湖北省荊州市で、自転車を盗んだとして行政拘留中だった54歳の男性が7日、看守所で死亡した。遺族によると、体に多くの出血の跡があったが、警察側は「洗面台にためた水で溺死(できし)した」との見方を示した。
荊楚網が報じた。

 男性には定職がなく、2009年にも自転車を盗んだ前科があった。3月下旬に再び、スーパーマーケットの前にとめていた自転車を盗んだ。監視カメラの映像が決め手になり、捕まったという。

 行政拘留は、比較的軽微な犯罪の場合に、裁判なしで実施が可能な行政処罰。男性は15日間の拘留になったが、釈放前日の7日に死亡したという。


 警察側によると、看守所職員が7日午前7時ごろ、男性が洗面台の前で倒れているのを発見、男性は死亡が確認された。葬儀場に運ばれた遺体と対面した遺族によると、体には無数の「筋」が残り、口、耳、鼻などに出血の跡があった。遺族の間からは「殴られたのではないか」との疑いの声が出た。

 警察は、「死亡後ただちに検察などと合同で法医学による鑑定を行い、溺死と判明した」と説明。洗面台にためた水で溺れ死んだとの結論を示した。

 警察はその後、「遺族は“自主的”に遺体を火葬した」、「同件は“円満に解決”した」などと説明した。
警察が遺族に30万元(9日為替レートで約412万円)を支払ったとの証言もある。ただし警察関係者は「それについては、知らない」と述べた。

 荊楚網は警察説明の“自主的”、“円満に解決”の部分を“ ”で囲って表記することで、「とうてい納得できない」との考えを示した。(編集担当:如月隼人)

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