉置業地産投資(1997/HK)と長江実業集団(1113/HK)がそろって1.6%ずつ下落した。新世界発展は8月30日、通期決算の18~23%減益見通しを公表。
海運セクターもさえない。中遠海運HD(1919/HK)が2.8%安、海豊国際HD(1308/HK)が2.4%安、東方海外(316/HK)が1.6%安、太平洋航運集団(2343/HK)が1.4%安で前場取引を終えた。
半面、中国不動産セクターは高い。世茂集団HD(813/HK)が6.7%、万科企業(2202/HK)が3.1%、越秀地産(123/HK)が2.5%、旭輝(884/HK)が2.4%ずつ上昇した。政策支援の動きが期待される。一部メディアは先ごろ、中国当局が消費刺激策の一環として、既存の住宅ローンを低金利融資に借り換えできるようにすることを検討しているもよう――などと報道した。
一方、本土マーケットも続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.52%安の2796.48ポイントで前場の取引を終了した。銀行株が安い。エネルギー株、公益株、保険株、メディア関連株なども売られた。半面、消費関連株は高い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)