10日前場の香港マーケットは、主要82銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比47.71ポイント(0.28%)高の17244.67ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が23.77ポイント(0.39%)高の6026.18ポイントと6日ぶりに反発した。売買代金は624億3530万香港ドルとなっている(9日前場は616億6950万香港ドル)。

 自律反発狙いの買いが先行する流れ。ハンセン指数は前日まで5日続落し、約3週ぶりの安値水準に落ち込んでいた。9月米利下げが確実視される中、昨夜の米株が反発したことも支えとなっている。ただ、上値は限定的。中国の景気懸念がくすぶっている。本日の取引時間中に公表された8月の貿易統計に関しては、米ドル建て輸出が前年同月比8.7%増(予想は6.6%増)と上振れる半面、輸入は0.5%増(予想は2.5%増)に下振れている。内需の弱さが露呈した格好だ。これまでに発表された中国の経済統計は、総じて弱い内容となっている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、中国Eコマース最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)が4.7%高、宝飾小売チェーン大手の周大福珠宝(1929/HK)が3.9%高、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が3.8%高と上げが目立った。アリババに関しては、同社株が10日からストックコネクト(中国本土・香港間の株式相互取引)対象に組み入れられたため、本土マネーの流入が期待されている。
 ストックコネクトに新規採用されたのは33銘柄。アリババのほか、人工知能(AI)創薬企業のクアンタムファーム(2228/HK)が20.2%高、民間石炭サプライヤーの力量発展集団(1277/HK)が8.2%高、自動運転システムの知行汽車科技(蘇州)(1274/HK)が3.5%高などと値を上げている。

 新興EVの一角も高い。上記した理想汽車のほか、蔚来集団(9866/HK)が9.5%、小鵬汽車(9868/HK)が2.3%ずつ上昇した。蔚来集団については、アナリスト予想を上回る強気の販売見通しが引き続き材料視されている。
 半面、中国不動産セクターは急落。世茂集団HD(813/HK)が25.0%安、旭輝(884/HK)が20.1%安、遠洋集団HD(3377/HK)が18.1%安、雅居楽集団HD(3383/HK)が12.5%安と値を下げた。それぞれ、ストックコネクト対象からの除外が失望されている。中国の不動産株を中心に33銘柄が除外された。
 医薬品開発受託機関(CRO)など創薬支援関連も安い。無錫薬明康徳新薬開発(2359/HK)が8.3%、薬明合聯生物技術(2268/HK)が6.9%、来凱医薬(2105/HK)が5.4%、薬明生物技術(2269/HK)が3.9%ずつ下落した。米下院は現地時間9日、米政府と中国のバイオテクノロジー企業との取引を制限する「バイオセキュア法案」を可決(今後、上院に送付)。同法案はCRO関連各社に影響を与える見通しだ。
 一方、本土マーケットは3日続落。
主要指標の上海総合指数は、前日比0.53%安の2722.01ポイントで前場の取引を終了した。不動産株が安い。医薬株、素材株、インフラ関連株、自動車株なども売られた。半面、銀行株は高い。エネルギー株、酒造株も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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