浙江省杭州市内のホテルで7月26日、「マレーシア絶滅危惧種輸出入管理局」「マレーシア輸出衛生省」「マレーシア輸出家畜検査局」といった政府機関と「マレーシア燕の巣輸出業者組合」という業界団体が記者会見を開き、「血燕」に基準値を超える亜硝酸塩が含まれているという疑惑を否定した。
記者会見では、「血燕」は99%本物で、亜硝酸塩の含有量も基準に合致していると主張。2時間水に浸して洗い流せば亜硝酸塩は消え、安心して食べられるとした。
しかしその後の取材で、この記者会見は正規の手続を経ずに開かれたことが明らかになった。またマレーシアの政府機関には「絶滅危惧種輸出入管理局」や「輸出衛生省」や「輸出家畜省」は存在しない。記者会見に出席した2人のマレー人「政府職員」は、雇われただけのニセ職員とみられている。
浙江省工商局の鄭宇民局長によると、マレーシアでは燕の巣の養殖は一大産業で、生産高は年間200億元(約2400億円)に上る。95%が最大市場である中国向けという。
中国では現在、鳥インフルエンザが発生したインドネシアやタイからの燕の巣の輸入は禁じられており、業者が輸入申請できるのはマレーシアやシンガポールからに限られる。中国にとってもマレーシアは最大の輸入元だ。記事は、亜硝酸塩問題で打撃を恐れる業者が焦って「ニセの公式記者会見」を開いたと指摘している。
燕の巣料理で有名な杭州のあるレストランの副料理長によると、「血燕」は天然物の燕の巣よりさらに高価で、500グラム当たり2000―3000元(約2万4000―3万6000円)もの差がある。本物だけではとても需要に応じきれないので、「血燕」に偽物が多いのは関係者の間では周知の事実という。(編集担当:阪本佳代)
【関連記事・情報】
・中国:高級食材の燕の巣に発がん物質、ニセの政府会見に発展(1)(2011/08/17)
・中国の「ニセ豚足」から発ガン性物質検出(2011/05/17)
・深刻化する食品安全、地方政府の「政績」に反映?効果に疑問も(2011/05/16)
・女児が露天の唐揚げを食べて死亡、工業用の亜硝酸塩が原因=北京(2011/04/25)
・牛乳に亜硝酸塩を混入、39人死傷、警察が夫婦を逮捕―中国(2011/04/12)