投資家心理が悪化する流れ。米中で景気懸念が強まっている。6日公表された8月の米雇用統計では、(非農業部門の)雇用者数の伸びが予想に届かず、6月と7月分が下方修正された。中国でも足元で発表された経済指標が概ね弱い内容となり、景気鈍化の警戒感が強まっている。寄り付き直後に公表された8月の中国物価統計は、消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比0.6%(市場予想は0.7%、前月は0.5%)、生産者物価指数(PPI)がマイナス1.8%(同マイナス1.5%、同マイナス0.8%)という結果だった。PPIが大幅に下振れる中、企業活動の縮小も懸念されている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、江蘇省拠点の翰森製薬集団(3692/HK)が7.1%安、石油グループ大手の中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が6.2%安、太陽光発電(PV)用ガラス基板メーカーの信義光能HD(968/HK)が6.5%安と下げが目立った。
セクター別では、石油や非鉄の資源関連が安い。上記したペトロチャイナのほか、中国海洋石油(883/HK)が4.9%、中国宏橋集団(1378/HK)が4.1%、江西銅業(358/HK)が3.6%ずつ下落した。商品市況安が逆風。6日のWTI原油先物は2.1%安で5日続落し、一時、昨年6月以来の安値を付けている。
海運セクターも急落。中遠海運能源運輸(1138/HK)が7.6%安、東方海外(316/HK)が5.8%安、中遠海運HD(1919/HK)が4.9%安、太平洋航運集団(2343/HK)が3.4%安で引けた。
中国不動産セクターも売られる。世茂集団HD(813/HK)が6.2%安、建発国際投資集団(1908/HK)が5.2%安、旭輝HD(884/HK)が5.1%安、雅居楽集団HD(3383/HK)が4.8%安で前場取引を終えた。
一方、本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.92%安の2740.37ポイントで前場の取引を終了した。エネルギー株が安い。素材株、銀行・保険株、ハイテク株、インフラ関連株、運輸株なども売られた。半面、証券株は高い。医薬株、公益株も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)